東京日和

劇場公開日:

解説

写真集出版の準備を進める写真家が回想する、亡き妻との日々を綴った純愛ドラマ。監督は「119」の竹中直人。写真家・荒木経惟とその妻・陽子による写真&エッセイ集『東京日和』をベースに、岩松了が脚本を執筆。撮影を「大統領のクリスマスツリー」の佐々木原保志が担当している。主演は「HAPPY PEOPLE」の竹中直人と「Love Letter」の中山美穂。97年度キネマ旬報ベスト・テン第9位。

1997年製作/121分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1997年10月18日

ストーリー

亡き妻・ヨーコに捧げる写真集の出版の準備をしている写真家・島津巳喜男は、在りし日のヨーコのことを想い出していた。だが、甦ってくるのはふたりにとって最悪の日々だった頃のことばかりである。まず想い出されるのは、ホームパーティの時にヨーコが客である水谷の名前を呼び間違えたことを気に病んで、勤め先には巳喜男が交通事故で入院したと嘘をつき、3日間家を飛び出してしまったことだった。巳喜男は心配してあちこちを探し歩いたが、彼の気持ちをよそに、ヨーコはふらりと家に戻ってくる。どことなく当たり前の夫婦のように振る舞えないふたりは、何気ないことで気づまりな思いをすることも多く、巳喜男は、優しすぎるとヨーコに責められることさえあった。ある時のヨーコは、同じマンションに住むカギっ子の少年に自分のことをおばあちゃんと呼ばせた上、彼に女の子の恰好をさせようとする。また、実際は飛んでいない蚊が自分の周りを飛ぶように感じる飛蚊症を患ったりもした。しかし、嫌なことばかりではない。ジョギングの最中に偶然見つけたピアノ型の大きな石で、ともに雨に打たれながらピアノ演奏ごっこに興じたこともあれば、東京駅のステーションホテルで恋人同士のようなデートをしたこともあった。だが一方で、会社の無断欠勤が続いたり、カギっ子少年を遅くまで連れ出して騒動を起こしたりの奇行が増えたことも事実である。結婚記念日に出かけた福岡の柳川では、新婚旅行と同じ旅館に泊まり、川下りを満喫したかと思えば、またも突然行方をくらませたりして、そのたびに巳喜男を心配させた。旅行から帰った翌日、猫をもらう約束をしたヨーコは、待ち合わせに向かう途中で車に跳ねられ骨折してしまう。だが、そんなヨーコが巻き起こした事件のひとつひとつが、今の巳喜男の仕事に大きな影響を与えていたのだ。回想にふける巳喜男は、あの時、水谷の名を呼び間違えた原因を今さらに発見して、あふれる涙をこらえ切れなくなった。巳喜男は、自分の写真人生がヨーコとの出会いから始まったことを改めて感じている。

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スタッフ・キャスト

監督
脚本
岩松了
原作
荒木陽子
荒木経惟
製作総指揮
松下千秋
佐藤信彦
企画
久板順一朗
周防郁雄
プロデューサー
宅間秋史
三浦寛二
保原賢一朗
撮影
佐々木原保志
美術
中澤克巳
装飾
大光寺康
音楽
大貫妙子
主題歌
大貫妙子
録音
北村峰晴
音響効果
渡部健一
小島彩
照明
安河内央之
編集
奥原好幸
衣裳
北村道子
ラインプロデューサー
新津岳人
吉田浩二
助監督
横山浩幸
スクリプター
甲斐哲子
スチール
三浦憲治
石井裕之
円山正史
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受賞歴

第21回 日本アカデミー賞(1998年)

受賞

音楽賞 大貫妙子

ノミネート

作品賞  
監督賞 竹中直人
脚本賞 岩松了
主演男優賞 竹中直人
主演女優賞 中山美穂
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映画レビュー

2.5アラーキとヨーコ

2023年11月13日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

写真家の荒木経惟(竹中直人)と妻(中山美穂)のエッセイが原作。 妻はボヘミアンなタイプで、気分の浮き沈みが激しく、フラリと居なくなったりする。 写真家の夫もちょっと変わっていて、平気で隠し撮りをする。 解釈を観ている人に投げているので、とても疲れる。

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いやよセブン

3.5センチメンタルな旅

2023年11月12日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

写真家荒木経惟と愛妻陽子をモデルにした映画。実際の陽子さんのメンタルは問題なかったと思うけど、本当のところは、どうだったのかな。陽子さんのおかげで、写真家アラーキーが世に出たことは確かだが。にゃんこが茶トラなのは、何でや。せめて白系にしてくれい。あのバルコニーはセットだよね。写真でよく見た、本物の荒木家のようで、なんかうれしかった。 陽子が舟の中で眠るところは、アラーキーの写真になぞってあって、ここは見どころ。あと、野の花を片手に走ってくるシーンは、ズルいくらいかわいい。その傍らに、車掌役でアラーキーの姿。いい笑顔だ。この作品、友情出演が多く、中島みゆき、映画監督の森田芳光、塚田晋也、中田秀夫、周防正行がちょい役で出ている。ちょっとしたゲーム感覚で探すのも一興。 アラーキーの妻への思いと、竹中直人の中山美穂への思いが重なったような、ラブレター映画。 BS松竹東急の放送を鑑賞。

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ぷにゃぷにゃ

4.0荒木さんが陽子さんを好きなこと

2020年12月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

と監督が中山美穂を好きなことが相まって、とにかく素敵に撮れている。こちらまで役者中山美穂ファンになりそうになった。 劇場公開時鑑賞。

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なお

4.5慈しむまなざし

2013年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

幸せ

夫婦の何気ない日常を、丁寧に愛の在る目で描いた作品です。 いい意味で、小津安二郎にリスペクトされて・・・ ストーリーの展開ひとつひとつに無駄がなく、引き込まれます。 写真家が妻を見つめる、慈しむまなざし。 それが随所に表現されています。 普通なら嫌いになりそうな出来事でも、そのまなざしは変わることはなく。 旅行に行って妻を見失い、船の上で寝ている所を探し出すシーンが大好きです。 台詞もいい物がたくさんありました。 妻『あなた、私に優しすぎやしない?』(浴衣を着た妻) 写真家『え、それ、どういう意味?』(妻を見つめる・・) 妻『あんまり見ないでほしいのよ、私はただ歩いているだけよ』 写真家『わかったよ、これからあんまり見ないようにするよ』(少し嬉しそうに・・) 死に別れた妻の、小さな真実に気づき写真家は涙を流す。 こんな関係を築けたら幸せだなぁと思います。

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