親切なクムジャさん

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

パク・チャヌク監督が「復讐者に憐れみを」「オールド・ボーイ」に続いて手がけた“復讐3部作”の最終作で、無実の罪で服役した女性が繰り広げる復讐劇を描いたサスペンスドラマ。

ある男に娘を人質に取られ、男が犯した幼児誘拐殺人の罪をかぶって投獄されたイ・クムジャ。服役中は誰に対しても優しい笑顔を絶やさず、「親切なクムジャさん」と呼ばれ慕われていた。13年の刑期を終えてついに出所した彼女は、自分を陥れた真犯人への復讐を開始。海外に養子に出されていた娘を取り戻し、先に出所していた仲間たちの協力を得て男を追い詰めていくが……。

「JSA」「ラスト・プレゼント」のイ・ヨンエが主演を務め、「オールド・ボーイ」のチェ・ミンシクが共演。カン・ヘジョン、ユ・ジテ、ソン・ガンホ、シン・ハギュンがカメオ出演。

2005年製作/114分/R15+/韓国
原題または英題:Lady Vendetta
配給:東芝エンタテインメント
劇場公開日:2005年11月12日

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映画レビュー

3.0面白くなるまでに時間がかかるスロースタートな映画

2024年10月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

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かちかち映画速報

2.0「親切」の衣を着せた強(したた)かさ。

2024年8月10日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

服役中も、他人(他の服役囚)に親切にできるほどの余裕を持つことができたということは、それだけ、クムジャが心の奥底に秘めた英会話講師・ペクへの復讐の念が固かったからということなのでしょう。
出所後の他の服役囚たちの協力が得られるようにとの計算も、彼女にはあったのかも知れませんけれども。

それでも、彼女の親切が、結果として他の服役囚たちの協力を呼び起こしていったと見るのが妥当なように思われます。
評論子としては。

結果として、被害児童の親たちにも、復讐のチャンスを作ってあげるほどの、彼女の「親切」も、その決意の固さの成せる業(わざ)とでもいうべきでしょう。

彼女の「決心の硬さ」から来る彼女の所為の「恐ろしさ」のほか、少しく「捻(ひね)りの利いたサスペンス」としては、そこそこの良作の範囲には置くことのできた一本だったと思いました。
評論子は。

(追記)
服役中から復讐の決意を固めてきたクムジャでしたけれども。
しかし、復讐からは本当の心の(魂の?)救済は得られなかったというのは、彼女にしてみれば割り切れない矛盾だったことだとは思いますけれども。

復讐からは何も生まれないという監督からのメッセージが、そこに含意されていたとみるのは、評論子の穿(うが)ち過ぎというものでしょうか。

(追記)
韓国では、子供の行方不明(誘拐)少なくないらしいですけれども。
「かつて」か「現在でも」かは、決して韓国の国内事情に明るくはない評論子には分かりかねますけれども。

しかし、身代金目的にしろ、労働力としてにしろ、そのことをテーマとした作品は、数多く製作されて公開されているとは承知しています。

評論子がいま住んでいる街でも女子高校生の行方不明事件が発生しており、事件の発生は2001年なのですけれど、彼女が最後に目撃された大型ショッピングセンター近くのバス停には、彼女の(当時の)写真入りで、情報提供を呼びかける立て看板が設置されていたりもしています。

それでも、比較的には治安のよい国に生まれ育って、いまも生活していられることの僥倖を、評論子は思わずにはいられません。

(追記)
極限状態にある人たちの精神状態を活写することに長けている監督さんなのでしょうか。
本作のパク・チャヌク監督は。

そういう中でも、ある種のユーモアを交えながら。
そんな作風の監督さんとお見受けしました。
評論子には。

本作は、評論子が観てきた作品でいえば『別れる決心』『JSA』などを手懸けた同監督の手になる、『復讐者に憐れみを』『オールド・ボーイ』と並ぶ、いわゆる「復讐三部作」の一本となる作品だそうです。

そういう雰囲気を感じさせないタイトルとは裏腹に、本当に怖い、怖い一本でした。
これからご覧になる方は、タイトルのニュアンスには騙されることなく、相応の覚悟を決めて鑑賞することを、いちおうお勧めしておきます。

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talkie

4.0後半のあのシーンをあえて見せない演出は凄っ

2024年7月23日
iPhoneアプリから投稿

復讐させる場面で直接的なシーンが無くて持って行った凶器と返り血のみでこちらに想像させる演出って凄いです!
後半そうなるとは思って無くてビックリでした!
 なんとなくクリスマスに見たくなるんだよなあ笑笑

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お主ナトゥはご存じか2世

5.0パク・チャヌクの到達点

2024年4月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

 刑期を終えて出所したクムジャに、出迎えた司祭が盆に載せた豆腐を差し出す。真っ白になって出直せという、出所者へのはなむけだ。しかしクムジャはそれを撥ね退ける。これから始まる彼女の壮絶な戦いへの決意を新たにするように。

「復讐者に憐れみを」「オールド・ボーイ」に続くパク・チャヌク復讐3部作の最終章だ。その卓越した映像表現と衝撃的な復讐劇の展開は前2作に勝るとも劣らない。復讐する者の怨念と哀しみ、そしてそれを見つめる作者の慈愛に満ちた眼差しは、むしろ、本作においてより深いものになったと言ってよい。

 復讐にこだわりながらもこの作者が描くものは、それによって得ることが出来る壮快感や溜飲が下がる思いといったものではなく、復讐心にとらわれた人間の心の暗闇、苦しみや悲しみである。パク・チャヌクの描く主人公たちは復讐に突き進むことに躊躇しない。そのつのりつのった怨念が噴出する時、常人には思いもよらない残忍な方法で、その思いを晴らすのである。だがそのあとに来るものは何か。本作が前2作を凌ぐ秀作だと確信するのは実はここにある。

 復讐を遂げはしたもののクムジャの心は晴れない。彼女はその復讐に巻き込んだ人々に自分の作ったケーキをとり分ける。その黒いケーキが彼女の心の暗闇を象徴している。それを他者に分け与えることで自身の暗闇を少しでも晴らそうとするかのようだ。そしてクムジャは娘のために真っ白なケーキを作る。その真っ白なクリームを娘は指で掬いその指を舐め、今度は母のためにクリームを指で掬う。しかしクムジャはそれを舐めることが出来ない。そんな母を許すように、娘は母の代わりにそれを舐める。たまらずクムジャは真っ白なケーキに顔を埋めてしまうのだ。

 真っ白になれなかった自分を真っ白なケーキに埋め尽くしてしまおうとするその母を、娘が優しく抱きしめる。そんなふたりの上に真っ白な雪が降りそそぐ。荒んだ心も何もかも、真っ白になれと祈るように雪がふたりを包んでゆく。

 復讐にこだわり続けたパク・チャヌクが第三作にしてようやく辿り着いた心の救済。映画史上稀に見る美しいラストシーンである。

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inosan009

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