グリーン・デスティニー

ALLTIME BEST

劇場公開日:2000年11月3日

解説・あらすじ

「アイス・ストーム」「いつか晴れた日に」のアン・リーが、ワン・ドウルーの武侠小説「臥虎蔵龍」を映画化したアクションラブストーリー。

19世紀の中国。伝説の名剣グリーン・デスティニーの使い手である英雄リーは引退を決意し、女弟子ユーのもとを訪れる。リーは仕事で北京へ向かうというユーに、剣をティエ氏に届けるよう依頼。ティエ氏の屋敷に到着したユーは、そこで貴族の娘イェンと出会う。イェンは親が決めた相手との結婚を控えていたが、本当はユーのような剣士になることを夢見ていた。その夜、ティエ氏の屋敷に何者かが忍び込み、剣が奪われてしまう。

キャストには「男たちの挽歌」のチョウ・ユンファ、「007 トゥモロー・ネバー・ダイ」のミシェル・ヨー、「初恋のきた道」のチャン・ツィイー、「ブエノスアイレス」のチャン・チェンら豪華俳優陣が集結。「マトリックス」のユエン・ウーピンがアクション演出を務めた。2001年・第73回アカデミー賞で外国語映画賞など4部門を受賞。

2000年製作/120分/アメリカ・中国合作
原題または英題:臥虎藏龍 Crouching Tiger, Hidden Dragon
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
劇場公開日:2000年11月3日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第73回 アカデミー賞(2001年)

受賞

外国語映画賞  
撮影賞 ピーター・パウ
作曲賞 タン・ドゥン
美術賞  

ノミネート

作品賞  
監督賞 アン・リー
脚色賞 ワン・ホエリン ジェームズ・シェイマス ツァイ・クォジュン
編集賞 ティム・スクワイアズ
衣装デザイン賞 ティミー・イップ
主題歌賞

第58回 ゴールデングローブ賞(2001年)

受賞

最優秀監督賞 アン・リー
最優秀外国語映画賞  

ノミネート

最優秀作曲賞 タン・ドゥン
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映画レビュー

5.0 武当派拳法が描く「静」の美学――型の哲学が息づく武侠映画の異端

2025年10月3日
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鑑賞方法:映画館

興奮

知的

アン・リー監督による『グリーン・デスティニー』は、少林拳の剛ではなく、太極拳的な武当派拳法の「柔」を核に据えた、稀有なカンフー映画である。挑戦的な映像美と沈黙の演出が、武侠映画の枠を超えた内的スケールを生み出している。

殺陣は少ないが、強烈に印象に残る。竹林の舞、剣の交差、視線のやりとり――すべてが武当派拳法の「静中の動」「動中の静」を映像化した瞬間であり、身体を通じて思想を語る「型」の演武である。チャン・ツィイーの疾風のような動、ミシェル・ヨーの均衡と抑制、チョウ・ユンファの沈黙の中の静が、まるで陰陽図のように画面を満たす。

物語は中国では馴染み深いが、他国の観客には寓話的に映る。しかし、ヨーヨー・マのチェロが情念を語り、挑戦的な映像美が哲理を描くことで、文化の壁を越えた普遍性を獲得している。

そして、物語の核には二組の恋愛がある。一つは、長年抑制され続けた静かな愛――リー・ムーバイとユー・シューリン。もう一つは、激情と逃避に満ちた若き愛――ジェンと盗賊ロウ。前者は「型」に従いながらも言葉にできぬ情を抱き、後者は「型」を破りながらも自由を求めて彷徨う。この二つの恋愛は、武当派拳法の「陰陽」そのもの。抑制と爆発、沈黙と叫び、義と欲望――それぞれが物語の中で交差し、観る者に「愛とは何か」「自由とは何か」を問いかける。

アン・リーは、武当派拳法を通じて「型の中の自由」「沈黙の問い」「女性性と調和の力」を描いた。これは単なる武侠映画ではなく、思想と身体、歴史と美学が交差する、型の哲学を体現した作品である。

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larkmild

4.5 「何だ! このストーリーは」と言う不思議な世界観。しかし全体の物語...

2025年8月12日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

「何だ! このストーリーは」と言う不思議な世界観。しかし全体の物語に注目する映画ではなくて、「そんな馬鹿な!アクション」を堪能する映画。
空中を走る。壁を歩く。回転ジャンプ。そして切れ味抜群の名剣グリーン・デスティニー。
俳優ミシェル・ヨーとチャン・ツィイーの体を張ったアクションシーンは吹き替えの人との編集がお見事で、本当に女優が戦っていると初見は思ったもんだ。
チョウ・ユンファは剣を使ったアクションが苦手なので、あえて片手で戦う事で一番強く見えるのも不思議。流石の編集。
チャン・ツィイーは撮影中に自分のキャラが理解出来てたか疑問に思うくらいに変怪する。
チャン・ツィイーのお色直しで、まるでファッションショーのよう。
楽しめる要素は多くて、ユエン・ウーピンのワイヤー・アクション演出、タン・ドゥンの音楽、ヨーヨー・マのチェロ演奏も融合した美しいアクション映画の1本。

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ナイン・わんわん

4.0 【中国武侠映画の面白さを世界に知らしめた華麗なワイヤーアクション作品。デビュー作”初恋のきた道”で清楚にデビューしたチャン・ツィイーのラブシーンに中国男性達がスクリーンに釘付けになった作品でもある。】

2025年4月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

興奮

幸せ

■宝剣グリーン・デスティニーの遣い手として名を馳せる剣豪リー・ムーバイ(チョウ・ユンファ)は、続く抗争に嫌気がさし、剣を捨てることを決意する。
 そして、グリーン・デスティニーを北京のティエ氏(ラン・シャン)に届けるよう、女弟子のユー・シューリン(ムッチャ若いミシェル・ヨー)に頼む。だがその夜、屋敷に何者かが忍び込み剣を盗まれてしまう。その剣を盗んだのは一見御淑やかだが、剣術に優れた臨家の娘イェン(チャン・ツィイー)だった。

◆感想

・序盤からワイヤーアクションを使った剣劇が凄い。後年のワイヤーアクションより、動きが滑らかな気がする。故にイェンの激しい剣劇が優雅な風合を持っているのである。

・イェンの面倒を長年してきた碧眼狐(チェン・ペイペイ)が、文盲である自分の技を彼女が上回ったと知らされた時の、嫉妬の表情。イェンを演じたチャン・ツィイーのちょっとイジワルそうな顔が、キュートである。(オバカ)

■今作の見所は剣劇だけでなく、自分を攫った野盗のロー(チャン・チェン)と、イェンとの恋と、リー・ムーバイを慕うユー・シューリンの儚い恋の二本立てラブストーリーである。
 当時、新人だった私が中国出張に行った際に、映画好きの現地マネージャーと夕食を取っていた時に彼が言った言葉は忘れ難い。
 現地マネージャー:”チャン・イーモウ監督が、コン・リーの後釜として発掘した純情可憐なチャン・ツィイーに、ラブシーンをさせるなんて、アン・リー監督はヒドイ人です!”
 私:”でも、観ちゃったんでしょ?”
 現地マネージャー:”ハイ・・。若かったので、スクリーンに釘付けでした・・。”

<今作は、全編に亙り激しい剣劇を盛り込みつつ、優雅な風合を最後まで醸し出している、中国武侠映画の面白さを世界に知らしめた華麗なワイヤーアクション&ラブストーリー作品なのである。
 中国の男性達が、今作のチャン・ツィイーの優雅だが、激しいラブシーンにドキドキしたという(NOBU調べ)作品でもある。>

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共感した! 4件)
NOBU

5.0 舞台に酔える作品

2025年3月11日
PCから投稿

チャン・ツィイーの華奢で可憐な美しさ、それでいて強い。ミシェル・ヨーとの激闘シーンも竹林でチョウ・ユンファと戦うシーンも良いね。特に竹林のシーンは幻想的であり得ないなんて思いながら美しさに酔える。ヒトが飛び三次元の動きをするアクションは夢みるようだ。役者さんたちもスタッフも研究した成果と思うが、その努力に値する出來で十分な2時間だった。
ストーリ的にはイマイチだったけど、それを補って余りあると思う。こういうのも良いね。ずっと観たかった作品。

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