プレデター バッドランド

劇場公開日:2025年11月7日

解説・あらすじ

1987年の第1作以降、人類と宇宙最強の狩人プレデターの死闘を描いてきた「プレデター」シリーズ。その歴史の中で初めて、プレデター自身を主人公に据えて描いたSFアクション。

掟を破った若きプレデターのデクは、生存不可能とされる最悪の地「バッドランド」に追放される。さらなる強敵を求めて戦い続けるデクは、その旅路の中で、思いがけない協力者となる謎のアンドロイドの少女と出会う。自分たち以外は敵だらけという世界で、デクと少女は生き残りをかけた過酷なサバイバルを繰り広げることになる。

これまで“狩る側”として描かれてきたプレデターが、本作では“狩られる側”となる新たな視点で物語が展開。下半身を失いながらも神秘的な存在感を放つアンドロイドの少女を、「マレフィセント」「名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN」のエル・ファニングが演じる。監督はシリーズ前作「プレデター ザ・プレイ」で高い評価を獲得したダン・トラクテンバーグ。

2025年製作/107分/G/アメリカ
原題または英題:Predator: Badlands
配給:ディズニー
劇場公開日:2025年11月7日

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映画レビュー

4.5 てっぺん取ったるぞ精神のSF版ワンピース

2025年11月30日
PCから投稿
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共感した! 2件)
村山章

4.0 リドスコ、スピルバーグ、キャメロンらSF巨匠の功績を継承

2025年11月27日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

興奮

過去作で“醜い顔”と呼ばれてきた悪役エイリアン、プレデターをシリーズで初めて主人公にすると初めて聞いたときは不安もあったが、杞憂だった。原案にもクレジットされているダン・トラクテンバーグ監督は開発初期、このアイデアをジェームズ・キャメロンに相談したという。キャメロン監督は「ターミネーター」で悪役だったタイトルロールを、続編の「ターミネーター2」で善玉にして映画ファンを驚喜させた先達だ。

キャメロンはまた、「アバター」シリーズで異形のクリーチャーを主人公にして大成功した点でも、「プレデター バッドランド」にとって良い前例を作ったと言える。ただ、異形のクリーチャーをメインキャラクターに据えて成功した例をさらにさかのぼれば、スピルバーグ監督の「E.T.」も外せない。「E.T.」は1980年代の世界興収1位だったし、「アバター」は世界興収歴代1位(ちなみに続編は歴代3位)。こうしたメガヒット作によって、非人間キャラが主人公のSF映画に観客側が慣れてきた一面もあるだろう。

ウェイランド・ユタニ社やパワーローダーなど、「エイリアン」シリーズとのつながりが「バッドランド」にあることも見逃せない。リドリー・スコット監督による第1作が大ヒットし、続編「エイリアン2」ではキャメロンが脚本・監督を担当。「エイリアン」と「プレデター」の両シリーズが20世紀フォックスの知的財産(IP)だったおかげで、「エイリアンVSプレデター」も実現していた。

こうして振り返ると、トラクテンバーグ監督はSF映画の巨匠らの功績を巧みに継承し、難しい挑戦を見事成功へ導いたのだと改めて感じる。若きプレデター・デクの相棒に半身のヒューマノイド・ティアを配し、エル・ファニングを起用できたことも大ヒットの要因だろう(2025年映画の世界興収で20位以内に迫る勢いだとか)。

いかにもCG然としたバッドランドの景観や、格闘アクションでの新味の乏しさなど、不満がないわけではないが、新章の第1作としては上首尾ではないか。今作の成功を受けての次回作の予算はさらに増えるはず。1987年の第1作で主演したアーノルド・シュワルツェネッガーと、シリーズ復帰に向けた交渉も進行中と報じられている。シュワちゃん復帰を含め、シリーズの今後の発展が楽しみだ。

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高森郁哉

4.0 87年の第一作目に恐怖した自分と語り合いたくなる快作

2025年11月27日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

良作と出会うと誰かと語りたくなる。が、本作で最も語り合いたい相手は一作目に恐怖した87年当時の幼い自分かもしれない。かつての悪役が主人公になる。そんな想像を超える難題をやってのけたこの映画はやはり画期的だ。従来の凶暴性をややアドベンチャー色に移行しつつ、「狩るもの/狩られるもの」の二者択一の図式からも解き放たれた本作。そもそも一つの種族が永遠に他者を狩り続けることなど不可能であり、そのカルマの中ではいつか自分も誰かに狩られて淘汰されることは必然だ。出口があるとすればそれは本作が示す「他者との共存」しかないのだろう。全く異なる出自を抱えた者らが、家族や組織のしがらみを超えて運命的に繋がりゆく過程は非常にドラマティックで、惑星の生態系が巻き起こすフィジカルなアクションもワクワクするほど楽しい。そして何と言ってもエル・ファニング。上半身だけで破格の新風をもたらしたその存在感はまさに神がかり的だ。

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牛津厚信

4.0 プレデターがさらに人間味を帯びて降臨

2025年11月15日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

楽しい

シリーズ第一作(1987年)でアーノルド・シュワルツェネッガー以下、強靭なコマンドーたちを次々と狩って行った無敵の地球外生物、プレデターだったが。

あれ以降、恐らく『エイリアンvs.プレデター』(2004年)あたりを境に人間側についた感があるプレデターである。それは、見た目もやって来たこともヒールそのものだったエイリアンと対峙した時明らかになった、宿命的な立ち位置だった思う。

そんなプレデターが、最新作では掟を破って故郷を追放された若き戦士として、もはや人間でもないアンドロイドと協力して苦難に立ち向かう。つくづく、時代は変わったものだ。

描かれるのは、家族とは、親子とは、兄弟とは、友情とは、という、益々ヒューマンなテーマ。同時に、細部にユーモアがあるのもシリーズならではだ。マスクを取った時のプレデターの素顔の変化も見逃せないオススメの1作だ。

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清藤秀人