アンダー・ザ・シルバーレイク : 特集
【編集部&映画ファン超待望】傑作「イット・フォローズ」監督の最新作
リンチ? ヒッチコック? P・T・アンダーソン? いや違う──
本作は、あなたの“映画経験にない”新感覚ネオノワール・サスペンス!
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ずっとつきまとう“それ”の恐怖を描き、全世界でスマッシュヒットした「イット・フォローズ」の監督が、とんでもない映画を携えて帰ってきた! その名は、「アンダー・ザ・シルバーレイク」(10月13日公開)。米ハリウッド近くの“芸術の街”シルバーレイクを舞台に、オタク青年が美女の失踪事件を追う物語だ。この映画、まるで普通じゃない! ドラッギーでサイケな映像、ちりばめられた謎、デビッド・リンチやヒッチコックの引用……底抜けに奇妙で怪しい世界に、あなたは魅入られ、溺れてしまう――。
A24、ニルヴァーナ、ヒッチコック、ニンテンドーにA・ガーフィールド──
[“私たち”映画ファンが本作を待ち望んでいる10個の理由]
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映画ファンであれば、この作品を無視することはできない――。数え切れないほどの“見るべき理由”が備わっているからだ。鬼才デビッド・ロバート・ミッチェル監督の“メジャーデビュー作”、エッジーで多層的な世界観、映画・音楽・漫画・ゲームといったポップカルチャーの要素……我々は苦心の末に、膨大なトピックを10個にまで絞った。「これまでにない」未体験の領域が、あなたを待ち受けている!
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「アメリカン・スリープオーバー」で思春期の心の機微を掬い取り、傑作「イット・フォローズ」でホラー映画に新風を吹き込むと、瞬く間に映画ファンが新作を待ち望む監督の1人になったデビッド・ロバート・ミッチェル。これまでの作風を打ち破る壮大かつ強烈な“新味映画”である本作で、価値観をぶっ飛ばす!
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「ハクソー・リッジ」でアカデミー賞主演男優賞候補に選出され、2018年6月には“演劇界の最高賞”トニー賞の主演男優賞に輝いた実力者アンドリュー・ガーフィールド。作品選びにたけた慧眼(けいがん)の持ち主でもある彼が主演したとなれば、“ハズレなし”は間違いない。
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家賃を滞納し、毎日だらだら……。どこからどう見てもダメなゲーム好きのオタク青年が、ハリウッド中を巻き込む巨大な闇に単身挑む!? 本作は、ロサンゼルスを舞台にした変化球の“探偵もの”。美女の失踪事件に始まり、誰も見たことがない陰謀へ――。雪だるま式に膨れ上がるストーリーが秀逸!
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同じハリウッドを舞台にした「ラ・ラ・ランド」の“悪夢版”とでもいうべき描写も多数。同じグリフィス天文台でロケを行いながら、真逆のシーンが展開する。駆け出し時代のコーエン兄弟など、夢追い人が多数暮らした“アートの街”に沈殿する衝撃的な陰謀の数々に、脳がみるみる浸食されていく!
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成長著しい製作スタジオA24も、見逃せないポイント。「ルーム」「エクス・マキナ」「ムーンライト」「レディ・バード」など傑作を立て続けに放ってきた彼らの新作とあらば、注目しない理由を探す方が難しいというもの。我々編集部も、待ち望んでいた1本だ。
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全米に先駆けて日本公開されることもあり、試写会は毎回行列状態。映画業界にとどまらず、多方面のプロが押し寄せる異例の事態に突入している! うわさがうわさを呼び、最早無視できない状態にまで膨張。我々としても、改めて作品が持つ“魔力”を実感させられた。この波はまだまだ終わらない!
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5月にカンヌ国際映画祭で披露されると論争を呼び起こし、「果てしなくユニークな意欲作! ミッチェル監督の作品に、想像以上にドップリ、ハマッた」(米バラエティ)、「ハンパなくブッ飛んだ、たたかれるのを計算して作ったような野心作!」(AV Club)など、有力誌・有名サイトの識者をうならせた。
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主人公が美女を観察する「裏窓」オマージュに始まり、部屋に飾られたポスター、各キャラクターが着用するTシャツ、劇中に登場する映像など、「マルホランド・ドライブ」「ボディ・ダブル」「めまい」といった過去の名作を挑戦的にサンプリング。見るほどハマる“やりこみ要素”も、選ぶべき理由だ!
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世界的オルタナティブ・ロックバンド「REM」の楽曲が、つかみどころのない魅力を放った本作に一層雰囲気をプラス。さらに、主人公はカート・コバーンを崇拝しており、音楽も重要なキーとなっている。サントラでは、日本人にはおなじみのゲーム「ゼルダの伝説」の楽曲も参考にされたという!
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ポスターにもある“仕掛け”が施されている。水中に沈みゆく美女をとらえたポスターには、よく見ると劇中の謎を紐解くキーアイテムの数々が潜んでいるのだ。ミッチェル監督による「観客への挑戦」は、ポスターの時点ですでに始まっている? 劇場で“答え合わせ”をしたくなる映画なのだ!
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ストーリーを紐解くと──想像以上の“未経験”ばかり
【形容不能】「奇抜」「新鮮」「衝撃」、どの言葉も、この映画の前では陳腐
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本作では一体、何が描かれるのか? 主軸となるのは、主人公サム(ガーフィールド)の隣人サラ(ライリー・キーオ)の失踪事件。サムは、彼女の足取りを追ううちに、華やかな街に潜む“闇”へと足を踏み入れていく。同時に、物語は奇怪な広がりを見せ始め、形容しがたい“ワンダーランド”へと変貌――。都市伝説、暗号、雑誌やレコードに隠されたサブリミナルといった要素が加わり、見る者を混乱と陶酔の境地へと導いていく。筆舌に尽くしがたい「初めて見る世界」、それこそが本作の妙味だ。
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サラの失踪と同じくして、一大事件が世間をにぎわす――。大富豪や大物映画プロデューサーが、相次いで行方不明・または死亡する事件が頻発。明らかに“何か”がおかしい……。「ひょっとして、これらの事件はつながっているのか?」、疑いを強めるサムの前に、驚くべき“真実”が立ち現れる!
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映画の冒頭から印象的に登場する、謎の「犬殺し」。その名の通り、なぜか犬だけを狙い、闇夜に紛れて凶行を繰り返す危険人物だ。犯行目的は? そして正体は? さらに、道路やショーウインドウにスプレーで書かれた「BEWARE THE DOG KILLER(犬殺しに用心せよ)」のメッセージの“真意”とは?
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サムが本屋で手に取った一冊の本。そこには、シルバーレイクで暗躍する“梟女”の存在がほのめかされていた。姿かたちは、梟の仮面をつけた裸の女。妖艶(ようえん)な魅力で男たちを惑わし、鋭い爪でのどを切り裂き絶命させる。「そんなの、いるわけない」、そう思っていたサムだったが……!?
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失踪事件を調査するサムは、さまざまなパーティに出入りし、証言集めに奔走。そのさなか、夜道を歩いているといきなり暗闇から怪しい人物が出現し、サムを震え上がらせる! だが、それは始まりに過ぎなかった……。「イット・フォローズ」を彷彿させる、身の毛もよだつ恐怖演出に戦慄させられる。
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劇中で謎を解く手がかりとなるのが、「イエスとドラキュラの花嫁たち」という音楽バンドの「回る歯」と冠された意味深な楽曲。曲に隠された暗号に気づいたサムは、壮大な陰謀の解明に大きく近づくのだが……。ミッチェル監督自身が作詞を行ったこだわりの一曲は、中毒性抜群。劇場で聞きほれてほしい。
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サムのアパートから見える、女性ヌーディストが暮らす“鳥屋敷”。一見、事件とは無関係に思えるものの、彼女が飼っているオウムはずっと何らかのメッセージを繰り返し発信している――。“警告”なのか、“真実”なのか? それとも“でたらめ”なのか? 真相は、あなた自身の目で見届けてほしい。
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