マルチェロ・マストロヤンニ

イタリアを代表する名優のひとり。ラツィオ州に生まれ、トリノを経てローマに移る。第2次世界大戦中、ドイツの捕虜収容所に送られるが脱出してベニスに身を隠す。1939年からエキストラとしてイタリア映画に出演しはじめ、英米映画の配給会社「イーグル＝ライオン・フィルム」のローマ支局で働きながら演劇クラブに所属。そこでルキノ・ビスコンティに見出され、「白夜」（57）の主演に抜てきされる。

フェデリコ・フェリーニ監督のパルムドール受賞作「甘い生活」（60）で一躍世界的スターの座へ駆け上がり、同監督の「8 1/2」（63）にも主演。「イタリア式離婚狂想曲」（62）でゴールデングローブ賞最優秀主演男優賞（コメディ／ミュージカル）を受賞し、同作と「特別な一日」（77）、「黒い瞳」（87）でアカデミー主演男優賞に3度ノミネートされた。

その他の代表作に「夜」（61）、「あゝ結婚」（64）、カンヌ国際映画祭の男優賞を受賞した「ジェラシー」（70）、「ジンジャーとフレッド」（85）など多数。世界の名匠から愛されつつ、96年、膵臓がんでこの世を去った。ベネチア国際映画祭では98年から、新人俳優賞としてマストロヤンニの名を冠したマルチェロ・マストロヤンニ賞が創設されている。