テレンス・マリック
米イリノイ州出身。ハーバード大学で哲学を専攻し、1965年に主席で卒業。その後英オックスフォード大学に留学するが、教授との意見の相違で中退する。帰国して、マサチューセッツ工科大学で哲学の講師を務めるかたわら、映画製作を学び始める。
72年「ポケット・マネー」(日本未公開)で脚本家デビュー。翌年「地獄の逃避行」で初メガホンをとり、続く「天国の日々」(78)でカンヌ国際映画祭の監督賞を受賞。その後、映画界から姿を消しパリで隠遁生活を送る。20年ぶりの監督作「シン・レッド・ライン」(98)でベルリン国際映画祭の金熊賞を受賞、アカデミー監督賞と脚本賞にもノミネートされ、第一線に返り咲いた。「寡作の名匠」として認識されていたが、21世紀に入ってからは監督作を次々世に出している。
2005年の「ニュー・ワールド」に続く監督第5作「ツリー・オブ・ライフ」(11)は、カンヌで最高賞パルムドールを受賞。その後「トゥ・ザ・ワンダー」(12)、「聖杯たちの騎士」(15)、16年には「ボヤージュ・オブ・タイム」を通常版とIMAX版で公開し、「ソング・トゥ・ソング」(17)を経て、19年にはナチスに抵抗した実在の人物の半生を描いた「名もなき生涯」がカンヌのコンペティション部門に出品された。