聖杯たちの騎士
劇場公開日:2016年12月23日
解説
「ツリー・オブ・ライフ」「シン・レッド・ライン」の名匠テレンス・マリックが監督・脚本を手がけ、クリスチャン・ベール、ケイト・ブランシェット、ナタリー・ポートマンら豪華実力派キャスト共演で描く恋愛ドラマ。気鋭の脚本家リックは、ハリウッド映画の仕事を引き受けたことをきっかけにセレブな生活を送るようになるが、その一方で心の奥底に怯えや虚しさを抱えていた。進むべき道を見失ったリックは、6人の女たちとの出会いと愛を通して自分の過去と向きあっていく。「ゼロ・グラビティ」「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」「レヴェナント 蘇えりし者」で3年連続アカデミー撮影賞を受賞したエマニュエル・ルベツキが撮影を手がけた。
2015年製作/118分/G/アメリカ
原題:Knight of Cups
配給:東京テアトル
スタッフ・キャスト
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2016年12月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
言うまでもなく、テレンス・マリックは『ツリー・オブ・ライフ』で現代最高の映画監督の一人として賞賛を獲得するに至った。だが、その後に続く『トゥ・ザ・ワンダー』から本作『聖杯たちの騎士』への移り変わりの中では、簡単に文字へ落とし込めるような物語性に執着しない“独自の話法”を求めて広い荒野を彷徨っているようにも思える。もしくはエマニュエル・ルベツキという現代最高の撮影監督による有機的映像の連なりを使って、“心象を綴る”ことのさらなる可能性を突き詰めたいと考えているのだろうか。いずれにしても本作は、クリスチャン・ベイルやケイト・ブランシェット、ナタリー・ポートマンという名優を配しながら、その心象世界へ没入するには深度がやや足らず、観客に自分が今いる位置をすっかり見失わせてしまう場面も多い。数ある彼の劇場作品の中でも最も娯楽性の枠から解き放たれ、映画をもっと幅広く捉えたアートな立ち位置にある一作と言えるのかもしれない。
2016年12月23日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
テレンス・マリック監督と、撮影の名手エマニュエル・ルベツキによる4作目のコラボで、珠玉の映像詩がさらに進化。美しい世界に漂う感覚にゆったりと浸ることができる。
オールスターキャストで豪華な顔合わせながら、クリスチャン・ベールが女優一人一人と順に会っていく基本構成のため、美人女優のカタログのようで、物足りなさも。イモージェン・プーツがキュートで、もっと見ていたかった。
実はマリック監督、本作の撮影と同じ頃にもう一本のオールスターキャスト映画「Weightless」を撮っている(来年3月米公開)。ベール、ブランシェット、ポートマンらキャストの重複があり、ルーニー・マーラ、ヘイリー・ベネットら新進女優の参加も。こちらは音楽業界を舞台に2組の三角関係が描かれるので、アンサンブルの観点ではより楽しめそうだ。「聖杯~」と「Weightless」を両方観ることで新しい発見があるかもしれない。
2020年11月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
媚びない。他者を寄せ付けない。
それでも、惹きつけられる瞬間があり、なぜか後を引く。
一応、タロットカードになぞらえ、起承転結の章立てはあるものの、
万人受けする映画ではない。
けれど、はまる人がいるのも納得。自己満映画ギリギリの芸術性。その危うさ・かつ安定さ。そこにはまりそうだ。
自叙伝?
私的な内面との対話。告解を聞くような。禅問答のような。
都会という荒野を、福音を求めてさまようが如くな映画。
キリストが、荒野で、キリストを誘惑する悪魔に出会うが如く、なんてのを連想してしまった。
女の方からしたら、リックこそがファウストかメフィストフェレスかってところだろうが。
キリスト教・聖杯伝説・タロットになじんでいれば、解釈が異なるのだろうか?
写真集にしたいような、愁いを帯びた大自然。無機質な建造物。
この角度でとらえるかという独特なアングル。
なんという海の色、
空の表情の豊かさ、
山脈の美しさ。
羊水に抱かれ、禊をし、
帰るべきヘブンを思うが、夢のまた夢、
自分がどこにいるのか、方法さえわからない。
そして、役者の演技。
ポートレート的映像とは違う。演技が映像の一部になる。この感覚も独特。初めての体験。
ちょっとした表情・体の線で様々なことを(言葉なく)雄弁に語るブランシェットさん。
喚き散らして映像から飛び出してしまったポートマンさんとは違う。
映像に飲み込まれてしまった他の役者とも違う。
格の違いを見たような気になる。
演出上の差なんだと思うけれど。
そして、この映像にこの音楽を合わせるかという感覚。
何かよくわからない、自分自身の心の窓が開いてどこかに繋がりそうな感覚。そう、繋がらない。繋がりそうなだけ。だからもどかしくフラストレーションがたまるのだけれど、そのもどかしさが後を引く。
映像でしか紡げない世界観。
その掛け合いの妙は『2001年宇宙の旅』くらいに意味不明。
だからこそ、解明したくなる?
ただ、物語の緊迫感が全く違う。
『2001年宇宙の旅』は、何か新しいものが始まる予感を感じさせてくれた。けれど、この映画は、映画の雰囲気におぼれそうになる。ラストに何を意味付けするのかによっても、映画への評価が変わってくる。
ていねい・緻密に、自己と向き合いながら、真摯に作った作家性の強い映画。
とはいえ、登場人物や語りに感情移入がし難く…。
語り・音楽は盛り上がりがなく淡々と…。
余程、この監督やこの手の映画が好きでないと…。
2020年10月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
1人の人の迷いやそれを解決、発見するまでの話しなんだと思う。だが、いろんな人が語ってて、ちょいちょい迷子になってしまった。
難しいな。時間軸とか、関係性が曖昧で、読解力が足らなかったのか…はたまた、それがそういうもんよねって話しだったのか…正解はないのかも。