劇場公開日 2021年4月2日

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僕が跳びはねる理由 : 特集

2021年5月28日更新

シネマ映画.com独占先行配信スタート!
「僕が跳びはねる理由」

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月会費なしで、気になる作品を単体購入で手軽に鑑賞できるサービス「シネマ映画.com」。本日5月28日から、「僕が跳びはねる理由」(字幕版・吹替版)の独占先行配信がスタートしました。会話のできない自閉症という障害を抱える作家・東田直樹さんが13歳の時に執筆したエッセイをもとにした英国のドキュメンタリーです。吹替え版では人気声優・河西健吾さんがナレーション参加し、東田さんの言葉を優しく穏やかに伝えます。このほど、作品選定メンバーが見どころをチャットで語り合いました。今、この作品をオンラインで鑑賞できるのは、シネマ映画.comだけ。自閉症についての理解を深めることができると同時に、自閉症者が感じている世界、独特なものの見方を体感できる作品です。是非、この機会に触れてみてください。

参加メンバー

駒井尚文(映画.com編集長)、和田隆、荒木理絵、松村果奈


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「僕が跳びはねる理由」(2020年/ジェリー・ロスウェル監督/82分/イギリス)

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<あらすじ>

世界30カ国以上で出版されたエッセイ「自閉症の僕が跳びはねる理由」をもとに、世界各地の5人の自閉症の少年少女たちの姿やその家族たちの証言を通して、自閉症と呼ばれる彼らの世界が、普通と言われる人たちとどのように異なって映っているのかを明らかにしていく。そして、自閉症者の内面がその行動にどのような影響を与えるかを、映像や音響を駆使して再現。彼らが見て、感じている世界を疑似体験しているかのような映像表現を紡ぎ、「普通とは何か?」という抽象的な疑問を多角的にひも解いていく。


駒井 日本の少年が書いた本が、世界中で自閉症の子どもを持つ親のバイブルになっているという話には感動しました。

松村 私は自閉症についての知識はほとんどなかったですし、この作品の公開前の告知を見ても、最初はどんな内容の映画なのか、全く想像がつきませんでした。

荒木 驚きの連続でした。自閉症の方々が世界をどのように見ているのか、こんなにちゃんと描けるものなんだなあと。

和田 世界各地の5人の自閉症たちの姿やその家族たちの証言を通して、自閉症と呼ばれる彼らの世界が、普通と言われる人たちとどのように異なって映っているのかを明らかにしていきますね。

荒木 同じ言葉を繰り返してしまったり、突然声を発したり、私たちから見ると理解しがたい行動に見えても裏にはちゃんと理由があったんですね。

駒井 この映画見て、原作本も読み始めました。松村さんは原作者にインタビューしてましたよね。

松村 はい、お母様のサポートもあり、東田さんが文字盤を用いて、私の質問にとても真摯に応えてくださったのが印象的でした。東田さんの回答が、深く思考しないと出てこない知的な示唆に富むものなので、“普通”の人が自由に会話できることの重要さって? と逆に考えさせられました。

駒井 映画でも、文字盤使って言葉を表現するシーンは感動的ですよね。おお、コミュニケーションできるんだね!って。

松村 アメリカの自閉症の男女のお友達同士、文字盤で会話できるようになったのはうれしかっただろうなあと思いましたが、以前から言葉がなくても仲良くできるふたりでもあるんだなと、羨ましいくらいでした。

和田 言いたいことが言えない生活というものを想像できませんでしたが、自閉症の人たちがこの世界をどのように見て感じているのか、彼らに寄り添いながらなんとか映像や音響でも表現しようとしています。

駒井 東田さんの「みんなの記憶は線で繋がってるけど、僕の記憶は点の集まり」という言葉が凄く印象に残っています。繋がってないから、思いがけない言葉が出てくるのかも。

荒木 言葉によるコミュニケーションの代わりに、鮮やかで印象的な絵を描く少女も出てきますよね。あの絵、すごくカッコいいなと思いました。

駒井 インドの女の子ですね。

松村 インドの彼女は、あの絵で生計も立てられるでしょうし、アーティストですよね。

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和田 自閉症の方の中には、記憶力が秀でているなど、ある種の特殊な能力を備えている方が多いですね。

駒井 「自閉症」ってひとくくりにしてますけど、この映画に出てくる人たちは、みんな微妙に違うキャラに見えました。アフリカの少年少女なんか、閉じてないですよね。解放的で大騒ぎしてる。

松村 「自閉」という日本語があまりいい印象を与えませんよね。この映画を見て、彼らの世界がものすごく豊かで開かれている印象受けました。

駒井 同感です。私は「自閉症」という単語が間違いなんじゃないかと思いました。英語だと「autism」って言うんだけど、「自閉症」というよりは「自分症」だと思うんですよ。

松村 それは、「自閉」よりずっといいですね!

荒木 子供が「悪魔」と呼ばれて集落を追放されてしまう、と訴える親たちも出てきますね。不寛容や無知のせいで、彼らはすごくつらい目に遭っています……。

和田 彼らの家族の苦悩や喜び、そして東田さんが心の中を言葉で表現したことによって、救われたことなども描かれています。

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駒井 あの両親は偉いですよね、自分たちで学校作って、近隣の自閉症の子どもたちに教育を与えている。

松村 家族のご苦労はもちろん計り知れませんが、それ以上に我が子から学ぶことや社会の中で彼らの存在を守らなければ、という使命感も大きいのだろうな、と思いました。

駒井 そう言えばこの映画、色彩感覚が素晴らしいですよね。キッチュな感じもちょっとあって。子どもたちの来ている洋服がいちいちカワイイ。

和田 音響にもこだわってますね。

松村 見ていて癒されるようなアート映画のようでした。

荒木 東田さんの語りと共に、新しい世界を見せてもらってる感じでした。

和田 改めて“普通”とは何かを考えさせられました。

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駒井 主演の男の子が出てくるシーンは、かなりハイコンセプトな画作りをしています。送電線とか、鉄道橋とか、相当大規模なロケハンやってると思います。しかも、手持ちカメラの移動撮影で、恐らく照明も最低限。クロエ・ジャオも同じ。テレンス・マリックスタイルです。

松村 何カ国にも行ってますしね。どんなカメラマンだったのか気になります。

駒井 そうなんですよ。インド、スコットランド、シエラレオネ、あとアメリカかな? かなりバジェットの大きな作品だと思います。

和田 監督は、自然保護団体グリーンピースの創設者たちを描いた作品や、インドの辺境の地に子供が自律的に学べる学校を作る取り組みを記録した作品なども手掛けていますね。

駒井 なるほど。他の作品も見てみたいですね。画のクオリティが半端ないですからね。

荒木 ドキュメンタリー苦手な方でも楽しめると思います!

駒井 そうそう。アート作品だよね。

松村 東田さんが、あのエピソードを繋ぐ少年について語ってくださっているので、ぜひインタビューを読んでほしいです。

駒井 それは読みたい。あの赤い服の少年が、一応「主演俳優」で、彼の登場するシーンは、すべてポエムのような映像になってる。

松村 あの少年を使った構成がいいですよね。意図を監督に聞いてみたいですね。

駒井 そうなんですよ。ドキュメンタリーの構成として、かなり斬新で画期的だと思います。あと、あの文字盤は、楽器みたいですよね。文字盤つかって文字を奏でているよう。まるで打楽器だな。

和田 入口はアート作品として見てもらえれば、鑑賞後には自閉症の方に対する考え方も変わると思うので、多くの人にインタビュー記事と併せて見て欲しい作品です。

駒井 そして原作も是非読んでいただきたい。世界中で愛される原作本ですからね。

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