ダニエル・デイ=ルイス、8年間の引退生活を語る
2025年9月11日 19:00
Photo by Jamie McCarthy/Getty Images for National Board of Review3度のアカデミー賞主演男優賞を受賞したダニエル・デイ=ルイスが、8年間の引退生活を終えて俳優に復帰する心境を米ローリング・ストーンで初めて詳しく語った。息子ロナン監督の新作「アネモネ」で銀幕復帰を果たす67歳の名優は、引退の真相について率直に明かした。
デイ=ルイスは2017年6月、ポール・トーマス・アンダーソン監督の「ファントム・スレッド」を最後に俳優業からの引退を宣言していた。当時の代理人は「ダニエル・デイ=ルイスは俳優として働くことをやめます」と発表し、映画界に衝撃を与えた。
しかし今回のインタビューで、引退の本当の理由を詳しく説明した。「仕事は常に愛していました。決して、決して愛することをやめることはありませんでした」としながらも、「そのプロセスの最後にいつも空虚感を感じていました」と心境を吐露。「最後の経験(『ファントム・スレッド』製作時)で、もうその再生はないかもしれないと強く感じ始めたのです。ただ遠ざかっていた方がいいかもしれない、もう提供できるものは何もないのだから」
息子ロナンとの共同作業については特別な思いを語った。「ロナンが映画を作り続けることを知っていたのに、私がそれから離れることに対して、ある種の残念な気持ちがありました。一緒に何かできて、それを何らかの形で抑制できたら素晴らしいだろうと思ったのです」
「アネモネ」への出演決定については、当初は脚本だけ書いて他の俳優に役を渡すことも考えていたが、息子ロナンが「私がやらないなら彼もやらないと明確にしました」と語った。復帰への不安もあったという。「再び公の世界に戻ることについて、ある種の不安がありました」
年齢を重ねることについても言及した。「年を取るにつれて、炉が再び燃え上がる場所への道のりを見つけるのにますます時間がかかるようになります。でもロナンと働いて、その炉がただ燃え上がったのです。そして最初から最後まで、彼と一緒にその時間を過ごすことは純粋な喜びでした」
「アネモネ」は、北イングランドの森に住む隠遁者をデイ=ルイスが演じる物語。兄役のショーン・ビーンの訪問により、主人公が謎めいた過去と向き合うことになる。サミュエル・ボトムリー、サフィア・オークリー=グリーン、サマンサ・モートンが共演する。
デイ=ルイスは「マイ・レフト・フット」(1989)、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(2007)、「リンカーン」(2012)で3度のアカデミー賞主演男優賞を受賞。1997年にも一度引退し、イタリアで靴職人として生活したが、2002年のマーティン・スコセッシ監督「ギャング・オブ・ニューヨーク」で復帰した経験がある。
「アネモネ」は10月3日にアメリカで限定公開され、10月10日に全国に拡大する予定。
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