シン・エヴァのあの楽曲も… 映画音楽の巨匠ミシェル・ルグランに影響を受けた音楽家&クリエイター12名が熱烈コメント
2025年9月9日 09:00

「ラ・ラ・ランド」などに絶大な影響を与え、映画音楽の歴史を変えた音楽家の人生と最後の舞台裏に迫るドキュメンタリー「ミシェル・ルグラン 世界を変えた映画音楽家」。ルグランの偉業をリスペクトする日本の音楽家や文化人12名のコメントが公開された。
1979年に公開された実写映画「ベルサイユのばら」の原作者である漫画家・声楽家の池田理代子、ミュージカル「シェルブールの雨傘」でギイ役を演じたミュージカル俳優の井上芳雄、ジャズや映画音楽の批評を通じてルグランを論じてきた音楽家・文筆家の菊地成孔、「CURE」(97)、「愛がなんだ」(19)、「近畿地方のある場所について」(25)などの音楽を手掛け、ルグランから大きな影響を受ける作曲家のゲイリー芦屋、渋谷系ムーブメントを牽引し、ルグランの音楽を強くリスペクトしてきた音楽家の小西康陽に加え、作・編曲家の鷺巣詩郎は、ルグランを敬愛し、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」(21)のサウンドトラック収録曲にオマージュを込めて作曲したと語る。ルグランを知らない若い世代も「ロシュフォールの恋人たち」の劇中曲「thème Du Concerto」を聞けば、鷺巣氏の「thème du concerto 494」が想起されることだろう。

そして、ジャズを基盤に映像音楽やポップスを横断する活動スタイルにおいて、ルグランと共鳴する部分も多いピアニスト、作・編曲家の島健、ルグランと同じくパリ国立高等音楽院を卒業し、父・服部克久が彼と深い親交を結び、自身もその音楽観を継ぐ作曲家の服部隆之、ルグラン本人と深い親交を持ち、日本の窓口を務め、彼に関する書籍を多数執筆してきたアンソロジストの濱田髙志、シティポップ・ブームの立役者であり、「北ウイング」「悲しみがとまらない」など数々のヒット曲を手掛け、ルグランを敬愛する作曲家の林哲司、1970年からルグランが亡くなるまでの間、長い間友人関係にあった作曲家の村井邦彦、そしてルグランと数々の共演を重ね、絆を築いてきた歌手の森山良子という日本を代表する音楽家や文化人が、ルグランの才能を称えている。
映画は、ルグランの晩年の姿に密着すると共に、スティングをはじめ、ナナ・ムスクーリ、クロード・ルルーシュ、ノーマン・ジュイソンなど、45名以上の音楽家や映画監督、ルグランの家族たちのインタビューを交え、練習において自他共に一切の妥協を許さない厳格な姿勢、数々の栄光の裏に隠された挫折と苦悩など、これまで知ることのなかったルグランの素顔を余すことなく映し出す。
さらに、ジャック・ドゥミの「シェルブールの雨傘」、「ロシュフォールの恋人たち」、ジャン=リュック・ゴダールの「女と男のいる舗道」(62)、アニエス・バルダの「5時から7時までのクレオ」(62)、ノーマン・ジュイソンの「華麗なる賭け」(68)、クロード・ルルーシュの「レ・ミゼラブル」(95)、バーブラ・ストライサンドの「愛のイエントル」(83)など、ルグランが携わった30作以上の名場面が登場。16ミリカメラで撮影された若き日のルグランの秘蔵映像・音声録音など多くの個人的アーカイブも盛り込まれている。
9月19日からヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかで公開。9月16日には、本作へのコメントも寄せた菊地成孔と濱田髙志をゲストに迎え、先行有料上映会が開催される。詳細は、新宿武蔵野館のHPで告知している。
そうだ、音楽を愛することで人は出会い、人生を切り拓いていく。ミシェルの人生を通して描かれる、音楽の奇跡と生きる喜びが、それを鮮やかに示している。
映画を観ている間、胸に熱いものがこみ上げ、気づけば止め処なく涙が溢れていた。
ミシェルの音楽とともに生きた世代のみならず、これから初めて彼の音楽に触れるであろう未来の音楽ファンにこそ見てほしい、そんな永遠のマスタピースだ。
まばたきと共に新曲が生まれるほど多産型なのは、ずば抜けた編曲能力の賜物。
ミシェル・ルグランのスコア無しに、今の私は無い。
1992年、息子バンジャマンと仕事を共にし、最愛のミシェルにたどり着き再確認できた。
晩年までまったく衰えなかったその大編成表現から多くの閃きをもらい、
2019年、彼の死は私にシン・エヴァンゲリオン内にオマージュを残すことを促した。
なかでも、ディジー・ガレスビーをはじめ、ジャズ界のレジェンド達と共演している若き日の映像や、パリ音楽院で多くの有名作曲家を育てた伝説の名教師ナディア・ブーランジェの映像は初めて観ました。
そして多くの映画監督の巨匠達との革新的な名作誕生のエピソードや、創作の過程において絶対に妥協しない厳しい姿勢に、驚きと感動を覚えました。
エンドロールで流れる「風のささやき」の弾き語りは、今でも胸の奥に響いています。
パリ国立高等音楽院の和声のクラスで徹底的に叩き込まれたであろうle style(ル・スティル)(作曲家の様式)を一度手放し再構築したルグラン節。
これが世界中の人々に愛される。彼の音楽は潔くユーモアが有って、なにより美しい。そして美声の持ち主だ。
ハイトーンのベルベットボイスで歌う。僕は彼の声が大好きだ。
人声を基に楽器が発展していった歴史を鑑みれば、歌は音楽を表現するための最強のツールとも言える。
天から祝福されたルグランは何でもできるのである。
伝説の人物と同時代を共に過ごせた喜びを噛みしめながら、この映画を観ようではありませんか!
その華々しい活動の裏側で抱えた苦悩と葛藤、栄光と挫折を繰り返した天才の姿を活写した本作は、彼の遺言にして身をもって示す後進へのエールである。
その才能が、あくなき音楽への好奇心と挑戦に裏付けられたものだと改めて感じた。
ことに映画音楽において、音楽家の枠を超え、映画そのものの完成を見つめる“もう一人の監督”の視線が、あの名曲の数々を生み出したのであろう。
その彼を世界の場へ送り出す、キッカケの助言はなんと巨匠・ヘンリー・マンシーニ!
謝意をにじませた笑顔は、まさに才能が才能を呼ぶ感動のシーンだ。
晩年の現場。頭の中で既に完成された「音」へ、いち早くたどり着きたいもどかしさにいら立つ、少年のような熱狂は変わらなかった。
完成=それはこの偉大な音楽家の創作のエゴのゆくえ。
どこを切っても連続して流れるミシェルのエネルギーに満ちた思想と意欲が感じられ感動しました。
亡くなるまで走り切ったね、素晴らしい人生だったね、という言葉を天国のミシェルに送りたいです。
ミシェル・ルグランの音楽は、私の心を何度も震わせてきました。特に「Papa, Can You Hear Me?」を初めて聴いた瞬間、どうしても彼と一緒に音楽を作りたいという衝動に駆られたことを、今もはっきり覚えています。
「くだらない音楽は絶対にやるな」という言葉は、今も私の音楽人生を支えています。
ミシェルはもういませんが、彼が残してくれた情熱やこだわりは、今も私の中にあります。
それは、歌うことへの情熱を深く教えてくれた時間でした。
あの日々が確かに私の中で息づき続けていることを、この映画が静かに思い出させてくれました。
(C)-MACT PRODUCTIONS-LE SOUS-MARIN PRODUCTIONS-INA-PANTHEON FILM-2024
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