レ・ミゼラブル(1995)

劇場公開日:

レ・ミゼラブル(1995)

解説

「あの愛をふたたび」「ライオンと呼ばれた男」の名匠クロード・ルルーシュと主演ジャン=ポール・ベルモンドが3度目のタッグを組み、ビクトル・ユーゴーの名作小説を大胆にアレンジして激動の20世紀を舞台に描いた大河ロマン。

映画が誕生した1895年。アンリ・フォルタンが5歳の時、父親が無実の罪を着せられて獄中で無念の死を遂げ、母親もその後を追って自ら命を絶った。フォルタンはノルマンディーの漁村で居酒屋兼宿屋を営む夫婦に育てられ、過酷な少年時代を過ごす。1931年、ボクシングのチャンピオンになっていたフォルタンは引退して運送業を始める。第2次世界大戦が勃発すると、彼はユダヤ人の弁護士ジマン一家の逃亡を手伝うが、ナチスに協力する警察に逮捕されてしまう。その後脱獄したフォルタンは強盗団に加入、そして終戦間近にはレジスタンスに身を投じる。

ベルモンドが主人公とその父、さらに劇中劇のジャン・バルジャンの3役を務めた。2024年、ベルモンド主演作をリマスター版で上映する「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選グランドフィナーレ」(24年6月28日~、東京・新宿武蔵野館ほか)にて28年ぶりに劇場公開。

1995年製作/175分/フランス
原題または英題:Les Miserables
配給:エデン
劇場公開日:2024年7月5日

その他の公開日:1996年8月3日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第53回 ゴールデングローブ賞(1996年)

受賞

最優秀外国語映画賞  
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映画レビュー

4.5終映迫る!「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選グランドフィナーレ」 ベルモンド3役、集大成の一本! あのレミゼを第二次大戦下に翻案 激動の人生ドラマ

2024年8月2日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

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ITOYA

3.5「ユダヤ人映画」&「シン・家族映画」としての『レ・ミゼラブル』のマニアックな翻案作!

2024年7月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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じゃい

5.0それでも続く我等がベルモン道

2024年7月14日
iPhoneアプリから投稿

ベルモンド特集のグランドフィナーレを飾るに相応しい、堂々たる大河ドラマでした。『レ・ミゼラブル』の舞台を第二次世界大戦中のフランスに置き換えたのは大胆だけど、原作のエッセンスを押さえながら大量の登場人物や複雑な構成を見事に整理し、『哀れなるものたち』の不思議な運命を描き切った、脚本・監督のクロード・ルルーシュの剛腕振りが素晴らしいです。後半からユダヤ人一家の脱出行がメインになるけど、ナチスの蛮行よりも、同胞を売り渡すフランス人の狡猾さ悪辣さを容赦なく暴いています。これは、大戦中フランスで行われたユダヤ人一斉検挙でフランス人が密告や裏切りで協力した事実とつながります。また、『ライオンと呼ばれた男』でもルルーシュと組んだベルモンドの映画人キャリアの集大成とも言える演技にも感服で、彼以外のキャストは考えられません。彼自身の人生の風雪が深く刻まれた顔には、厳しい表情もあればいつもの明るい笑顔もあり、千変万化です。語り部ルルーシュが紡ぎ出すお話しと、力むことなくスッと役柄と一体になっているベルモンドが繰り広げる絵巻物を堪能できた至福の三時間でした。カメラが役者と一緒に激しく回転するラストシーンには、うっとりしました。四年にわたり、ベルモンド作品を再発見し、提供してくれた江戸木純さんに、一映画ファンとして心より感謝とエールを贈ります。

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シネマディクト

5.0「自分はジャン・ヴァルジャンでコゼットだ」

2024年7月8日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

ベルモンド傑作選のグランド・フィナーレにこの作品があって感謝です。「レ・ミゼラブル」をこれほど大胆に複層的に再構成した映画を見ることができて嬉しく感動しました。ベルモンドが三役を演じ、彼の舞台俳優としての素晴らしさを肌で目で耳で感じることができました。

ベルモンドの役は文盲ゆえ、「レ・ミゼラブル」をもっと読んでくれとせがみ、文字が読めるようになって牢獄の中で今度は一人で読み「コンマ」「ピリオド」とその都度、丁寧に声に出す姿は、涙なくして見ることができませんでした。「文字の読めない庶民が善」「無学こそ善である」はイタリアのマンゾーニの「いいなづけ」にも通底している考えのようです。

国民国家も大文字書きの文学史も批判の対象となって久しく、今では大時代的で古臭いのかも知れない。でも国民文学、「大きな物語・小説」の古典があり誇りにしてそれを学校で必ず勉強する機会が与えられている国を、素朴過ぎるとは思うけれど羨ましく思いました。フランスが「レ・ミゼラブル」なら、イタリアには「いいなづけ」、スペインには「ドン・キホーテ」があり、英国にはシェークスピア、ドイツにはゲーテ、シラー、トーマス・マンがいるんだなあと。体力と視力は大丈夫かと思いつつ、古典の再読を夢想しました。

おまけ
「愛と哀しみのボレロ」を監督したルルーシュだから、いろんな人々が出会い関わり助け合い或いは命を失いという大河ドラマになるんだと納得。第二次世界大戦を背景にすることで、「ああ、無情」が普遍的な誰にも当てはまる「レ・ミゼラブル」という物語になる。古典や国民文学をこのように生き返らせる力が今の時代、とても求められているように思った。

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talisman