CURE

劇場公開日:1997年12月27日

解説

猟奇的殺人事件の犯人を追う刑事の姿を描いたサイコ・サスペンス。監督・脚本は「復讐 消えない傷痕」の黒沢清。撮影を「マネージャーの掟」の喜久村徳章が担当している。主演は「バウンス ko GALS」の役所広司で、本作で第10回東京国際映画祭の主演男優賞を受賞した。共演に「ドリーム・スタジアム」の萩原聖人。スーパー16ミリからのブローアップ。

1997年製作/111分/日本
配給:松竹=松竹富士
劇場公開日:1997年12月27日

あらすじ

ひとりの娼婦が惨殺された。現場に駆けつけその死体を見た刑事の高部は、被害者の胸をX字型に切り裂くという殺人事件が、秘かに連続していることを訝しがる。犯人もその殺意も明確な個々の事件で、まったく無関係な複数の犯人が、なぜ特異な手口を共通して使い、なぜ犯人たちはそれを認識していないのか。高部の友人である心理学者・佐久間が犯人の精神分析を施しても、この謎を解く手掛かりは何も見つからない。そのころ、東京近郊の海岸をひとりの若い男がさまよっていた。記憶傷害を持つ彼は小学校の教師に助けられるが、教師は男の不思議な話術に引きずり込まれ、魔がさしたように妻をXの字に切り裂いて殺してしまう。その後、男は警官に保護され、そして病院に収容されて同様の話術を警官や女医と繰り返した。警官と女医は、それぞれに殺人を犯し、被害者の胸を切り裂いてしまう。催眠暗示の可能性に思い至った高部は、事件の捜査線上に浮かび上がったこの男・間宮を容疑者として調べ始めた。しかし、高部は間宮の記憶傷害による進展のない会話に翻弄され、また精神を病んだ妻・文江の介護による疲れも加わり、その苛立ちを積もらせていく。やがて、間宮が元医大の学生で、メスマーという18世紀の医者が開発した催眠療法の研究をしていたことを知った高部は、正式に調書を作ろうとするものの、間宮の不思議な話術のうちで妻の病気を指摘され、苛立ちを爆発させてしまった。そんな高部を間宮は誉め称え、高部こそ自分の言葉の本当の意味を理解できる人間だと語る。疲れきった高部は文江を病院へ入院させた。高部の精神状態に危機感を抱いた佐久間は、間宮に深入りしないよう忠告するが、自らも間宮と催眠療法の施術に取り憑かれていく。やがて、精神病院に収監されていた間宮が脱走した。時を同じくして、佐久間が奇妙な状態の自殺死体として発見される。高部は、本当の自分に出会いたい人間は必ずここにやって来ると間宮が言う、森の中の廃屋で間宮と再会し、そして彼を殺害した。すべては終わったかのように思われたが、病院では文江がX字に切り裂かれて殺され、高部のいるレストランでは、ウエイトレスが店長に包丁を向けていた。

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映画レビュー

4.090年代

2025年5月11日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

ウイルスのように伝播する、記憶と欲望の蓋開け装置。ゾンビの出てこないゾンビ映画。/90年代ってこんなだったなあ。みんな物質への信頼があったからオカルトを面白がれた時代。

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ouosou

4.0あけてくれ!

2025年5月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

とにかく90年代の邦画は暗い。
多少強引にでも、ストレスの原因と向き合おうとするパワーを感じる。年下の生意気はガンとやってドンなのだ。

奥行きを強調した特徴的なショットが印象的だ。
目を凝らすと、ぼんやりと禍々しいバッテンが見えて来る。

人間は何層にも重なったフィルムである。その中の狂気的な殺意のみをその人に選ばせる催眠術。
ミイラ取りがミイラに、精神科医がメンヘラに…あながちフィクションではないのかもしれない。
私は、扉を開けてくれる人を待つだけの人間である。

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や

3.5黒沢清のベストか?

2025年4月12日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

僕が初めて観た黒沢清作品はドレミファ娘の血は騒ぐ(1985)だった(確か大学時代)。強く印象に残ったので監督の名前を覚えたのを記憶している。CUREはだいぶ前に観たのだが、面白かった記憶があるので改めて観てみた。多分大半の作品を観ているが、やはり彼の監督作品では本作がベストだったのではないだろうか?岸辺の旅(2015)、クリーピー(2016)、蛇の道リメイク版(2024)など、最近では寧ろ駄作ばかりだがこの作品は脚本も面白いし、役所広司と萩原聖人のキャスティングも見事。個人的には催眠術など信じていないので怖さはさほど感じなかったが、ラストのファミリーレストランのシーンは実に暗示的。

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Yohi

4.0感想メモ

2025年4月7日
iPhoneアプリから投稿
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ヒラめ