ディザスター映画歴代ベスト10 米紙が選出
2024年7月22日 20:00
アクション・アドベンチャー超大作「ツイスターズ」の全米公開に合わせ、米IndieWireが「ディザスター映画歴代ベスト10」を選出した。
ワーナー・ブラザースの新作映画「ツイスターズ」は、ヤン・デ・ボン監督による1996年の「ツイスター」のリブート作品。超巨大竜巻が多数発生したオクラホマを舞台に、知識も性格もバラバラな寄せ集めチームが竜巻に立ち向かう姿を描く。「ミナリ」のリー・アイザック・チョン監督がメガホンをとり、デイジー・エドガー=ジョーンズ(「ザリガニの鳴くところ」)、グレン・パウエル(「トップガン マーヴェリック」)、アンソニー・ラモス(「トランスフォーマー ビースト覚醒」)らが共演する。日本では8月1日に公開。
IndieWireは、ディザスター映画が興行的に静かな成功を収めることはかつてよくあったが、スーパーヒーロー映画が映画界の覇権を握るようになるにつれ、大勢のキャストが壮大な自然災害と闘うという単純な前提は廃れていったと解説。ディザスター映画は、人間対自然の説得力のある物語を提供し、人類と彼らを取り巻く世界との関係を見つめる作品だと前置きしている。
ジョン・フォード監督のあまり知られていない作品のひとつ。特撮監督のジェームズ・バセヴィが手掛けたこの映画のハリケーンは、ディザスターというジャンルの初期の作品にしては、混沌とした恐ろしい出来事として驚くほどよく成熟しており、映画が自然の怒りをうまく表現した最初の作品のひとつである。
ヤン・デ・ボン監督による超大作の醍醐味は、スクリーン上の殺りくと嵐のエフェクトのショーケースに、復縁という古典的なロマコメが包まれていることだ。ヘレン・ハントとビル・パクストンの素晴らしく大人なケミストリーがもたらす感情的な利害関係は、このジャンルの映画ではほとんど捉えることができないものだ。さらに、ハントが数十年前の悲劇の元凶である竜巻を見つめるシーンは、ディザスター映画のために作られたような、半分バカバカしく、半分見事な感情のカタルシスだ。
小規模作品では、説得力のある壮大な自然災害を表現するのは難しい。しかし、ノルウェーのジョン・アンドレアス・アンデルセン監督がメガホンをとった本作は、近年の災害映画で最も優れた作品のひとつだ。海沿いの石油掘削施設が沈没し、原因究明にあたることになった2人の調査員の物語。未曾有時の事態を防ぐために会社が簡潔かつ大胆な作戦を素晴らしいスケールと優れた効果で表現し、生き残るために奮闘する主人公たちの常に神経をすり減らすような体験をビジュアル化した。
2004年のインド洋大津波に遭遇したマリア・ベロンとその家族の実話にインスパイアされたJ・A・バヨナ監督の作品。バヨナ監督はは津波の威力、そして津波が残した破壊の跡を見事にとらえた。家族がトラウマを克服していく過程は津波の恐怖ほど力強く描かれていないが、ナオミ・ワッツが傷つきながらも生き延びようと闘う主人公を、決意に満ちた感動的な演技で体現しているため十分に説得力がある。
ネヴィル・シュートが1957年に発表した小説をスタンリー・クレイマーが映画化。核戦争によってオーストラリア南東部以外が居住不可能となった世界を舞台に、グレゴリー・ペックとアンソニー・パーキンスが演じるアメリカ軍将校たちが、サンディエゴから届く謎の信号を追いかけながら、世界を救うために最後の努力をする姿を描く。核戦争がもたらす可能性のある最終的な結末に焦点を当てながらも、最も起こりそうな運命を明言しないことで巧みに恐怖を抱かせる作品だ。
70年代で最も記憶に残る人気ディザスター映画の1本である本作は、数十年経った今でもスリリングな作品だ。ニューヨークからアテネに向かう豪華客船が津波で横転してしまう。乗客と乗組員を救うために陣頭指揮を執るのは、ジーン・ハックマン演じる牧師である。アーネスト・ボーグナイン、ジャック・アルバートソン、シェリー・ウィンタース、レッド・バトンズという豪華なアンサンブル・キャストが、苦境に立たされたすべての登場人物に対して観客が常に関心を抱かせるような名演を見せている。
ディザスター映画といえば、竜巻、難破船、飛行機事故、津波など、物理的な災害について語るのが一般的だ。スティーブン・ソダーバーグ監督の本作は感染病についてのディザスター映画という点で他の作品と異なる。ソダーバーグ監督は、自分が想像した出来事を正確に描くために世界保健機関に相談し、その結果、引き込まれるような、吸い込まれるような作品が完成した。この映画は、2020年の新型コロナウイルスによるパンデミック時にいかに強力でリアルであるかを証明した。
このジャンルの代名詞ともいえる、70年代最大のディザスター映画のひとつ。2億ドルを超える興行収入を記録し、その年で最も成功した映画となった。それから数十年経った今でも、上映時間が長すぎるものの大いに楽しめる。ジョン・ギラーミン監督の演出は一流で、ポール・ニューマンとスティーブ・マックィーンという映画スターたちを中心として素晴らしいアンサンブルも格別だ。
デビッド&ジェリー・ザッカー兄弟とジム・エイブラハムズがメガホンをとった本作は、食中毒で大混乱に陥った民間ジェット機を無事に着陸させる唯一の希望はアルコール依存症の元戦闘機パイロットという常軌を逸した筋書きで、70年代ディザスター映画の滑稽さとメロドラマを愛情を込めて風刺した傑作コメディ。キャスト全員が、たとえおふざけの数々に囲まれていたとしても、恐怖の状況のを見事に表現している。スリル満点というわけではないが、思わず引き込まれて感情移入してしまう一作だ。
本作をディザスター映画と呼ぶのは、ジェームズ・キャメロン監督による一大ムーブメントを過小評価しているような気がする。巨大な叙事詩のような映画であり、それをひとつのジャンルのレッテルでくくることは、映画史におけるこの映画の大きさを正当に評価することにはならないだろう。キャメロン監督は場面設定に時間をかけており、豪華客船タイタニック号が氷山に衝突するのは映画の半ばを過ぎてからだが、その崩壊のスケールの大きさには目を見張るものがある。
本作を史上最高のディザスター映画にしているのは、レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットが演じる主人公カップルの壮大な愛の障害として、この災難を描いていることだ。船が沈没したとき、人間の労苦の大きさに胸が張り裂けそうになるし、この2人の映画スターの輝きに満ちた結びつきにどれほど感情移入してしまうことか。これほど深く胸を打つディザスター映画は他にない。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
グラディエーターII 英雄を呼ぶ声
【史上最高と激賞】人生ベストを更新し得る異次元の一作 “究極・極限・極上”の映画体験
提供:東和ピクチャーズ
犯罪が起きない町で、殺人事件が起きた――
【衝撃のAIサスペンス】映画ファンに熱烈にオススメ…睡眠時間を削ってでも、観てほしい
提供:hulu
映画料金が500円になる“裏ワザ”
【知らないと損】「映画は富裕層の娯楽」と思う、あなただけに教えます…期間限定の最強キャンペーン中!
提供:KDDI
予想以上に面白い!スルー厳禁!
【“新傑作”爆誕!】観た人みんな楽しめる…映画ファンへの、ちょっと早いプレゼント的な超良作!
提供:ワーナー・ブラザース映画
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。