草彅剛「ミッドナイトスワン」以来の主演映画「碁盤斬り」は“期待”を裏切らない! 興収はどうなる?【コラム/細野真宏の試写室日記】
2024年5月18日 14:00

®映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)(文/細野真宏)
今週末2024年5月17日(金)から「碁盤斬り」が公開されました。
本作における最大の注目ポイントは、「ミッドナイトスワン」以来4年ぶりとなる“草彅剛の主演映画”ということでしょう。
「碁盤斬り」は、「ミッドナイトスワン」の製作・CULENと、両作品の配給を担当したキノフィルムズとの“共同製作”となっています。

落語から着想を得た加藤正人のオリジナル脚本による「時代劇」となっており、メガホンをとったのは白石和彌監督。白石和彌監督にとっては、これが念願の初時代劇映画となっています。
白石和彌監督と言えば、代表作に「日本で一番悪い奴ら」(2016年)、「孤狼の血」(2018年)、「孤狼の血 LEVEL2」(2021年)などがあります。個人的には、基本的に安定してクオリティーが高く、安心して見ていられるといった印象があります。
実際に本作では、初めての時代劇とは思えないほど、クオリティーが高い時代劇映画になっていました。
ただ、白石和彌監督作品の経済的な特徴として、完成度が高いのに、なぜか興行収入はパッとしない、という面があるのです。
通常の映画では、作品の質が高いと口コミが広がりやすく、大ヒットに結び付くケースが増えます。
ところが、白石和彌監督作品の場合では、なぜか現時点では経済的には不遇な状況が続いているのです。


理由として考えられるのは、白石和彌監督作品では過激な描写がよくあり、「R15+指定」「PG12指定」がスタンダードというイメージがあります。
本作と製作構造が近い作品に白石和彌監督×脚本・加藤正人×主演・香取慎吾の「凪待ち」(2019年)がありますが、「PG12指定」で興行収入2億円となっています。
とは言え、前作「死刑にいたる病」(2022年)では、「PG12指定」ながら、主演の阿部サダヲによる猟奇的な演技が話題となり、興行収入11億円と、初めて興行収入10億円を突破しました。
このような流れを踏まえて、本作「碁盤斬り」が特徴的なのは、白石和彌監督映画にしては珍しい「G指定」。「General Audience」(年齢にかかわらず誰でも観覧できる)という一般向けになっている点です。
つまり、「これまでで最も見やすい白石和彌監督映画」と言っても過言ではないのです!
実は、「ミッドナイトスワン」のレイティングも「G指定」だったので、草彅剛ファンとの相性も良さそうです。

さて、「碁盤斬り」は、タイトルからも分かるように「囲碁」が題材の1つになっています。
本作は「囲碁」を知らない人でも雰囲気で仕組みが分かるようになっているので、その意味でも一般向けと言えます。
また、時代劇では「言葉選び」が作品の大きな特徴になります。
つまり、完全に一般向けにするために現代語を使うのか、専門向けにするために当時の言葉をふんだんに使うのか、など大きく分かれるのです。
その点では、本作は、「中間」的な扱いで、現代語に加えて、「たな賃」など、当時の言葉も普通に使っています。
「たな賃」とは、「家賃」のことですが、このような知識が必ずしも無くても、大家さんが取り立てに来ているので、「たな賃=家賃」が自然と分かるなど、脚本がしっかりしている面があります。
このように、「時代劇」のお手本のように非常に分かりやすい用語の使われ方になっている作品でした。


「ミッドナイトスワン」では、草彅剛×服部樹咲の化学反応が見どころの1つになっていましたが、本作では娘役の清原果耶がそれに当たります。
このところの清原果耶はハズレがないと言えるくらいに存在感を発揮していて、本作でも草彅剛との絶妙な親子の信頼関係を構築しています。
つまり、本作は、白石和彌監督の映画のクオリティーに加えて、草彅剛×清原果耶の化学反応も良く、期待を裏切らない出来になっています。


時代劇映画は、何かと制作費が上がってしまう面もあるので、興行収入10億円突破を目指したいところではあります。が、その一方で時代劇映画不振という状況もあります。
ただ、本作のように出来の良い時代劇映画は2次利用の採算性が良いので、大成功モデルとなった「ミッドナイトスワン」と同様に興行収入8億円突破を目指したいところです。
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