アリ・アスター監督の脳内を理解できる!? 「ボーはおそれている」鑑賞後におすすめの映画5本
2024年2月22日 16:00

「へレディタリー 継承」「ミッドサマー」のアリ・アスター監督が、「ジョーカー」のホアキン・フェニックスとタッグを組んだ「ボーはおそれている」が、現在公開されている。シネフィルであるアスター監督は、自身が愛するさまざまな映画や小説などからインスピレーションを受けたと公言している。この記事では、本作を観賞後におすすめしたい5作品を紹介していく。

すでに、SNS上では多くの観客からオマージュなどを指摘されている作品が挙げられている。アスター監督は、作品の中には意図的に引用したものもあれば、インタビュアーや評論家から指摘されてはじめて、影響を受けていたことに気づく作品もあるという。

「ボーはおそれている」は4部構成となっているが、1部は「プレイタイム」にインスパイアされたことをアスター監督は認めている。本作はフランス人監督タチの長編4作目で、膨大な製作費をかけたコメディドラマ。仕事の面接を受けるためパリにやってきた主人公が洗練された近代的なビルの中ですれ違いを繰り返し、担当者に会うことができない。街をさまよう彼はレストランで、アメリカ人観光客の女性バーバラと出会い仲良くなるが……。70ミリのフィルムで撮影されたタチ監督の代表作の一本。
ニューヨークでプログラマーとして働く主人公ポールは、カフェで出会った美しい女性マーシーに再会するため街に向かうが、一文なしになったり殺人事件に巻き込まれたりと、次々とトラブルに見舞われるカフカ的な悪夢の一夜を描いたブラックコメディ。スコセッシ監督は、本作でカンヌ国際映画祭の監督賞を受賞した。
アスター監督は、スコセッシ監督を「僕のヒーロー」と敬愛し、「ボーはおそれている」の上映時トークゲストにはスコセッシを招いて語り合っている。また、アスター監督は、本作を作るにあたりユダヤ人作家のフランツ・カフカの小説作品も強く意識したと語っている。
回想シーンで、子ども時代のボーと初恋の相手エレインとの出会いの場面でプールに浮かぶ男性の水死体が映し出されるが、これはビリー・ワイルダー監督「サンセット大通り」へのオマージュだと思われる。
ハリウッドのサンセット大通りで、売れない脚本家が荒れ果てた家に逃げ込むと、そこはサイレント時代の大女優の邸宅だった。華やかな世界への返り咲きを願う彼女は彼に脚本の手直しを頼み、そこで奇妙な共同生活が始まるという、ハリウッドの光と影を描いている。
脚本家と大女優の共依存関係は、「ボーはおそれている」のボーと母親モナの関係のレファレンスになっている。ちなみに、「ボーはおそれている」の製作発表時のタイトルは「Disappointment Blvd.」(失望大通り)だった。

コーエン兄弟の「シリアスマン」は、1967年のアメリカ中西部ミネソタを舞台に、生真面目で信仰心の厚いユダヤ人大学教授が突如不幸の連続に見舞われるという不条理ブラックコメディ。アカデミー賞で作品賞と脚本賞にノミネートされた同作には、「ボーはおそれている」のラストで検察官を演じているリチャード・カインドも出演している。コーエン兄弟も、アスター監督が敬愛する監督だと明かしている。
「ボーはおそれている」はボーが実家に帰省する物語だが、「オズの魔法使」は、オズの国に飛ばされた主人公ドロシーが、故郷に帰ろうとするファンタジー。劇中のアニメーションと実写が融合したカラフルでサイケデリックなシーンで、ボーが、レンガ道を歩いているところも「オズの魔法使」を彷彿とさせる。
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