無修正の春画描写を実現「春画先生」 過激な“蛸と海女”鑑賞会の映像が披露
2023年10月11日 12:00
春画の魅力に取りつかれた人々を笑いたっぷりに描く偏愛コメディ「春画先生」(10月13日公開)の新たな本編映像が、このほど披露された。
映倫審査で区分“R15+”として指定を受け、無修正での浮世絵春画の描写が実現した本作。商業映画として劇場公開される作品としては、日本映画史上初となる。
披露された映像は、主人公らが葛飾北斎作の春画“蛸と海女”の鑑賞会に参加する模様を収めた。あまりに過激な擬音やセリフが連発されるため、ところどころに「ピー」「バキューン」といった放送禁止音が挿入されまくるユニークな内容だ。なお、映画本編に放送禁止音は挿入されない。
江戸文化の裏の華であり、多くの絵師、彫師、刷師たちが全画力と全精力を注いで真面目に人の性を“笑い絵”として表現した春画の奥深い魅力を、異色の師弟コンビを通してコミカルに描く。
原作・脚本・監督は「さよならくちびる」「月光の囁き」の塩田明彦。「きのう何食べた?」などの内野聖陽が主演、アニメ映画「ペンギン・ハイウェイ」やNHK大河ドラマ「どうする家康」の北香那がヒロイン・弓子役を担い、ほか柄本佑、白川和子、安達祐実が共演する。
あらすじ:“春画先生”と呼ばれる変わり者で有名な研究者・芳賀一郎(演:内野聖陽)は、妻に先立たれ世捨て人のように、一人研究に没頭していた。一方、退屈な日々を過ごしていた春野弓子(演:北香那)は、芳賀から春画鑑賞を学び、その奥深い魅力に心を奪われ、同時に芳賀に恋心を抱いていく。やがて芳賀が執筆する「春画大全」を早く完成させようと躍起になる編集者・辻村(演:柄本佑)や、芳賀の亡き妻の姉・一葉(演:安達祐実)の登場で大きな波乱が巻き起こる。それは弓子の“覚醒”のはじまりだった。
葛飾北斎の春画代表作として有名であり、本作でも重要な要素として登場する「喜能会之故真通(きのえのこまつ」“蛸と海女”鑑賞シーン。薄暗い部屋で語り部が「喜能会之故真通」に書かれている詞書(ことばがき)を読み上げ、芳賀一行が回転して流れてくる同春画を真剣に見つめている。ハンカチで口をおさえているのは、春画の鑑賞マナーだ。
詞書は主に、絵の主題や物語を説明するもの。そして“蛸と海女”の詞書は北斎自身が書いており、オノマトペの表現も秀逸。本映像は「ちゅ、ちゅちゅ」「アアァ」「ズウッ」など、北斎の意外とも思える擬音センスにも触れることができ、登場人物全員が真剣なのに、思わず笑いがこみ上げてくる内容となっている。
かと思えば、ふと弓子が何かに気づき視線を正面に向ける。遅れて芳賀、辻村も目線を追うと、そこには亡くなったはずの芳賀の妻・伊都と瓜二つの顔が。これが伊都の双子の姉・一葉(安達)との再会だった……。
「春画先生」は10月13日から公開。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
第86回アカデミー作品賞受賞作。南部の農園に売られた黒人ソロモン・ノーサップが12年間の壮絶な奴隷生活をつづった伝記を、「SHAME シェイム」で注目を集めたスティーブ・マックイーン監督が映画化した人間ドラマ。1841年、奴隷制度が廃止される前のニューヨーク州サラトガ。自由証明書で認められた自由黒人で、白人の友人も多くいた黒人バイオリニストのソロモンは、愛する家族とともに幸せな生活を送っていたが、ある白人の裏切りによって拉致され、奴隷としてニューオーリンズの地へ売られてしまう。狂信的な選民主義者のエップスら白人たちの容赦ない差別と暴力に苦しめられながらも、ソロモンは決して尊厳を失うことはなかった。やがて12年の歳月が流れたある日、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バスと出会う。アカデミー賞では作品、監督ほか計9部門にノミネート。作品賞、助演女優賞、脚色賞の3部門を受賞した。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。