市川崑監督作品「ビルマの竪琴 総集篇」4Kデジタル復元版、第47回香港国際映画祭のクラシック部門に選出
2023年3月17日 12:00
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日活製作の市川崑監督作品「ビルマの竪琴 総集篇」4Kデジタル復元版が、第47回香港国際映画祭のクラシック部門に選出され、3月30日にワールドプレミア上映される。上映に合わせ、海外版ポスタービジュアルが公開された。
香港国際映画祭は1977年にスタートし、メジャー作品からインディペンデント作品、クラシック作品まで幅広く紹介するアジアで最も歴史のある映画祭。毎年50か国から280作品以上が選出されており、前々回は、黒沢清監督「スパイの妻 劇場版」、濱口竜介監督「偶然と想像」が上映され、今年は生誕90周年を迎える伊丹十三監督の特集上映が行われる。
クラシック部門は、復元された作品に再び栄光を与えるため2010年に設立され、日本映画はこれまでに「雁の寺」(川島雄三監督)、「七人の侍」(黒澤明監督)、「夜の片鱗」(中村登監督)など、名だたる巨匠の作品の復元版が選出されている。今年の同部門においては、エルンスト・ルビッチ監督「ウィンダミア夫人の扇」、ベルナルド・ベルトルッチ監督「暗殺の森」などが選ばれ、本作は唯一の日本映画となる。
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「ビルマの竪琴」総集篇は竹山道雄原作の同名小説を巨匠・市川崑監督が映画化し、第17回ヴェネツィア国際映画祭にてサン・ジョルジョ賞を受賞、第29回米アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた市川監督の代表作のひとつ。当時のビルマ連邦(現在のミャンマー連邦共和国)でロケを敢行し、雄大なスケールと名曲で反戦を伝える不朽のヒューマンドラマだ。
市川監督は生涯で80本の映画を残し、そのモダンなセンスと陰影に富んだ大胆な映像は多くのクリエイターに影響与え、山田洋次をはじめ、三谷幸喜、庵野秀明、岩井俊二ら多くの映画監督がファンを公言している。本作は当時、ビルマへの渡航許可が下りず止むなく国内ロケのみで制作した「第一部」を1956年1月に公開、その後現地ロケが実現し完成させた「第二部・帰郷篇」を1956年2月公開した。しかし、市川監督の強い希望によって、すべてのシーンを再編集し「総集篇」を完成させ、1985年には、監督本人によってカラー作品としてリメイクされるなど、市川監督にとって最も思い入れの強い作品と言える。
4Kデジタル復元版は、市川監督が設立した市川崑プロダクションを継承した崑プロ監修のもと、近年市川作品の多くの復元版の監修を手掛ける映画編集者・長田千鶴子(1975年以降、市川監督作品すべての編集を担当。日本アカデミー賞最優秀編集賞を2度受賞)が立ち合い、崑プロに保管されていた制作当時の監督のメモ入りの脚本などを参考に行われた。復元作業は、昨年の第79回ベネツィア国際映画祭クラシック部門で最優秀復元映画賞を受賞した「殺しの烙印」を手掛けたIMAGICAエンタテインメントメディアサービスにより行われ、市川崑のスピリットを受け継ぐ映画技術者たちの手によって完成した。
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1945年、日本軍の戦況が悪化していたビルマ戦線。ある小隊に竪琴の名手・水島上等兵がいた。敗戦後、水島のいる部隊は収容所に送られるが、水島は戦闘を続ける日本軍に降伏を説得するために地方に派遣される。そして、多くの兵士の死体を見て、戦地で逝った彼らの魂を供養するために僧侶となり、現地に留まることを決意する…。
クオリティの高い「ビルマの竪琴 総集篇」4Kデジタル復元版を作るにあたり、複数の素材をチェックして、各素材の良いところを生かしました。そのため、タイトルを抽出して別の素材に入れたり、ズレが生じた音を調整したり、かなり細かい作業を行いました。素晴らしい感動の作品です。音楽も白黒の映像も。
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