街は同じ顔の男だらけ… 美しく恐ろしいトラウマ映画「MEN 同じ顔の男たち」監督に聞く裏話
2022年12月8日 13:00
「エクス・マキナ」のアレックス・ガーランド監督が、「ヘレディタリー 継承」「ミッドサマー」などで知られる気鋭の映画スタジオ・A24とタッグを組んだ最新作「MEN 同じ顔の男たち」。「ラストへと展開する怒涛の20分はトラウマ必至」と謳われる本作について、ガーランド監督が語った。
夫の死を目の前で目撃してしまったハーパー(ジェシー・バックリー)は、心の傷を癒すため、イギリスの田舎街を訪れる。そこで待っていたのは、豪華なカントリーハウスの管理人ジェフリー(ロリー・キニア)。ハーパーが街へ出かけると少年、牧師、そして警察官など出会う男たちが、管理人のジェフリーと全く同じ顔であることに気づく。街に住む同じ顔の男たち、廃トンネルからついてくる謎の影、木から大量に落ちるりんご、そしてフラッシュバックする夫の死。不穏な出来事が連鎖し、“得体の知れない恐怖”が徐々に正体を現し始める。
複数の役を演じることは、役者にとって大きなチャレンジではあるけど、嬉しいチャレンジだと思うんだ。そういう意味でロリーは楽しんでいたよ。どの役にも果敢に挑み、きめ細かな、多岐にわたる、洗練された演技を見せてくれた。背景に映っているだけのセリフのないキャラクターであってもね。
彼が最も苦労したのは、もっと基本的な点においてだ。最後の2週間は、凍えるような寒い夜に裸で撮影に臨んでいたからだ。冬用のコートを身にまとったスタッフたちの前で、彼はすべてをさらけ出して、とあるシーンを演じなければいけなかった。それはかなりつらかったはずだ。まあ、当然だよね。
ハーパー役の候補は5人ほど会ったけど、ジェシーは一番しっくりきたんだ。とても頭がいいし、とても面白い。さらにとても人間らしい。とても温かく、複雑な人だね。でも尖った一面もあって、心地よさや優しさを必ずしも求めないんだ。難しい質問や難しい答えをあえて好むような人だね。だからすぐに意気投合した。
また、彼女の出演作を見たら分かるけど、本当にすばらしい役者なんだ。だから彼女が役を引き受けてくれた時はうれしかった。
全く同じ印象だよ。A24と組んでいる多くの監督より僕は年上だから、様々なスタジオでの経験がある。多くの人が思っているよりも、映画業界には多くの闇が潜んでいるんだ。撮影中や編集中に監督が外されることがあるし、外されなくても他者にコントロールされる場合がある。しょっちゅう聞く話だよ。外部の人が耳にしないのは、マーケティング的にマイナスイメージになるからだ。だから情報が漏れないように、秘密にしているのさ。数えきれないほど、そのような状況を見てきた。
実際、僕自身も経験したことがある。ゴーストディレクターやゴーストライターとして雇われたことがあるんだ。企画が行き詰った時、僕がこっそり仕事をして解決を試みるんだ。映画制作において監督は、最も大切に扱われているという神話があるけど、現実はそうではない。もちろんすべての作品がそうとは言わないよ。だが、A24では決してそのような作り方はしない。A24では人々が思い描いているとおりに映画を作るんだ。理想的な形でね。
いっぱいあるから、どこから始めたらいいのか……。時代によって違うかな。僕が最もよく見るのは1970年代の映画だ。その時代に作られた映画が最も好きかもしれない。アートハウスからメインストリームまでジャンルは問わない。1970年代のメインストリーム映画は、今の時代に公開したら、A24のアートハウス系になるだろうね。「エクソシスト」や「エイリアン」は現在なら、メインストリーム映画として見られないだろう。A24が扱っていると思うよ。もちろん他の時代の作品も見るけど、1970年代が一番多いと思う。
近年の監督の中にもすばらしい才能は多くいる。僕と同世代や僕より若い世代だと、ロバート・エガース(「ライトハウス」)やライアン・ジョンソン(「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」「ナイブズ・アウト グラス・オニオン」)が特に好きだね。僕は優れた技術を持っている人に惹かれるんだ。
「MEN 同じ顔の男たち」は、12月9日から全国公開。R15+指定。
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