第35回東京国際映画祭、審査員長はジュリー・テイモア 黒澤明賞復活、ツァイ・ミンリャン監督特集などの詳細発表

2022年9月16日 10:00


「ツァイ・ミンリャン監督のデビュー30周年記念特集」「追悼 青山真治」など続々
「ツァイ・ミンリャン監督のデビュー30周年記念特集」「追悼 青山真治」など続々

第35回東京国際映画祭の審査委員長が、「フリーダ」「グロリアス 世界を動かした女たち」などで知られる、舞台演出家で映画監督のジュリー・テイモアに決定した。あわせて、2004年~08年の過去5回にわたり行われていた黒澤明賞が、本映画祭で久々に復活。東京フィルメックス共催の「ツァイ・ミンリャン監督デビュー30周年記念特集」、Nippon Cinema Now部門の特集「追悼 青山真治」、国立映画アーカイブ共催の「長谷川和彦とディレクターズ・カンパニー」、ジャパニーズ・アニメーション部門など、各企画の詳細が発表された。

映画祭の顔となるコンペ部門の審査委員長を務めるテイモア監督は、舞台「ライオンキング」(1997)や、映画「タイタス」(99)、「フリーダ」(2002)、「アクロス・ザ・ユニバース」(07)、「グロリアス 世界を動かした女たち」(20)などで知られる。

テイモア監督は、「芸術は私たちを混沌の中から導き出し、道を切り開く道標です。暗い劇場の中、目の前で明滅する映像は、私たちを深く引き込み、孤立した単一の自己存在から引き離します。映画館で作品にひたってください。そこは、私たちがまったく知らないこと、知っていると思っていること、個人的に経験したことの境界をともに越えさせてくれる宮殿です。他人の人生や愛に没入して、鼓舞され、苦悶させられてください。第35回東京国際映画祭のコンペティション部門国際審査委員長として来日できることを、とても光栄に思います」とコメントを寄せた。後日発表される審査員(全5名予定)とともに、コンペ部門の全15作品を審査する。

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黒澤明賞は、日本が世界に誇る黒澤明監督の業績を長く後世に伝え、新たな才能を世に送り出していくため、世界の映画界に貢献した映画人、映画界の未来を託したい映画人に贈られる賞。過去にはスティーブン・スピルバーグ監督、山田洋次監督、ホウ・シャオシェン監督らが受賞している。本映画祭では、山田監督、仲代達矢原田美枝子川本三郎、東京国際映画祭プログラミング・ディレクターを務める市山尚三という5人の選考委員によって選出される。同賞に合わせ、「黒澤明の愛した映画」と銘打ち、「フィツカラルド」「ミツバチのささやき」などが上映される予定だという。

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続いて、「ツァイ・ミンリャン監督デビュー30周年記念特集」が実施されることも明らかに。台湾のミンリャン監督は、第6回東京国際映画祭ヤングシネマ部門のブロンズ賞を受賞した「青春神話」での監督デビューから30周年を迎える。特集上映は、東京フィルメックス(10月29日~11月6日予定)、台北駐日経済文化代表処台湾文化センターと共催される。東京国際映画祭では「青春神話」「楽日」や日本未公開の短編などを、東京フィルメックスでは「西瓜」「ヴィサージュ」などを上映。今回は両映画祭にとって、史上初の共催企画となる。

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Nippon Cinema Now部門は、21年に新設され、その年の日本映画を対象に、特に海外に紹介されるべき日本映画という観点から選考された作品を上映するもの。3月に逝去した青山真治監督を追悼する特集を実施し、代表作「EUREKA ユリイカ」「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」を、英語字幕付きで上映する。

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さらに、国立映画アーカイブとともに「長谷川和彦とディレクターズ・カンパニー」を共催。1982年に長谷川の呼びかけで設立され、11年にわたり個性的な作品を作り続けたディレクターズ・カンパニーの作品を35ミリで、国立映画アーカイブ小ホールにて上映する。東京国際映画祭では、日本映画クラシックス部門で、ディレクターズ・カンパニーの代表作「台風クラブ」「光る女」「DOOR(1988)」「地獄の警備員」のデジタルリマスター版を、日比谷・TOHOシネマズ シャンテで上映する。

ジャパニーズ・アニメーション部門の特集テーマは、「ゼロから世界を創る」。「アニメーションで世界を創る」と題して、「雨を告げる漂流団地」「夏へのトンネル、さよならの出口」「ぼくらのよあけ」の3作品がピックアップされている。レトロスペクティブ「アニメと東京」では、アニメが「東京」という世界をいかに描いたかに注目し、4作品を上映する。

第35回東京国際映画祭は10月24日~11月2日、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。審査委員長決定に寄せた、チェアマンの安藤裕康のコメント、過去の黒澤明賞受賞者一覧は、以下の通り。


■安藤裕康 コメント

ジュリー・テイモアさんは、ミュージカルの演出だけでなく、多くの優れた映画を監督しています。特に、若い頃に日本で人形浄瑠璃を学び、それを自分の作品に活かすなど、日本との関係も深い。また、彼女は黒澤明の大ファンでもあり、黒澤明賞復活の年にふさわしい審査委員長でしょう。


■過去の黒澤明賞受賞者一覧(敬称略)

2004年:スティーブン・スピルバーグ山田洋次
2005年:侯孝賢(ホウ・シャオシェン
2006年:市川崑ミロス・フォアマン
2007年:デビッド・パットナム
2008年:陳凱歌(チェン・カイコー)、ニキータ・ミハルコフ

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