地獄の警備員
劇場公開日:2021年2月13日
解説
「スパイの妻 劇場版」でベネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)を受賞した黒沢清監督が、1992年に手がけたバイオレンスホラー。バブル景気で急成長を遂げた総合商社に、絵画取引担当の秋子と警備員の富士丸という2人の新人が入社した。元力士の富士丸は兄弟子とその愛人を殺害したが、精神鑑定の結果無罪となった要注意人物だ。秋子が慣れない仕事に追われる一方で、警備室では目を覆うほどの惨劇が幕を開けていた……。これが映画デビュー作の松重豊が謎めいた凶暴な警備員を演じ、大杉漣、長谷川初範、内藤剛志が共演。1980年代に生まれた伝説的映画製作会社ディレクターズ・カンパニーの最後期の作品。2021年2月13日から、新宿K’s cinemaにてデジタルリマスター版をリバイバル上映。
1992年製作/97分/日本
配給:アウトサイド
日本初公開:1992年6月13日
スタッフ・キャスト
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2022年11月29日
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鑑賞方法:映画館
美術販売を扱う会社に務めることになった女性が車内のセクハラと地下にいる危険な警備員からの脅威に怯える話。
上演後の監督のトークセッションで、若い時にほぼ自主映画のような感じで作ったからダメなところも多いと思うけど、、みたいなことを言っていたが、全っ然そんなことない。もはや私が今年見た邦画ホラースリラーの中では1番のクオリティ。
何より凄いのは怖いだけじゃなくて、所々かっこよく見えるシーンが混在してること。私はこれ、主人公の女の人が見てる時はちょっとかっこいい演出になってる気がするんだよね。ちょっと惹かれてるからこそ地下に何度も足を踏み入れてしまうし、主人公に色目を使う同僚たちも同じぐらいな脅威だし。
例えば、地下の警備員の住処で警備員に見つかりそうなハラハラシーン、音楽と松重豊のオーラと撮り方でめっちゃかっこよく見えた。一方で、警備員のおっちゃんや主人公に色目を使う同僚を殺すシーンはただただ怖い。特に給湯室のシーンなんて、頭を抑えてるだけで身動きが取れなくなってるの怖すぎ。下でジタバタしてる感じもリアルですごい怖かった。
あと、とても『パラサイト』と似てるとこあった。警備屋や警備員が地下で生活してるっぽいところとか、最後に「俺のような人間がいることを忘れるな」と言うセリフ、めっっちゃ『パラサイト』じゃないですか。確かポン・ジュノ監督って黒沢監督好きって言ってた気がするから、ちゃんと影響受けてて嬉しい。
これは余談だけど、同僚の女の人二階堂ふみに似ててすっごい綺麗だったのに全然モテてないのが気に触る(笑)
2022年11月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
この監督には珍しくオーソドックスなホラー。基本的な盛り上げ方がうまい。
あとは多種多様な殺し方が売りになるだろうか。
全体的に時代の古さを感じてしまうんで、そこはきつい。
2021年12月22日
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殺人鬼の富士丸は徹底的に内面の欠如した冷血漢のように描かれており、その手口もきわめて残酷だ。しかしそこには個人的な怨嗟や快楽のようなものが感じられない。彼は息を吐くように、何の感慨もなく人を殺す。
アルベール・カミュ『異邦人』の主人公ムルソーは、殺人を犯した理由について、法廷で「太陽が眩しかったから」と述べた。これは露悪でも皮肉でも言い逃れでもない。彼は本当に太陽が眩しかったから、人を殺したのだ。しかしそれは一般的な倫理に照らし合わせてみれば荒唐無稽な戯言でしかない。ゆえにムルソーは異邦人なのだ。
富士丸もまた社会の原理から完全に逸脱した異邦人だといえる。彼は自身の異邦性に自覚があり、それゆえ自身の行動原理を周囲に説明しようとしない。無駄だから。そんな彼が唯一心を開きかけたのが、新入社員の成島だったのだが、彼女は富士丸を真っ向から拒絶する。
「私はあなたをわかりたくありません」
社会と繋がる唯一の回路を断たれた富士丸は、ボイラー室で静かに首を吊る。いやいや女の子にフラれたくらいで自殺だなんて、ここまできて突然人間臭くなるなよ、とは言いたくなるが。
しかし倫理を人間の条件とするような価値観もまた我々固有のものだ。もしかしたらその外側の世界というものがどこかに存在しているのかもしれない。
富士丸はそんな世界から我々の世界に迷い込んでしまっただけなんだろう。この世界では「異邦人」な彼もきっと、彼の世界では「普通の人」なのだ。
「俺のことを忘れるな」という言葉は、社会の裂け目の底でうずくまる富士丸の、必死の存在証明だったのかもしれない。
とはいえシステムから逸脱した異物(サイコパスとか障害者とか)がシステムの内部で不条理に振る舞うという形式はホラー映画の常道であるし、今更こういうものを撮ったから何だというのか、という気持ちもある。
森田芳光『黒い家』を既に見ていたということもあってか、今一歩満足できなかった。 カメラワークは流石だが、どうも音響がチープで…数多ある黒沢清作品の中では割と小ぶりな作品だろう。
2021年12月15日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
新しく警備員としてやってきた男は殺人鬼だった。
主人公は新しく採用された女性で、芯が強そうなのがミソ。
松重豊がとても怖い。