【第45回日本アカデミー賞】「ドライブ・マイ・カー」濱口竜介が最優秀監督賞 被災者を映したドキュメンタリー制作が基盤になったと感謝
2022年3月11日 22:25

第45回日本アカデミー賞の授賞式が3月11日、東京・グランドプリンスホテル新高輪国際館パミールで行われ、「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督が最優秀監督賞を受賞した。
村上春樹の短編小説集「女のいない男たち」に収録された短編を、西島秀俊主演で映画化。2021年・第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で、日本映画では初となる脚本賞を受賞したほか、3つの独立賞も受賞。また、2022年・第94回アカデミー賞では日本映画史上初となる作品賞にノミネートされたほか、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞とあわせて4部門でノミネートとなる快挙を達成。第79回ゴールデングローブ賞の最優秀非英語映画賞も受賞している。
プレゼンターの若松節朗監督から最優秀監督賞を告げられた濱口監督は、「11年前の今日、地震があり、津波があり、原発事故がありました。私は震災が起きてから2年ほど酒井耕さんと共同監督でドキュメンタリーを作ってきました」と津波被害を受けた三陸沿岸部に暮らす人々の対話を記録した「なみのおと」をはじめとしたドキュメンタリー3作について言及した。
「その時、いろいろな形で被害にあわれた方たちが示してくださった力強い生きる姿、生命力を捉えたいと思いました。そのことが今、自分が監督をする基盤になっていると思います。自信はないんですが、当時お話をうかがった方たちに、みなさんがいてくださって、私は今、それを基盤に監督をやらせていただいてます。こういうふうに私はやっていますとお礼申し上げたいと思います。その結果として、『ドライブ・マイ・カー』という映画ができました」と、被災地での経験が現在につながっていると感謝を述べた。
「自分たちの1日1日の仕事は、未来を作っていくということなんだと思います。間違えることもあると思いますが、そのたびに引き返し、少しずつ進んでいくしかないと思います。少しでも良い社会にするとか、良い世界にすると言うと大げさですけれども、今この場所からしか始まらないと思っています。今後も皆さんと今の仲間、未来の仲間として一緒に映画をつくっていけたら嬉しいと思います」と抱負を語った。
優秀監督賞は、白石和彌「孤狼の血 LEVEL2」、瀬々敬久「護られなかった者たちへ」、成島出「いのちの停車場」、西川美和「すばらしき世界」が受賞した。
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