第78回ベネチア国際映画祭、金獅子賞は仏監督オドレイ・ディワンに 予期せぬ妊娠をした女子学生の苦悩描く
2021年9月12日 12:15

第78回ベネチア国際映画祭の授賞式が、現地時間の9月11日に開催され、フランスの女性監督オドレイ・ディワンの長編2作目、「Happening」(英題)が金獅子賞に輝いた。今年のカンヌ国際映画祭に続いてベネチアも、若手女性監督にスポットライトが当たる結果となった。
本作は堕胎が法的に認められていなかった60年代前半のフランスで、予期せぬ妊娠をしてしまった女子学生の苦悩を浮き彫りにする。審査員長のポン・ジュノは「満場一致で、すぐに決まった」と明かした。
他の受賞作は、パオロ・ソレンティーノのNetflix映画「The Hand of God」が審査員大賞と、主演のフィリッポ・スコッティに対するマルチェロ・マストロヤンニ賞をダブル受賞。同じくNetflixの2作品、ジェーン・カンピオンの「The Power of the Dog」とマギー・ギレンホールの「The Lost Daughter」が、それぞれ監督賞と脚本賞に輝き、Netflix祭のような様相となった。

女優賞はペドロ・アルモドバルの「Madres Paralelas」に主演したペネロペ・クルスが受賞。男優賞はフィリピンのエリック・マッティ監督による「On the Job: The Missing 8」のジョン・アルシアの手に渡った。また審査員特別賞に、「四つのいのち」で知られるミケランジェロ・フランマルティーノの「Il Buco」が輝いた。審査員のひとり、クロエ・ジャオは本作について、「とても映画的な体験で、映画館で観るべき作品。自然や大地との関係を美しく描写している」と賞賛した。
今年の金獅子生涯功労賞はロベルト・ベニーニと、新作「ハロウィン KILLS」が上映されたジェイミー・リー・カーティスに与えられた他、カルティエが今年ベネチア国際映画祭とともに創設した、カルティエ・グローリー・トゥ・ザ・フィルムメーカー・アワードが、新作「最後の決闘裁判」をアウト・オブ・コンぺティションで披露したリドリー・スコット監督に授与された。

映画祭全体を振り返るなら、コンペティション21本のうち、女性監督作は5本(うち1本は男女のカップル)と少なめながら、3作品がメインの賞に輝き、その存在感を誇示した印象だ。受賞記者会見でマギー・ギレンホールは、カンピオンの「ピアノ・レッスン」について触れ、「単に女性監督として印象的なだけでなく、独自の表現を持った初の女性監督の作品だった」と振り返った。一方ディワン監督は、「カンピオン監督が文字通りわたしたちに扉を開いてくれた」と感謝の言葉を捧げた。
監督賞を受賞したことについて尋ねられたカンピオンは、「わたしは彼女たちとこうして賞をシェアできただけでとてもハッピーです。オドレイが金獅子を受賞したこともとても嬉しい」と答え、感激したディワン監督と手を取り合う、美しい光景も見られた。(佐藤久理子)
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