着席率の制限緩和、旧正月映画の“復活”――中国映画業界、国慶節目前で新たな動き
2020年9月26日 10:00
[映画.com ニュース] 中国の映画局が「映画館の再開と感染予防措置ガイド(第3版)」という通達を出したと、中国のメディアが一斉に報じている。これにより、9月25日から各上映の着席率を75%とすることが可能となった。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、劇場が約半年間も営業休止となっていた中国映画市場。7月20日から条件付きで映画館が再開すると、8月21日公開の戦争映画「八佰(原題)」(英題:The Eight Hundred)が市場の“起爆剤”に。同作の興収は現時点で29億5000万元(約455億4000万円)を突破。「バッドボーイズ フォー・ライフ」を抜き、2020年度の世界興行収入ランキング暫定第1位となっている。
9月4日からは、クリストファー・ノーラン監督最新作「TENET テネット」の上映がスタート。中国本土ではノーラン作品が絶賛される傾向にあるが、難解な内容だったためか、口コミは賛否両論。過去作同様の盛り上がりとはならなかったが、興収は既に4億2800元(約66億円)を記録。国別の興収でも、暫定世界1位となっている。また、多くの国で「Disney+」での有料配信になったディズニー大作「ムーラン」は、9月11日から公開。低評価の口コミ、海賊版の流出が相次いだが、興収は2億6000万元(約40億円)と健闘している。
映画館の着席率は、7月20日の再開時点では30%、8月中旬には50%。このリスクを考慮して封切りを控える作品も多く、「八佰(原題)」「TENET テネット」以外の話題作は乏しい。上映された3本の日本映画(「長いお別れ」「マスカレード・ホテル」「かぐや様は告らせたい 天才たちの恋愛頭脳戦」)も宣伝期間が少なかったためか、成績は振るわず。現在は、映画館が営業再開した頃の様子に戻り、全体興収もピーク時の10分の1程度になってしまっている。
しかし「映画館の再開と感染予防措置ガイド(第3版)」の通達によって、この現状が一変する可能性があるようだ。中国では10月1日の国慶節を皮切りに、1週間の大型連休に突入するため、各映画会社の話題作が公開される。19年は、中華人民共和国誕生70周年という節目だったため、同時期の興収総計50億5000万元(約782億7000万円)という驚異的な数字をたたき出した。
「着席率75%」という緩和措置を受け、各映画会社が早速動き出した。もともと旧正月(1月25日~2月8日)での公開を控え、その後延期していた話題作の上映が続々と決定している。中国女子バレーボールチームの実話を基にしたピーター・チャン監督作「奪冠(原題)」(英題:Leap)は、緩和開始当日の9月25日から公開され、ジャッキー・チェン主演作「急先鋒(原題)」(英題:Vanguard)が9月30日、アニメーション映画「姜子牙(原題)」(英題:Legend of Deification)が10月1日に上映されることに。
また、19年の国慶節に封切られ、興収31億4000万元(約486億7000万円)を記録したオムニバス映画「My People, My Country(英題)」に続く「My People, My Homeland(英題)」の上映も決定。同作は、チャン・イーモウが総合プロデューサー、「薬の神じゃない!」のニン・ハオが総監督を務めている。
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