実写版「ムーラン」が“本命”中国で苦戦 ランキングでは首位
2020年9月15日 22:30

[映画.com ニュース] ディズニー実写版「ムーラン」が中国本国で封切られたものの、公開3日間のオープニング興収が2300万ドルと期待外れの結果になったと、米Deadlineが報じている。
「ムーラン」は、オープニング興収ランキング1位の座を確保したものの、ディズニーは世界第2の巨大映画市場である中国をターゲットに本作を手がけた経緯があるため、十分な興収とはいえないようだ。
同作の題材が中国に古くから伝わる伝説であるうえに、ヒロインであるムーランを演じたリウ・イーフェイをはじめ、ジェット・リー、コン・リー、ドニー・イェンなどの中国系俳優を起用。また、軽快なミュージカル映画だったアニメ版「ムーラン」を、シリアスなアクション映画に転換したのも、中国観客の嗜好に合わせた結果だと言われている。
中国市場で受け入れられなかった要因のひとつとして、中国での劇場公開1週間前に、Disney+がサービスを提供する国と地域で「ムーラン」の配信がはじまったため、海賊版が出回ってしまったからという可能性がある。だが、もっと大きいのは、ウイグル問題だと専門家は見る。
実写版「ムーラン」のエンドクレジットには、「Special Thanks」として中国の新疆(しんきょう)ウイグル自治区政府機関の名前が掲載されている。これにより、「ムーラン」が、ウイグル人が収容所で拘束されている自治区で撮影を行ったことが明らかになったのだ。中国が少数民族の弾圧を行っている地域で撮影を敢行したばかりか、中国側の自治区政府機関に感謝の意を伝えていることを問題視した米共和党の議員たちは、「ムーラン」の配信及び、公開を停止するキャンペーンを展開している。
これを受けて、米ウォルト・ディズニー社のクリスティン・マッカーシー最高財務責任者(CFO)は、「実際のところ、『ムーラン』の撮影の大半はニュージーランドで行われました」と釈明。中国国内での撮影はごく一部であり、慣例にしたがって撮影に協力してくれた地方自治体の名前をエンドクレジットに表記しただけだと説明しているものの、これによって「多くの問題を生み出してしまった」ことを認めている。
アメリカからのウイグル問題の批判をうけて、中国当局は国内で「ムーラン」に関する報道を規制。その結果、「ムーラン」が十分に告知されなかった可能性はありそうだ。
「ムーラン」は、主演のイーフェイが中国のソーシャルメディアに香港警察を支持する投稿を行ったことがきっかけで、香港、台湾、タイの民主化活動化たちがボイコット運動を展開するなど、複数の政治論争に巻き込まれている。米映画界にとって中国の巨大市場は魅力的であるものの、政治的なリスクが伴うことを「ムーラン」で露呈した形となった。

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