【「PERFECT BLUE」評論】夭逝した今敏監督の原点、現実と夢が交錯する珠玉のサイコスリラー
2020年6月6日 23:00

[映画.com ニュース] 新型コロナウイルスの影響により、多くの新作映画が公開延期となり、映画ファンの鑑賞機会は減るばかりです。映画.comでは、「映画.comオールタイム・ベスト」(https://eiga.com/alltime-best/)に選ばれた、ネットですぐ見られる作品の評論を毎週お届けいたします。今回は「PERFECT BLUE」です。
アニメーション監督・今敏(こんさとし)が46歳の若さで亡くなって、今年8月で10年が経つ。新作がないため今監督の作品群をご存じない方もいるかもしれないが、ぜひ見ていただきたい。氏が遺した劇場アニメ4作はアニメならではの面白さと、普段アニメを見ない人も楽しめる“開かれたエンタメ”としての魅力があると思うから。
未見の人には監督第1作の本作からお勧めしたい。デビッド・フィンチャーの「セブン」、今監督のファンを公言するダーレン・アロノフスキーの「ブラック・スワン」のような、見る人をキリキリと締めあげていく容赦ない描写(本作はR指定)と、フッと差しこまれる乾いたユーモアの緩急がたまらない。アイドルグループを卒業し、女優に転進しようと奮闘する主人公にストーカーの手が迫る物語をひとひねりもふたひねりもさせ、81分のコンパクトな尺で虚実入り混じった珠玉のサイコスリラーを堪能できる。
当初オリジナルビデオとして製作が進められ、予算もスケジュールも劇場アニメ並みとはいえない状況のなか、今監督は作品をより面白くするためシナリオ段階からアイデアを盛りこみ、大友克洋や押井守の劇場作品に参加してつちかったリアリティのある画面づくりで作品の密度とキレ味を高めている。
主人公が出演する作中作ドラマの舞台裏をシャープに描きながら、“見る者”と“見られる者”の対比が少しずつ歪みながら繰り返され、いつしか観客も主人公と同じように何が現実で何が夢かが分からなくなっていく。のちの監督作でも好んで用いられる、現実と夢を交錯させる作風がすでに確立していることが、「千年女優」「東京ゴッドファーザーズ」「パプリカ」と見ていくとよく分かる。
今監督は自身のサイトに「パーフェクトブルー戦記」と題した長文のメイキングを寄せている。作品と同じくサービス精神に満ち、別の意味でドキドキハラハラさせられる(本当に!)文章を読むと、きっともう一度見返したくなるはずだ。

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