ポン・ジュノ、デル・トロらが絶賛! 中国新鋭の初長編「凱里ブルース」4月18日公開
2020年2月17日 06:00
“3Dのワンシークエンスショット”という演出が注目を浴びた「ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ」(2月28日)を手掛けたビーは現在31歳、中国貴州省凱里市出身の映画監督だ。26歳の時に製作した「凱里ブルース」は、出演者の大半がビー監督の家族や親戚、友人であり、故郷である凱里でロケを行った作品。スイス・ロカルノ国際映画祭でワールドプレミア上映されると、新進監督賞と特別賞を受賞し、各国のメディアやジャーナリストから驚きと称賛を持って迎え入れられた。
新華社通信は、その時の興奮を「過去5年で一番優れた中国国産映画」「中国映画を50年進歩させる」と絶賛。その後もフランス・ナント三大陸映画祭の場で、中国人としてはホウ・シャオシェン監督作「恋恋風塵」以来となる黄金の熱気球賞(グランプリ)を受賞。中華圏のアカデミー賞とされる金馬奨では、最優秀新人監督賞とFIPRESCI賞に輝き、その圧倒的な才能を世界に見せつけた。
凱里の小さな診療室に身を置いて、老齢の女医と幽霊のように暮らすシェン。刑期を終えてこの地に帰還した時には、彼の帰りを待っていたはずの妻はこの世になく、しばらくして可愛がっていた甥も弟の策略でどこかへ連れ去られてしまった。シェンは甥を連れ戻すために旅に出る。辿り着いたのは、過去の記憶と現実と夢が混在する不思議な街“ダンマイ”だった。
予告編は、中国第8世代の最前線に立つビー監督の異才ぶりがわかる仕上がりだ。また、突如現れたこの新星に、映画界からも熱視線が注がれている。オスカー4冠を果たした韓国映画「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノ監督は「ビー・ガンはこの先20年間の映画界を牽引する監督の一人である。フィルムノワールの亡霊、ウォン・カーウァイの不機嫌なブルーズ、『めまい』とタルコフスキーの時間の洞窟、ホウ・シャオシェンの長い出会い、アピチャッポンの神秘的な夢想。それらの光源は、ビーの映画館の鏡の間で反射する」と分析している。
また、ギレルモ・デル・トロ監督は「魂の彷徨に関する驚くべき処女作。時と出来事の連鎖、そして後悔の念が描き出す、その天才的かつ詩的な映画技で、凱里一帯を40分のワンショットで追う。なぜ映画で? なぜ人生を?」と語る。17年に亡くなった「羊たちの沈黙」のジョナサン・デミ監督は「もしも無鉄砲な初監督が、新作のほぼ半分近く、ある場所から別の場所(各々非常に離れた場所)へとカットしない決断を勇気をもってくだしたとしたら? その代わりに、めちゃくちゃ超越的な1時間半のワンテイクをあえて強行する選択をしたら? その答えは十中八九、このビー・ガンの傑作である『凱里ブルース』になるでしょう」とコメントを寄せていた。
「凱里ブルース」は、4月18日から東京のシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
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