羊たちの沈黙
劇場公開日:2001年3月17日
解説
FBIアカデミーの優秀な訓練生クラリスは連続誘拐殺人事件の捜査スタッフに組み込まれ、犯罪者として収監されているレクター博士と面会する。それは、天才的な精神科医でありながら、自らの患者を次々と死に追いやったレクターこそ事件の謎を解く鍵になると見込んでのことだった。レクターはクラリスに興味を示し、捜査の手がかりを与える。ふたりが次第に心を通わせていく一方、新たな誘拐事件が。そしてレクターは脱獄を図り……。ジョナサン・デミ監督の代表作となったサイコサスペンス。1991年6月に日本公開。2001年3月にはニュープリント版が公開された。
1991年製作/118分/PG12/アメリカ
原題:The Silence of the Lambs
日本初公開:1991年6月14日
スタッフ・キャスト
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当時、告発の行方で主演女優賞を獲得し、ノリに乗っていたジュディーフォスターが自ら主演を熱望したベストセラー小説の映画化。
ジュディーフォスターの熱演も去ることながらこの映画でさらに脚光を浴びたアンソニーホプキンス。
原作の雰囲気を見事に映像化した脚本と監督。
今の時代にはなかなか出てこない名作中の名作。
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以前、どこかのサイトで解説されていたのを何とか思い出しながら書く。(この解説が正しいというのではなく、鑑賞後の自分の感想に最もフィットしていると感じたため)
ミステリーの用語で、「アームチェア・ディテクティブ」というのがある。又は「安楽椅子探偵」と呼ぶが、それに類する作品である。
クラリスとレクター博士は、二人とも同じものを持っている。その正体は「絶望」だ。それがこの映画の要になっている。
クラリスの父親が死んでしまうことは、幼かった彼女にとって「絶望」だが、それだけでは抽象的で弱い。だから子羊の屠殺を目撃して、子羊を一頭だけでも救い出そうとするという具体的なエピソードを加えている。こうすることで、子羊を助けて鳴き声が聞こえなくなるために(絶望に打ち勝つために)クラリスは行動している、というストーリーの目的が明確になる。クラリスの真っ直ぐな性格も表現できる。
一方でレクター博士は、精神科医として様々な患者と向き合いながら苦しみ闘ってきたはずで、そこで「絶望」に飲み込まれて人間を喰らうという悪魔になってしまった人間だ。レクター博士は精神科医としてクラリスのことをよく分析できるのと同時に、自分も同じ「絶望」を知っているから、彼女のことをより理解できるのだ。
面白い作品は必ず、表のストーリーと裏のストーリーの二本立てになっていて、二つの話が同時に進行する。この作品で言えば、犯人探しや謎解きにドキドキするのは確かにあるが、それは表のストーリーで、物語の主軸はあくまでもこのクラリスとレクター博士の関係性にある。
クラリスが汚れていない無垢な、ひたむきで、美しい、絶望に立ち向かう勇敢な女性だったからこそ、レクター博士はクラリスに興味をもったし、彼女にだけヒントを与えてくれた。クラリスは自覚は無いかもしれないが、この相反するように見える二人が、心の深いところで共鳴できる部分を持っている、特別な間柄だということが、この作品の最も大きな魅力になっているのである。
原作では、クラリスはもっと激しいキャラだそうで、作品の印象がかなり違うらしい。この映画はまた別の一つの完成形と言えるだろう。
ジョディ・フォスターの聡明で可憐な美しさよ…この役は彼女しか考えられない。
2022年11月4日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
FBIの謎めいた若きクラリス・スターリングは、懸命に訓練に励んでいる。冒頭からダークな音色が耳に残り、病みつきになりました。クラリスを冷酷な殺人鬼で人食いでもあるハンニバル・レクターに会わせようとするジャック・クロフォード、これから繰り広げられる異常な風景を予感させる印象的なオープニングです。何度観ても怖く、飽きない作品です。ジョナサン・デミの演出はもちろん、脚色が光っている。レクター博士との初対面で心理的につけこまれるクラリスを演じたジョディ・フォスターの演技はとてもリアルだ。忘れてはならないのは、アンソニー・ホプキンスだ。いまでもアンソニーの顔を見ると恐怖を感じる。『ファーザー』(2020)の痴呆老人も見事だが、あまり出番のないこの殺人鬼がオスカーを受賞するのは当然だろう。
約2時間、この映画に引き込まれてしまった。
何と言ったらいいか‥
博士とクラリスがとにかく魅力的。
2人のことを深く、もっと深く、知りたくなる‥
サスペンス系にハマってまいそう😂