今夜、ロマンス劇場で
劇場公開日 2018年2月10日
解説
綾瀬はるかと坂口健太郎が共演し、モノクロ映画の中のヒロインと現実世界の青年が織りなす切ない恋の行方を描いたファンタジックなラブストーリー。映画監督を目指す青年・健司はモノクロ映画のヒロインである美雪に心を奪われ、スクリーンの中の彼女に会うために映画館に通い続けていた。そんなある日、美雪が実体となって健司の前に現われる。モノクロ姿のままの彼女をカラフルな現実世界に案内するうち、健司と美雪は少しずつ惹かれ合っていく。しかし美雪には、人のぬくもりに触れると消えてしまうという秘密があった。「のだめカンタービレ」シリーズの武内英樹がメガホンをとり、「信長協奏曲」の宇山佳佑が脚本を担当。
2018年製作/108分/G/日本
配給:ワーナー・ブラザース映画
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2020年5月17日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波
正直に言うと、最初にこの作品を試写で見た時は、期待が大き過ぎたのか、そこまで入り込めずに評価できない自分がいました。
ただ、本作の大きなテーマにあるように「存在を忘れられた作品」ほど悲しいものはないんですよね。
その意味では、記憶にはしっかりと残っていましたし、北村一輝の爆弾シーンをなぜかもう一度見たくなって映画館にも行きました。
そして、3回目を見た感想ですが、やはり映画というのは、いつ見るのかによって評価は変わるもの、ということを改めて痛感しました。
主人公の坂口健太郎の将来を演じた加藤剛さんは役柄そのままに公開から4か月後に亡くなられましたが、加藤剛さんの遺作に相応しい出来の映画でした。
それにしても「白黒」が関係しているのもあって、ここまで色彩が鮮やかに見えた映画も久しぶりでした。色彩面に加えて、役柄の女優らしく自然とクルクル変わる綾瀬はるかのファッションなど、見どころ満載です。
「翔んで埼玉」や「テルマエ・ロマエ」の武内英樹監督作にしては笑いが少ない面はありますが、北村一輝が何気にそれを一手に背負って頑張っていましたし、何より「ロマンス映画」としては出来は良かったですね。
今ほど世の中が「映画愛」を意識する環境はないと思いますが、だからこそ武内監督の映画愛を強く感じましたし、多くの人たちが持つ「映画館への愛」も思い出させてくれるような素敵な作品でした。
この時期だからこそ多くの人に見てほしい作品ですし、平和な時代に戻った時も、また機会があれば見返したい「忘れ去られない作品」です。
(※評価を4.5にしたのは、CMで出てきた「コンフィデンスマンJP プリンセス編」と比べてしまったからです)
ロマンチック純愛的な内容からもっと甘々なヒロインかと思いきや、なかなかドスの効いた声というか、あまり可愛い感じではない上から目線の姫。
なのですが、とにかく孤高な感じで美しい。
オールドファッションな感じのドレスやワンピースもすごく似合っているし、凛として美しい。
スクリーンから抜き出してきた彼女の秘密が語られてくると切なさが溢れてくる
遺作となった加藤剛さんの芝居も、本当に老いて終末を迎える老人のリアルさがすごいと共に、渋いというか色気があるというか。印象深い。
2022年4月12日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
私は元々あまり感動しないタイプの人間なのですが久々に泣きました。しんどいくらい泣きました。
ラストシーンの頃にはティッシュを使いすぎて鼻が痛かったぐらいです笑
モノクロから色がついた綾瀬はるかさんがお綺麗でした。
2022年3月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
これほど素晴らしい作品だとは全く予想していなかった。本作は、映画愛に溢れた、若い男女の恋愛に真摯に向き合った感動的なファンタジー仕立ての本格派ラブストーリーである。
本作の舞台は昭和35年。映画全盛期。主人公は、映画の助監督をしている青年・健司(坂口健太郎)。彼は、映画館・ロマンス劇場に通い詰め、憧れのお姫様・美雪(綾瀬はるか)が主演している古い作品を観ることを楽しみにしていた。ある日、突然、美雪が健司のいる現実世界に現れる。健司は、当初、天真爛漫で勝気な美雪に戸惑いながらも、次第に惹かれていく。美雪も健司の一途さに惹かれていくが・・・。
本作は、奇想天外な現実離れしそうな設定であるが、4人の役者の演技が奏功して、感動的な作品に仕上がっている。何と言っても、美雪を演じる綾瀬はるかが素晴らしい。彼女の生活感のあまり感じられない佇まいが、スクリーンから飛び出した、お姫様という役柄にピッタリ当てはまる。オードリーヘップバーンを思わせる数々の美しいファッションにも目を奪われる。彼女の良さが最大限に引き出された作品と言えるだろう。間違いなく彼女の代表作になるだろう。
健司役の坂口健太郎も負けてはいない。美雪とは好対照の、映画好きの不器用で一途な青年を熱演している。美雪への熱い想いが胸を打つ。大スター役の北村一輝は当時の大スターがどんな存在だったかを快演している。主人公とのやり取りが面白い。ロマンス劇場の館主である柄本明は、人生経験豊富な達観した佇まいで、ちょっとした台詞の一つ一つが味わい深い。
前半は、面白いラブストーリー程度だったが、後半に入り、徐々にラブストーリーのクオリティが高まり、切なさが増してくる。自然に涙が溢れてくる。ラストシーンは敢えて劇的な展開にはせず、そうであって欲しいと思っていた納得の幕切れだった。台詞は少なく、映像表現で観客に語り掛けてくれたので、その分、作品に感情移入ができ感動的だった。
本作は、全編を通して、仄々とした、包み込まれるような温かさ、優しさが感じられる。心地良く鑑賞できる作品である。主人公を始めとして映画に関わる登場人物が多く、映画愛に溢れる台詞が盛沢山で、設定を含め、映画ファンには堪らない作品である。
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