恋恋風塵
劇場公開日 2016年5月21日
解説
「悲情城市」などで知られる台湾のホウ・シャオシェン監督が1989年に発表した作品で、ノスタルジックな風景の中にみずみずしい青春の断章を描いた秀作。鉱山の村で幼いころから兄妹のように育ったワンとホン。中学卒業後、2人はともに貧しい家計を助けるため、台北に出て働く。慣れぬ都会暮しの中、互いに励まし合う2人に淡い恋情は芽生えるが、やがてワンのところに兵役の知らせが届き……。1989年に日本劇場初公開。2016年、デジタルリマスター版でリバイバル。
1987年製作/110分/台湾
原題:戀戀風塵 Dust in the Wind
配給:熱帯美術館
日本初公開:1989年11月11日
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映像はどうすれば、透明で純粋な、途絶えることのないメロディを超えた「語り」を創り出せるのか。全ての答えがこの映画にあった。
カメラと人物の距離感と、ゆっくりとしたカメラワークに、監督の奥ゆかしい視線を感じた。
あるがままの風景にも、人の心にも、カメラは決してズケズケ入っていかない。何人たりとも、そこにある風景や個人の尊厳を侵害してはいけないという、自然や人間への敬意すら感じた。
トンネルの多い単線。スーッと夢の中へ導かれるように本編は始まる。
愛を自覚する前から兄妹のように育った若い二人の日常を、鑑賞者がそっと見守るように物語は進む。
たったワンシーンだけ小津安二郎ショットがある。体調を崩して寝込んでしまった彼を看病する彼女は、唯一「彼の目線」で描かれていた。彼女は新妻のように美しく、世界の全てのようだった。
ラストで、昼寝する母を横目に、爺ちゃんとサツマイモの話をする。松葉杖も手作りする爺ちゃんは、自然や精霊に働きかけながら生きている。
すると私は、まるで全ては夢だったような不思議な感覚を覚えた。人間の小さな営みと、魂で感じた愛。一体どちらが夢なのだろう。
2020年8月13日
Androidアプリから投稿
親の意向で結婚させられてた時代なんだろうね。どこの国も郵便局って安定収入なんだね。二人の描写が何とも瑞々しく、青春だっただけに、結ばれて欲しかったよ。
淡々とした青春映画と思いきや、割と一点集中型のクライマックスがあって心えぐられる。
終始優しい風景と、ラストの余韻の残し方といい爽やかさと切なさが半端ない
2019年11月20日
iPhoneアプリから投稿
周りばかりが大人になっていくような気がするのは、みんな同じなのかな。大人(に見える)友人も同じことを考えていたのかな。若き日の成長に憧れたり、恥ずかしいくらいの失敗をしたシーンを思い出させてくれる
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