「カメラを止めるな!」仏の日本映画専門映画祭キノタヨで大喝さい
2019年1月23日 14:00
[映画.com ニュース] この冬も再びキノタヨ映画祭の時期がやってきた。フランスで唯一、日本映画専門の映画祭で、ジャンルを問わず多彩な作品に出合える場として年々ファンを増やしている。13回目を迎えた今年は、パリで開催中のジャポニスムの日本映画レトロスペクティブとの関連もあり、1月にパリ日本文化会館、2月にシアター、クラブ・ドゥ・エトワールに場所を移して開催される。
開幕作品に選ばれたのは、ホラー作品として初めて開幕を飾る話題作「カメラを止めるな!」。他にコンペティションのラインナップには、「生きてるだけで、愛。」「菊とギロチン」「斬、」「栞」「真っ赤な星」「港町」「ユリゴコロ」「ラストレシピ 麒麟の舌の記憶」「DESTINY 鎌倉ものがたり」が並び、特別上映作品には「ペンギン・ハイウェイ」と「未来のミライ」、先鋭的な作品を紹介するセクション「KANATA 鏡の向こうに」には、ドキュメンタリー「恋とボルバキア」と、フランス人監督ロナン・ジルが日本で撮影した「海の底からモナムール」が選ばれ、計14本となった。
1月17日のオープニングセレモニーでは、一足早くフランスを訪れた「菊とギロチン」の女優・木竜麻生の出席のもと、「カメラを止めるな!」の上映が行われた。本作は、昨秋にラ・ロッシュ・シュル・ヨン映画祭でフレンチプレミアを迎えて以来、マニアックな映画ファンのあいだで早くも注目を集めていた。満席となったこの日は、フランスの配給会社Films de Tokyoの代表、オリビエ・ドゥフェイ氏が上映に先立ちイントロダクションを務めた。本作がインディペンデント作品として日本で画期的な成功を納め業界を驚かせたこと、ひいてはフランスでも広く観客に受け入れられることを期待している旨を述べ、さらに3つのパートに分かれたユニークな構成に触れて、「2つ目のパートから映画が思わぬ方向に回り始めますから、心してください」と補足した。
だが実際映画が始まると、すでに冒頭から笑いがちらほら起こった。しゅはまはるみ扮するキャラクターが披露する護身術「ポン」も受け、緩い温度の笑いはフランスでも時差なく受け入れられた印象だ。そして第2部からは、もはや暴走コメディのような勢いで会場中が受け、最後の大団円を迎えて大きな拍手が巻き起こった。
終演後、何人かの観客に意見を求めたところ、「確かにはじめは不器用な学生映画のようだと思ったが、後半オチがわかってくると多いに楽しめた」「怖いゾンビ映画かと思っていたらまったく異なり、コメディのように楽しめた。映画の撮影隊を使ったアイデアが秀逸」「脚本の構成が巧妙で、驚かされた。笑いっぱなしだった」「これまでの日本映画にはなかったタイプの作品という印象」と、どれもポジティブな意見だった。
フランス公開はまだはっきりとした日程は出ていないが、近日予定となっている。フランスに配給される日本映画といえば、これまでは作家的なイメージの強い監督の作品、あるいはシリアスなドラマが多かったが、果たして本作がどれぐらい大衆の心を掴むのか、興味深いところだ。
キノタヨ映画祭にはこのあと、塚本晋也、想田和弘、井樫彩、熊澤尚人、関根光才、榊原有佑ら監督陣、「菊とギロチン」の脚本家、相澤虎之助も参加する予定である。(佐藤久理子)
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