京都国際映画祭2018、世界遺産で開幕 佐藤浩市が三船敏郎賞を受賞「思い起こせば38年前…」
2018年10月11日 19:32
[映画.com ニュース] 吉本興業グループが企画推進する京都国際映画祭2018が10月11日に開幕し、京都の世界文化遺産のひとつである西本願寺でオープニングセレモニーが行われた。国際的な活躍が期待される俳優におくる「三船敏郎賞」は、佐藤浩市が受賞。同所・南能舞台で授与された佐藤は、「思い起こせば38年前、初めての映画で京都に来ました。こういう場でこういう賞をいただけるとは。まして大先輩である、三船敏郎さんの名を冠する賞。恐悦至極です」と感無量の面持ちを浮かべた。
続けて佐藤は、「(国)外で仕事をするタイプではないですが、言語、習慣、宗教すべてが違う異国に対して、日本という国から映画という共通言語を発信することで、普遍的なものを感じていただける。違う国の人間同士が、映画を通じてお互いを知ることができる」と見解を述べる。「今後あと、どれくらい映画を作っていけるかわかりませんが」としながらも、「常にそういう気持ちで参加させていただきます」と真摯に意気込んでいた。
「映画もアートもその他もぜんぶ」をテーマに掲げ、多岐にわたるユニークな企画を打ち出してきた本映画祭。来場者数は初回の14年に約4万人、17年には約33万人と、着実に実績を積み重ねている。名誉実行委員長・中島貞夫監督は「よーい、スタート!」と恒例の掛け声で開幕を宣言し、「第5回という、ひとつの節目に差し掛かった。今年の映画祭は、なんとしても成功させたい」と怪気炎をあげた。
挨拶に立った笑福亭仁鶴は「南能舞台は重要文化財、そして皆様が座っている部屋は国宝に指定されています。気いつけてください」とユーモアを交えて観客に釘を刺し、「多くの映画が撮影され“日本のハリウッド”と言われた京都。日本で最初の映画が上映された場所でもあり、まさに日本映画発祥の地です。そんな京都で、今年もまた皆様にお会いすることができました」と目を細める。アンバサダーの三田佳子は、神聖な舞台にあがり「清濁あわせ持ち、人生は作られていると、私も身をもってつくづく思います。ここに上がらせていただき、清らかに、落ち着いた気持ちにさせていただきました。個人的にも、こうして皆様の前でご挨拶でき、とても嬉しく思っています。今後、女優として最後までやっていきたい」と感慨深げに話した。
さらに総合プロデューサーの奥山和由氏は「映画祭は、そこから新しく素晴らしい作品が生まれて、初めて一人前。この第5回で、やっと一人前になれたかもしれない。中島貞夫監督の20年ぶり長編映画『多十郎殉愛記』が、ワールドプレミアで上映されます。素晴らしい作品です」と万感を込める。そして、本映画祭を支えてきた津川雅彦さんや、企画&出演作「エリカ38」の製作発表を予定していた樹木希林さんを偲び、「日本映画界を支えてきたこの2人の薫陶を受け、『映画祭はどうあるべきか』とうかがってきました。その教えを胸に、4日間、映画祭を行っていきたい」と結んだ。
また日本映画界の発展に寄与した映画人におくられる「牧野省三賞」は、「鉄道員(ぽっぽや)」「追憶」などで知られる降旗康男監督が受賞。同監督は体調不良のため欠席し、息子である降旗淳平氏が代理でトロフィーを受け取った。なおこの日は桂文枝、西川きよし、特別招待作品「Beautiful Food」のパク・ギュリ(元KARA)とチョ・ソンギュ監督、「あいあい傘」の倉科カナと宅間孝行監督、「バイオレンス・ボイジャー」の宇治茶監督、TV DIRECTOR'S MOVIE「耳を腐らせるほどの愛」の井上裕介&石田明(NON STYLE)、豊島圭介監督らも出席した。京都国際映画祭は、10月14日まで開催。
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