役所広司「孤狼の血」公開に万感の表情 松坂桃李「忘れられない作品」
2018年5月12日 14:30
[映画.com ニュース] 役所広司の主演最新作「孤狼の血」が5月12日、全国337館で封切られた。役所をはじめ松坂桃李、江口洋介、真木よう子、ピエール瀧、音尾琢真、中村倫也、阿部純子、原作者の柚月裕子氏、白石和彌監督は、東京・丸の内TOEI1での舞台挨拶に顔をそろえた。
暴対法成立以前の昭和63年、広島の架空都市・呉原が舞台。やくざとの癒着が噂される刑事・大上章吾(役所)と捜査二課の新人・日岡秀一(松坂)が、激化していく暴力団同士の抗争に直面するさまを描く。1978年に「無名塾」に入塾した役所は、今年俳優生活40周年。本作への参加について「40年目に出合えて幸せでした」と思いの丈を述べると、濡れ場ばかりの「娼年」に主演した松坂を見て「松坂君は40年後、全裸で仕事しているんじゃないでしょうか(笑)」と言葉を投げかけ、場内の笑いを誘った。
松坂は「30歳になるという節目で、役所さんともう1度共演できて、こうも早く白石さんと仕事ができた。僕の中では忘れられない、特別な作品」と胸中を吐露。役所とは劇中で“バディ”という関係性だったことから「親のような、師匠のような、それこそ大先輩でもあります。大きく、ぶ厚く、やはり遠い存在だなと感じました。(撮影の期間は)かけがえのない大事な時間でした」と振り返っていた。そんな松坂について、役所は「ラストシーンまで繊細に役を積み重ねていく。真っ直ぐな目の力は、共演していて頼もしい」と絶賛していた。
「白石さんは台本に書いていないことを提案してくれる。白石組にまだ参加していない人から紹介してと相談されることも。役者がうずくディレクションをする方」という中村の発言が象徴するように、キャスト陣の言葉からにじむのは、白石監督への厚い信頼だ。そんな中、白石組の魅力を問われた瀧は「これまでもショッキングな作品を手がけていますが、今回もバイオレンス描写やエグイ部分は結構出てくる。その時に一番楽しそうにしているのが監督。僕は“鬼畜どんぐり”というあだ名をつけている」と告白。思わぬ表現に場内は大爆笑だったが「男のバイオレンスな部分を可愛らしく撮ってくれるんですよね。そういうところは、白石さんの専売特許だと思う」と語っていた。
場内に女性客が多いことに気づいた役所は「男たちに『行けよ、映画館に。行って、ちょっと牙を磨いてこいよ』と薦めてください(笑)」とメッセージ。「この映画がヒットすると、白石監督はまた映画を作れます。映画は、監督のアレンジでちょっとゲスな味付けをしていますが、柚月先生の原作も素晴らしい。生き生きとした作品になっているので、ぜひ楽しんでください」と万感の面持ちで、アピールに努めていた。