「ファントム・スレッド」で引退!オスカー俳優ダニエル・デイ=ルイスの狂気の武勇伝
2018年4月23日 13:00

[映画.com ニュース]これまでに、6度もアカデミー賞候補に選出され、「マイ・レフトフット」「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」「リンカーン」で3度オスカーに輝いた名優ダニエル・デイ=ルイス。最新主演作「ファントム・スレッド」(5月26日公開)での引退を表明しているが、“ひょう依型俳優”として知られるデイ=ルイスがこれまでの俳優人生で残した“武勇伝”を紹介する。
80年代に起こった英国俳優ブームで、ルパート・エベレット、コリン・ファース、ヒュー・グラントらと共に日本でも人気を獲得したデイ=ルイス。甘いマスクと確かな演技力で、女性を中心に多くのファンをとりこにしたが、本人の役への取り組みは時に常軌を逸したレベルにまで達した。
初のオスカーを獲得した「マイ・レフトフット」(1989)では、重度の脳性小児マヒに冒された画家・小説家のクリスティ・ブラウンを熱演。撮影中は左足しか使わず、車椅子で移動。オフの際の食事も、主人公は手が不自由という設定ゆえに周囲の人間にスプーンで口まで入れてもらったほど。役にのめり込むあまり、ロケ中はあばら骨を骨折したこともあったという。続く「ラスト・オブ・モヒカン」(92)では、原始的な生活を送る主人公になりきるべく、アラバマの荒野で過ごし、実際に狩猟生活に挑戦。動物の皮をはぎ、カヌーを作るなど、さまざまな技術も習得した。オフのときも、火縄銃をいつも持ち歩いていたというから、演技へのこだわりは並大抵のものではない。
爆破テロ容疑で逮捕された親子の苦闘を描く「父の祈りを」(93)では、撮影が予定されていた人里離れた刑務所に寝泊まりをし、尋問をうける場面では、3日間徹夜して役作りを行った。現在の妻レベッカ・ミラーと出会った「クルーシブル」(97)では、17世紀が舞台の作品のため、水道も電気もないセットの家で暮らし、シャワーも浴びなかったという。
その後、俳優を引退してイタリアで靴職人として修行を始め、世間を驚かせたデイ=ルイス。巨匠マーティン・スコセッシが現地にまで赴き、デイ=ルイスを説き伏せて「ギャング・オブ・ニューヨーク」(2002)に出演させたのは有名な話だ。この映画の撮影でも、デイ=ルイスは自身の演技メソッドを追求。気温が低下した日に厚手のコートを着ることを勧められたが「舞台になった時代にはなかったから」という理由で着用を拒否。その結果肺炎をこじらせてしまったが、「舞台になった時代にはなかったから」と薬の服用も拒んだという。
役に没頭するあまり、周囲に厳しく当たることも多かったというデイ=ルイスは、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(07)で共演したポール・ダノを震え上がらせ、ボーリングの玉を投げるシーンでは本物の玉を投げつけたという。7年間スピルバーグに口説かれたという「リンカーン」(12)では、1年間の準備期間を要求。100冊に及ぶリンカーン大統領の関連書籍を読破し、役への理解を深めた。現場では、描かれる舞台がアメリカであることから、英国人の出演者に英国アクセントの英語の発音を禁じていたという。
見納めとなる「ファントム・スレッド」でも、デイ=ルイスの役作りは徹底していた。米ニューヨークのメトロピリタン美術館の中にあるアナ・ウィンター・コスチューム・センターを訪れ、保管されている歴代のデザイナーのドレスを見て学び、ニューヨーク・シティ・バレエの衣装監督マーク・ハッペルの元で洋裁の修行に約1年もの間まい進。最終的には、バレンシアガのスーツをそのまま複製できるほどの腕前に到達したというから、恐れ入る。本作では、妻をモデルにドレスを仕立て上げ、プレゼントをしたという心温まるエピソードも伝えられている。
ロバート・デ・ニーロからクリスチャン・ベール、ジェイク・ギレンホールまで、ひょう依型俳優は数多いが、中でもデイ=ルイスのこだわりぶりは異質。それほどまでに役と真摯に向き合うからこそ、前人未到のオスカー3度獲得という結果を打ちたてられたのだ。スコセッシ監督が銀幕の世界に引きずり戻したように、今後もデイ=ルイスの復帰を望む人々は後を絶たないだろう。
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