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ケイト・ブランシェット、60余年を経て映画化された「キャロル」に感慨もひとしお

2016年2月10日 12:00

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本作ではエグゼクティブプロデューサーも兼任した
本作ではエグゼクティブプロデューサーも兼任した
(C)KAZUKO WAKAYAMA (C)NUMBER 9 FILMS (CAROL) LIMITED / CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION 2014 ALL RIGHTS RESERVED

[映画.com ニュース] 「キャロル」で第88回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたケイト・ブランシェットがインタビューに応じ、エグゼクティブプロデューサーも兼ねた本作にかける思いを語った。

映画化もされた「太陽がいっぱい」(1960)の原作者パトリシア・ハイスミス氏が、50年代当時は犯罪とされていた“同性同士の恋愛”をテーマに、別名義で発表した小説を映画化。当時のニューヨークを舞台に、上流階級の人妻キャロル(ブランシェット)と、フォトグラファーを夢見ながら百貨店のおもちゃ売り場で働くテレーズ(ルーニー・マーラ)の恋模様を美しい映像と共に描く。

「実は、脚本を読んだのは6、7年前なの」と語るブランシェットにとって、原作発表から60年以上を経ての映画化には感慨もひとしお。「こんなに美しい脚本なのに、女性2人が主人公という理由から製作費が全然集まらなかった。クリスチャン・ベールエディ・レッドメインだったらあっという間に作られていたでしょうね。トッド(・へインズ監督)から電話があった時には『これで映画ができる』と思ったわ」。

「『シンデレラ』の撮影のお昼休憩で、(本作の衣装を務めた)サンディ・パウエルと、ヘアメイクのチームと4人で一緒に『キャロル』をどうするのかを話し合ったの」と楽しげに当時を振り返ったブランシェットは「役者として、常に興味を持っているのは全体像。今回は(エグゼクティブプロデューサーという)看板があるからこそ、より関わっていけた。同時に、映画を見てもらうための大きな責任を感じたわ」と述懐。男性ミュージシャン、ボブ・ディランを演じた「アイム・ノット・ゼア」(07)でも組んだへインズ監督とは、「問いかけ続けながら映画作りをすることが大切」と幾度も話し合いを重ねてキャロルのキャラクターをつかんでいったという。

年下の女性と恋に落ちるという役は新たな挑戦だったと推測できるが、ブランシェットは「今まで演じた女性との違いは感じない」と断言。「『ロミオとジュリエット』に思いをはせたりしていたわ。どちらも、通常の観念や習慣の中では禁断の恋だったのだから」と、本作で描かれているのがあくまで普遍的な“誰かを愛する気持ち”だという見解を示しながら、当時の時代背景が2人のドラマをより引き立たせているのだと話す。「50年代は、そういう(同性愛などの)言葉が存在していなかった。だからより孤独を感じる。テレーズが自分は誰なんだろう、私のセクシャリティは何なんだろうと悩むシーンがあるのだけど、すごく切ないの」。

「役作りは、私にとってはリズムなの。リズムをいかにシフトするか。そして、キャラクターが存在する世界観が何なのかを知ること」「役に(自分と)共通点があるか、というのは絶対に考えない。自然に存在するものだから」とフラットな姿勢を心がけるブランシェットが、最もキャロルにひかれたのは「神秘的なところ」だという。「人から距離感があるキャラクターではなく、神秘性をどう出すかは考えたわ。抑制をいかにきかせるかが大切だった」。そんなブランシェットが「自分にとっては、この役をどう演じればいいのかカギとなった」と語るのは、「『逢びき(1945)』へのオマージュが入っている」という冒頭のシーン。「2人の女性が(店で)お茶を飲んでいるだけで、何も起きていない。でも全部が、その瞬間起きているの」と力を込めた。

キャロル」は、第88回アカデミー賞で6部門にノミネートを果たした。2月11日から全国公開。

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