宮崎駿監督の“感涙”捉えた…、ジブリに迫る「夢と狂気の王国」が全国封切り
2013年11月16日 12:10
[映画.com ニュース] スタジオジブリの“今”を克明に映し出すドキュメンタリー「夢と狂気の王国」が11月16日、全国20スクリーンで封切り。同日深夜0時には、東京・新宿バルト9で世界最速上映が行われ、砂田麻美監督、プロデュースを手がけた川上量生氏らがカウントダウンに立ち会った。また、鈴木敏夫プロデューサーが飛び入り参加し「大変だったんですよ。仕事の邪魔ばかりして……(笑)。迷惑をかけている自覚はあるの? すべてがマイペースなんだから」と辛口な鈴木節で、砂田監督の労をねぎらった。
9月に引退を表明した宮崎駿監督の「風立ちぬ」、そして高畑勲監督の最新作「かぐや姫の物語」(11月23日公開)の制作が進むジブリの日常を通して、両監督の素顔や関係性、ふたりと向き合う鈴木プロデューサーの30数年をひも解く。自身の父親の最期を記録したドキュメンタリー映画「エンディングノート」が高く評価された砂田監督の「ジブリを題材にドキュメンタリーではなく、映画を撮る」という発想から生まれ、2012年秋から撮影が行われた。
本編完成からわずか1週間足らずだといい、砂田監督は「まだ心の半分はジブリにあるようで、フワフワした気持ち」となかば放心状態。一方、鈴木プロデューサーは「最初はどういうものを作りたいのかわからなかったが、『映画を撮る』というのが殺し文句になった。見事に映画になったよね。真実は何も伝えてないもんね(笑)」とニヤリ。映画のキャッチコピーを「ジブリにしのび込んだマミちゃんの冒険。」にした理由を「全部麻美ちゃんのせいにするため」と説明していた。
映画には「風立ちぬ」の主演声優に庵野秀明監督が決定した瞬間、鈴木プロデューサーが「かぐや姫の物語」の公開延期を決断する場面や、宮崎監督が「風立ちぬ」の試写鑑賞後に感涙し「自分の作品で泣いたのは初めてです」と挨拶するシーンなどが収められている。
本編上映を前に川上プロデューサー、「攻殻機動隊」「009 RE:CYBORG」などで知られるProduction I.Gの石井朋彦プロデューサー、細田守監督の「おおかみこどもの雨と雪」を制作するためスタジオ地図を立ち上げた齋藤優一郎プロデューサーの3人がトークショーを実施。ジブリ在籍の経歴をもつ石井氏は「これまで製作されたどのドキュメンタリーとも違う。とても優しい視点で、心地よいヒリヒリ感がある。きれいな夢がいっぱい描かれるうち、狂気がジワジワ見えてくる歴史的作品」と高評価。齋藤氏も「客観的に両監督と鈴木さんを切り取っているし、ジブリの人たちが第4の主人公になっている点もいい。被写体の終わりと始まり、未来を感じた」と評した。
今回、鈴木プロデューサーから白羽の矢が立ち、初のプロデュース業に挑んだ川上氏は「完全に責任転嫁なんですよ」と苦笑い。それでも「きっと鈴木さんも(この企画に)関心があったはずだし、純粋に見たいから距離を置いたんだと思う」と語り、「映画を見ながら、誰が“王様”なのか考えてもらえれば」とアピールした。
現在、新宿バルト9の9階エントランスホールでは、世界一の庭師として国際的に活躍するランドスケープアーティストの石原和幸氏が、緑に囲まれたスタジオジブリとジブリ作品をモチーフに造園した“ジブリの庭”が展示されている(11月22日まで)。
フォトギャラリー
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
犯罪が起きない町で、殺人事件が起きた――
【衝撃のAIサスペンス】映画ファンに熱烈にオススメ…睡眠時間を削ってでも、観てほしい
提供:hulu
映画料金が500円になる“裏ワザ”
【知らないと損】「映画は富裕層の娯楽」と思う、あなただけに教えます…期間限定の最強キャンペーン中!
提供:KDDI
グラディエーターII 英雄を呼ぶ声
【史上最高と激賞】人生ベストを更新し得る異次元の一作 “究極・極限・極上”の映画体験
提供:東和ピクチャーズ
予想以上に面白い!スルー厳禁!
【“新傑作”爆誕!】観た人みんな楽しめる…映画ファンへの、ちょっと早いプレゼント的な超良作!
提供:ワーナー・ブラザース映画
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。