福山雅治、是枝監督作で初の父親役　妻役は尾野真千子

これまで明かされることのなかった物語の一部も一部解禁になった。主人公の良多はある日、病院からの1本の電話で、小学校受験まっただ中の6歳の息子が実は出世時、病院で取り違えられた他人の子どもだったことを知らされる。血のつながりを選ぶのか、ともに過ごした6年という月日を選ぶのか……。人生の壁にぶつかりながらの成長していく家族の姿に迫る。

メガホンをとった是枝監督は、「福山さんと1シーン1シーン話し合って、一緒に良多というひとりの人間を立体的に描いていきました。良いところも悪いところも。とても楽しい共同作業でした」と述懐。だからこそ「福山さん演じる父親を、リリーさん演じる全く違うタイプの父親や尾野さん、真木さん演じる母親という圧倒的な存在と対比させながら、未熟な部分も含めて人間的に描けたと思います。今まで見たことのない福山さんの魅力を引き出せたと確信しています」と自信のほどをうかがわせる。

是枝監督との“共闘”を熱望していた福山は、世界的巨匠との仕事を終え「シンガーソングライターのような方だなと。最終的にはご自身でも知り得なかった深層心理が作品ににじみ出てしまうタイプなのでは。自分でもコントロールできないところに到達してしまう表現者なのではないかと」と振り返る。実際に会うまでは「過去にドキュメンタリーを撮っていたということもあり、役者に対してやや残酷な切り込み方というか、追い込み方をされるのかなと予想していたのですが、実際は真逆でした。それが素敵だと思いましたし、逆にすごみであると思いました」と心酔した様子だ。

共演した女優陣にとっても、撮影は充実した毎日だったようで、尾野は「この世界に入ったころから是枝さんを注目し、出たい、出たいと思っていたので素直にうれしかったです。やっていくうち、セリフや気持ちがどんどん変わっていくスタイルは珍しく、ワクワクしたし楽しかったです。共演者の方々も大好きな方ばかりで幸せでした」と語る。

是枝組があこがれだったという真木は、「とても穏やかな現場で、静かな気持ちで真しに役と向き合える場所でした。リリーさんとの夫婦役は照れくさかったですが、擬似夫婦体験、悪くなかったです」。共演経験のある福山については、「今回のようなイヤなやつも意外とハマってるな、と。見たことがない福山さんが見られると思います。作品のできあがりが一観客としても楽しみです」と明かし、完成を心待ちにしている。

ほか、風吹ジュン、國村隼、樹木希林、夏八木勲ら是枝作品ならではの豪華キャストが結集。なお、撮影は5月6日にクランクアップしている。

「そして父になる」は、2013年10月5日から全国で公開。