アイ・アム まきもと
劇場公開日:2022年9月30日
解説
「舞妓 Haaaan!!!」の水田伸生監督と阿部サダヲが4度目のタッグを組み、2013年製作のイギリス・イタリア合作映画「おみおくりの作法」を原作に描いたヒューマンドラマ。
小さな市役所で、人知れず亡くなった人を埋葬する「おみおくり係」として働く牧本。故人の思いを大切にするあまり世間のルールより自分の考えを優先してしまい、周囲に迷惑をかけてばかりいた。そんなある日、新任局長・小野口が「おみおくり係」の廃止を決定。身寄りなく他界した老人・蕪木の埋葬が「おみおくり係」での最後の仕事となった牧本は、蕪木の身寄りを探すため彼の友人や知人を訪ね歩き、やがて蕪木の娘・塔子のもとにたどり着く。蕪木の知られざる思いとともに彼の人生をたどるうちに、牧本自身にも少しずつ変化が起こり始める。
共演は塔子役の満島ひかりのほか、宇崎竜童、松下洸平、松尾スズキ、宮沢りえ、國村隼ら。
2022年製作/104分/G/日本
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
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孤独死、葬儀、引き取り手のない遺骨。これだけ深刻なワードが並ぶと、受け手としてかなり沈痛な気持ちになってもおかしくない。しかしこの映画は逆に観客をとても柔らかな気持ちに誘ってくれる。こういう作品で声を荒げてはダメだし、泣き叫んでもダメなことを、おそらく作り手側は熟知しているのだろう。牧本という少し理解しがたい人間を主軸に据え、あくまで彼のビジョンを通じて生と死を見つめることで、そのワンクッションがとても心地よい余韻をもたらしてくれる。それこそ、原作映画『おみおくりの作法』でエディ・マーサンが演じた主人公を、日本版では阿部サダヲが演じるなんて、絶妙なキャスティング。この人が時にワッ!となる気持ちを抑え、彼なりの信念にしたがって行動していく姿は本当にユニークで透明感に満ち、なおかつ真摯さが胸を打つ。人はどう死んだのかではなく、いかに生きたのかが重要。そのことに改めて深く気づかせてくれる作品だ。
本作は、2013年製作のイギリス・イタリア合作映画「Still Life」(邦題「おみおくりの作法」)をリメイクした作品で、当初のタイトルも「Still Life」(仮)だったようです。
それが最終的には「アイ・アム まきもと」という、主人公推しのタイトルに変わりました。
その主人公まきもとを演じるのが阿部サダヲなので、阿部サダヲの演技力が大きく問われる作品になっています。
日本テレビの水田伸生監督とのタッグなので「舞妓 Haaaan!!!」や「謝罪の王様」のような派手な演技を想定していましたが、正反対でした。
人知れず亡くなった人を埋葬する「おみおくり係」として小さな市役所で働く人物なので、実直な空気の読めないキャラクターと化していました。
そのため、周りとのやり取りの中で浮いてしまうことで笑えるシーンが生まれる仕掛けに。
また、阿部サダヲとやり取りをする共演者も重要になりますが、これが意外と豪華で驚きました。
これまでの水田伸生監督×阿部サダヲ主演作品とはかなり毛色が違い、あくまで原作と同様に「社会派」を目指した作品となっています。
「孤独死」は日本に限らず世界中で問題化してきていますが、「おみおくり係」のように一つ一つ対応すべきか、大胆に効率化すべきか判断が難しい面があるのも事実です。
ただ、前者の場合でも、まきもとが最後の案件として行なったところまでやると、コストパフォーマンスが悪すぎて非現実的になるわけです。
社会問題の落としどころを考える上でも適した作品だと思います。
2022年9月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
阿部サダヲが演じる役所のおみおくり係・牧本は、無縁仏となった故人を埋葬するのが仕事だが、自腹で彼ら彼女らの葬儀をあげてとむらう。愚直なほどにきまじめで、空気が読めなかったり周囲に迷惑をかけたりする面もあるが、そんな牧本の言動を阿部がほどよい力の入れ加減(あるいは抜き加減)で演じて穏やかな笑いを促すことで、孤独死などの暗い話が続く本筋を適度になごませてくれる。
「聖なる愚者」というほど極端ではないにせよ、牧本のような善意の人が現実の世界にも目立たないながらあちこちにいて、社会的弱者やセーフティーネットの網目からこぼれ落ちてしまうような存在を助けているのだろうなと想像する。
水田伸生監督はテレビドラマ演出の方がキャリアが長く、今クールの「初恋の悪魔」も演出担当だった。「アイ・アム まきもと」のような抑え目で淡々とした演出より、ギミックも使ったケレン味ある映像演出のほうが得意な印象を受ける。
2023年3月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
笑えない。タイトルも演出もキャスティングもコメディ以外の何ものでもないし、そもそも阿部サダヲだし。主人公の描き方も雑で共感が難しく、あの映画の終わり方もどうかと思う。ラストで感動させようと試みたのだろうが、大半はどうだろう。感動どころか悲しむ人のほうが多い気がする。だってコメディでしょ?