ハウス・ジャック・ビルト
劇場公開日 2019年6月14日
解説
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「ニンフォマニアック」の鬼才ラース・フォン・トリアーが、理性と狂気をあわせ持つシリアルキラーの内なる葛藤と欲望を過激描写の連続で描いたサイコスリラー。1970年代、ワシントン州。建築家を夢見るハンサムな独身の技師ジャックは、ある出来事をきっかけに、アートを創作するかのように殺人を繰り返すように。そんな彼が「ジャックの家」を建てるまでの12年間の軌跡を、5つのエピソードを通して描き出す。殺人鬼ジャックを「クラッシュ」のマット・ディロン、第1の被害者を「キル・ビル」のユマ・サーマン、謎の男バージを「ベルリン・天使の詩」のブルーノ・ガンツがそれぞれ演じる。カンヌ国際映画祭アウト・オブ・コンペティション部門で上映された際はあまりの過激さに賛否両論を巻き起こし、アメリカでは修正版のみ正式上映が許可されるなど物議を醸した。日本では無修正完全ノーカット版をR18+指定で上映。
2018年製作/152分/R18+/デンマーク・フランス・ドイツ・スウェーデン合作
原題:The House That Jack Built
配給:クロックワークス
オフィシャルサイト スタッフ・キャスト
全てのスタッフ・キャストを見る
2019年6月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
ネタバレ! クリックして本文を読む
なかなかヘヴィーな劇薬だ。シリアルキラーが主人公なだけあり、目を背けたくなる残虐シーンも多いことはR18+というレイティングから容易に推測できるだろう。
これがホラー映画ならその過激さもどんどん右肩上がりを続けるもの。だがラース・フォン・トリアーはそういったジャンル映画とは一線を画し、殺しの不条理さ、時折挟み込まれるコミカルかつシュールな描写を織り交ぜながら、観客をまだ体験したことのない未曾有の境地へと誘い出していく。
鑑賞中、「やばい、このまま観続けたら頭がおかしくなる」と何度危機感を抱いたことか。それでも結局、最後まで目が離せなかった。特に、ダンテの「神曲」をモチーフとした最終章は、怖さ、残虐さから遠く離れ、むしろ深遠な気持ちが湧き出してくるほど。一概に傑作とか良作とか言えないが、こういった実に不可思議な着地点に到達できるのも、トリアー作品を見続ける大きな醍醐味と言えるのだろう。
2019年6月19日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
そんな印象を受けたのが今回の怪作。変態、露悪、実験、エログロ、バイオレンスなどなど、およそ良識とは対極にある要素に満ちた映画を撮り続けてきた鬼才が、やはり今回もシリアルキラーを題材に思うがまま自身の嗜好を追求しているかと思いきや、自身の過去作を引っ張り出してきてメタな視点を提示したり、グールドの演奏フッテージを繰り返し挿入したりと、音楽でいうサンプリングやリミックスの手法を応用した野心作だった。
マット・ディロンも俳優としてあらかた“消費”されてしまった気がしていたが、本作でまだまだ新境地を拓けるという感慨を抱いた。
まあ、好き嫌いが分かれるのは仕方ない。おぞましすぎて爆笑した場面もあり、妙な爽快感を覚えたことを白状しよう。
欝々とした気分になりたくて、鬱々と言えばダンサー・イン・ザ・ダークかな。ということでラース・フォンン・トリアー監督の映画かな!狂気と笑いはやっぱり紙一重ですね。シリアル・ママを観た時に似ている、くすっと感。ちょいちょい流れるデビットボウイがお洒落感を演出。ジャックのハウスも予想できたし、ラストはまあ、そっちの世界かって感じだし少しモヤモヤは残りながらも、でもじわじわとジャックが愛おしくなってきたところではっと我に返るエンディング。やっぱ二度と戻ってくるなよ、ジャック、てか。というわけで、全然鬱々になりませんでした(笑)
2021年12月22日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
簡単に言うと、殺人鬼の生活って感じですが、章ごとに展開されているので淡々と見れます。
ジャックの段取りの悪さや出演者にいらいらしてきたら、ラース・フォン・トリアー監督の勝ち。そういう風に作られたそうです。私もいらいらしましたし、早くやれ…!!って最後はなってました(笑)
殺人鬼の頭の中を理解するなんてできない。
=監督の頭の中を理解するなんてできない。
といったことが言いたかったんでしょうか。
ビジュアルは美しくて好きでした。赤が映えて綺麗。
暗くてぬるま湯にいるような殺人映画で、監督らしいなって思いました。
すべての映画レビューを見る(全139件)