余命10年のレビュー・感想・評価
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余命10年は長過ぎないか
もはや半世紀も前の名作『ある愛の詩 (Love Story)』を、ある意味で彷彿させます。
本作は、38歳で早逝した小坂流伽氏のベストセラーとなった自伝実話小説の映画化であり、封切り後2か月経ってもヒットしている作品です。
主人公の女性が不治の難病に罹患し、その最期までの日々を綴ったストーリーは、過去にもよく見られた一類型ですが、本作はその期間が10年間という非常に長いことがユニークといえるでしょう。
ただ期間が長いことは小説では話に膨らみと奥行きを加えられ読み応えあるボリューム感を導けますが、映画では如何にも冗長で、尺に間延び感がしてしまいます。主人公が派手で活動的ではないため、スジに抑揚があまりなく、特段のヤマ場がなく、見せ場も少ないままに、ラストがあまりにも予定調和の定型的エピローグで収束します。
ただ『ある愛の詩』も、50年前でも既に定型パターンの恋愛悲劇にも関わらず大ヒットしたように、たとえ結末が分かっていても泣かせてくれるドラマ、当事者たちが如何とも出来ない運命的別離に、観客は強烈に惹かれてしまいます。
そのために本作には随所に工夫が施されています。
BGMはピアノのソロのみで哀調を醸し出す一方、人間ドラマゆえに多くある会話シーンにはBGMを全く挿入せず、一言一言に重みを持たせ画面に緊迫感を与えます。
寄せカット、顔の大写しカットが、特に後半、悲愴感を盛り上げていく中で多く使われ、而も長回しが多いので、勢い観客を抒情的な気分にさせます。主人公と恋人二人のロッジ園庭シーンでの長回しはその典型で、非常に情感に満ちた名シーンでした。総じて、回想場面での短いカットをつないだシーンは、非常に美しく撮られていました。
『新聞記者』『宇宙でいちばんあかるい屋根』『ヤクザと家族 The Family』・・・、幅広く多様な引き出しを持つ藤井道人監督の、また新たなメニューを見せてもらいました。
運命という道を歩む
前向きに進もうとする人生
前向きに進もうとする10年。
過ぎ去る時間の大切さ。哀感や好奇な目では見られたくない彼女の強さと前向きに進もうとする人生に拍手を送りたい。
病人として扱われることのマイナスではなく普通に扱って欲しい望みと、その現状にあがらう生活。
淡々と彼女の日々を描き、その時々の喜びと不安がとても身近に感じられた。
そして誰しも考えさせられる想いを伝えることの大切さ。
近くて遠い2人の関係性が先の見通せない未来を暗示してるかの様でなんとも儚く虚しい。
その積み重ねにより、後半ビデオカメラに残る情景と共にその時の彼女自身の感情が溢れ出し、病室で映像を削除する姿が自身の存在を消すことに繋がる行いであることに感情を揺さぶられ涙が溢れ出す。
観終わったとき彼女の人生に共感を憶えると共に見守る家族、友人との繋がりの大切さを感じさせられた。
情景描写が素晴らしい
いい意味で裏切られた。
愛すること、生きることの意味に真摯に迫る
定番の難病恋愛映画だと思っていたが、従来の恋愛映画の枠を越えて、愛すること、生きることの意味に真摯に迫っている。心に深く染み渡り、深い余韻に浸ることができる感動作品である。
本作の主人公は、高林茉莉(小松菜奈)。彼女は、余命10年の難病に侵されても懸命に生きていたが、恋愛はしないと心に決めていた。しかし、故郷の同窓会で真部和人(坂口健太郎)に出会い徐々に惹かれ合っていく。そして、二人の運命は大きく変わっていく・・・。
今までのイメージをかなぐり捨てて本作に挑んだ小松菜奈と坂口健太郎の迫真の演技には息を飲む。懸命に生きようとするが、余命10年との葛藤で苦悩する茉莉を小松菜奈が物静かで達観した演技で巧演している。坂口健太郎は、生きることに絶望した和人を生気のない佇まいと虚ろな目の表情で表現している。本作は、二人の演者としての飛躍の起点になるだろう。
脇を固める演技派俳優陣も手堅い演技で二人を支えている。特に、リリーフランキーが人生を知り尽くした枯れた佇まいで放つ台詞は人生訓のようであり、作品に深みを与えている。
生きる姿勢が全く異なる二人の愛は、生きることの喜びになっていくが、茉莉は生きたいという生への執着が高まり厳しい現実との狭間で苦悩する。和人は、生きる喜びを知り生まれ変わっていく。本作は、苦悩を深める茉莉と再生していく和人を描くことで、人間の運命の非情さと不条理に迫っている。恋愛映画を越えた領域に達している。
本作は、日本の四季の美しさ、変化を背景に描かれる。四季の美しさは刹那的だからこそその美しさが際立つ。四季の変化は時間の経過であり、着実に時間が過ぎ去っていることを告げている。そう考えると、四季の描写は、限られた時間のなかで懸命に愛を育んで生きた二人と重なり切ないが美しい。
ラストはリアルで切ないが清々しい。誰の人生にも限りがあるからこそ、懸命に生きることが大切だと本作は教えているからである。
期待しすぎたかな
人生で一番泣いた映画
親父という存在の希薄さよ
藤井道人監督でなければ絶対に観ることが無かったタイトルであるし彼が撮っていなければこの名作(恥ずかしいが他に相応しい言葉が無い)は生まれなかったであろうしそもそもがあまりにもベタで恥ずかしい(原作者の小坂流加さんには申し訳ないが)物語であるしそれに加えて野田洋次郎(RADWIMPS)が音楽で感動を上塗りするわけでどこから見ても「お涙頂戴」であることは間違いなく「ヤクザと家族」という傑作のあとによくもまあこの作品を手掛けたなぁという興味一点で鑑賞したがあまりにも真摯で純粋で嘘が無く良く出来ていたし相変わらず自然な会話のやりとりを大事にしていて今回も125分と長尺になる所以。職人映画監督として俺はやるんだという宣言を聞いた気がして「新聞記者」の監督という色から全力で逃れようとしているのかとも思ったり。彼がオファーを受けた際に出した条件は一年を通して撮影することだったそうだが主人公が回すハンディカムの四季点描を通して残された年月がぐるぐる駆け足で2周する描写は圧巻で恐れ入ったがどうしても職業柄「この1年目の桜並木と2年目3年目の桜並木を同じ日に撮影したんだろうなあ」と思って撮る側から観てしまう自分が情けない。撮影の今村圭佑がやはり素晴らしい。
泣きました…!
もし自分が茉莉の立場なら...
もし自分が余命10年と言われたら「10年しかないなら死んでもいいかも」と思い、死を選んでしまうかもしれない。仮にそれを周りに引き止められても絶対に笑って過ごせないだろうし、他人と話す際に無理に明るく振る舞うのもしんどいだろうし、そういった辛いことがたくさん待っていると考えるだけで見てて本当に辛かった。
茉莉の「一体どっちが可哀想なんだろうね」という言葉には考えさせられた。難病を患う茉莉本人ももちろん可哀想だが、その話を聞かされた相手や身内も可哀想。茉莉自身もそんな姿を見たくないから難病のことを誰にも話すことができないというスパイラルに陥るため、すごく精神的にも苦しい状況だと感じた。
後、かずやの「2度目があるとは限らない」という言葉には共感した。人生は1度きりだと言うし、悔いのないように生きることが今の自分に必要なことだと感じたので若い間にいろんなところに出かけたり、遊んだり、恋人を作ったり、後悔のないようにたくさん楽しいことをしたいと思う。
心のひだをみせてくれる丁寧な作品
撮り溜めた映像をひとつずつみては消す場面。
命の限界を感じた彼女がその間際にただひとつ消せなかったのは、それが愛するかずくんへの永遠のメッセージだったからでしょう。
命は長さではなく、どこでどう生きたか。
何を感じてその時を過ごしたか。
満開の桜が散りゆくときの美しい切なさがまつりの恋とはかない命にシンクロした。
ラストシーンのかずくんに舞った桜吹雪はいたずらっぽく笑うまつりちゃんでしょうね。
小松さんも坂口さんも役そのものの純度で、演じながらきっと辛かったのではないかと思うほど。。。
脇を固めるベテランのみなさんも然り。
音楽もイメージにぴったり忘れられない作品になりそうです。
言葉で説明したら良さが減りそう
エンドロール後も家に帰る途中も帰宅後もずっと思い出しては考えるくらいすごく良い映画でした
登場人物全員に感情移入してしまって、過呼吸になりかけて終わった後鼻声になる程号泣しました
RADWIMPSのうるうびとの歌詞と2人が重なってエンドロール中もずっと涙が止まりませんでした
悲しいけど前向いて頑張ろうって凄く励まされました
見るか迷ってる方いたら私としては全力でオススメしたい映画です。
このように作品として形に残して下さった小坂先生、それを映画として創り上げて私達に届けて下さった方々に感謝の気持ちを伝えたいです。
今日この映画を見る事が出来て良かったです
気軽にみていい
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