余命10年

劇場公開日:

余命10年

解説

SNSを中心に反響を呼んだ小坂流加の同名恋愛小説を、小松菜奈と坂口健太郎の主演、「新聞記者」の藤井道人監督がメガホンで映画化。数万人に1人という不治の病に冒され余命10年を宣告された20歳の茉莉は、生きることに執着しないよう、恋だけはしないことを心に決めていた。ところがある日、地元の同窓会で和人と出会い恋に落ちたことで、彼女の最後の10年は大きく変わっていく。脚本は「8年越しの花嫁 奇跡の実話」の岡田惠和と「凛 りん」の渡邉真子。「君の名は。」「天気の子」など新海誠監督のアニメーション映画で音楽を手がけてきた人気ロックバンドの「RADWIMPS」が、実写映画で初めて劇伴音楽を担当。

2022年製作/125分/G/日本
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:2022年3月4日

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

インタビュー

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3
  • 画像4
  • 画像5
  • 画像6
  • 画像7
  • 画像8
  • 画像9
  • 画像10
  • 画像11
  • 画像12
  • 画像13
  • 画像14
  • 画像15
  • 画像16
  • 画像17
  • 画像18
  • 画像19
  • 画像20
  • 画像21
  • 画像22
  • 画像23

(C)2022映画「余命10年」製作委員会

映画レビュー

4.0洗練された脚本、俳優らの自然体を引き出す演出により、難病恋愛ドラマの水準を引き上げた

2022年12月30日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

幸せ

とりわけ日本で大人気のサブジャンルである難病恋愛物のありきたりな企画と思いきや、原作者の小坂流加は大学卒業後に難病を患いながら執筆活動を行い、2007年に同名小説で作家デビューしたのち、2017年に病状が悪化し死去したという。

共同脚本に岡田惠和、監督に藤井道人、主演は茉莉役の小松菜奈と和人役の坂口健太郎、さらには友人役で山田裕貴と奈緒、茉莉の家族役に黒木華、原日出子、松重豊など、スタッフ・キャストともに強力な布陣。本作の差別化ポイントは、効果的な治療法がなく患者のほとんどが10年も生き延びられない病ではあるが、主人公が20代の約10年間で死を意識しながらもほぼ日常生活を送れているという点だろう。「限られた人生の時間を生きること」というテーマが、洗練された脚本で積み上げられ、役を生きる俳優たちの自然な演技と、それを引き出す巧みな演出により、安易なお涙頂戴に寄らず丁寧に情感を伝える好作に仕上がった。

原作小説の版元である文芸社のオフィスが、劇中に登場する。余談ながら、文芸社が新宿に移転する前の飯田橋のオフィスには仕事で何度か訪ねたことがあり、打ち合わせの場面では当時の編集者たちを懐かしく思い出した。

コメントする (0件)
共感した! 9件)
高森 郁哉

4.0小松菜奈の凄味を味わう作品

2022年3月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今をときめく藤井道人監督の最新作が「余命10年」。
タイトルから浮上してくる「きっとこんな作品なんだろうな」という思いを、良い意味で打ち砕いてくれる良作。とにもかくにも、小松菜奈と坂口健太郎が良い。なかでも、小松からは凄味すら感じられ、役者としての充実期がこれから長く続きそうな予感すら抱かせるものだ。

コメントする (0件)
共感した! 29件)
大塚史貴

5.0これまでの似たような作品とは一線を画す、実話をベースに「邦画の一つの到達点」と言える作品。

2022年3月4日
PCから投稿

まず「余命10年」というタイトルで「以前に流行ったような映画?」と条件反射的に思ってしまいがちですが、この作品は過去のどの作品とも違っていました。
数万人に1人という確率の不治の病に罹ってしまい、10年も生きられない状況に主人公(小松菜奈)が立たされます。
ただ、主人公は、決して悲観的になり過ぎずに現実を生きようとします。家族以外の周囲には自分の境遇を知らせずに……。
この映画は「ベースとなる実話」が存在していて、それを参考にしながら作り上げている面があるので、何と言っても「物語の強さ」があります。
また本作では、時には「言葉」よりも雄弁に「劇伴」と「映像」が語ったりもしています。
心理描写を豊かにするため四季の風景を実際に映し出そうと邦画実写では異例な撮影に1年かける等かなり映像は見事なシーンが多くなっています。
例えばアニメーション映画でよく使われる「桜の花びらが風に舞う印象的なシーン」がありますが、それを見事に実写化もできていて、物凄く感慨深い良いシーンになっています。
そして、その映像を劇伴が優しく包み込んでいます。
「10年間」という月日を125分で体感できるのは、やはり冒頭から登場する“ビデオカメラ”という小道具も効いていました。
さらに「10年間」という時の流れを感じさせながら同一人物で演じ切るのは難しい面もありますが、メインの小松菜奈と坂口健太郎、山田裕貴、奈緒らは見事に演じ切っていました。
本作を見て改めて実感したのは、リアリティーの重要さです。
「奇跡」ばかりが映画ではなく、「奇跡が起こらない現実」にこそリアリティーが溢れていて、等身大の主人公らに素直に寄り添える面もあると思います。
「演技×物語×演出」のどれもが見事にハマった「名作」の誕生だと言えます。

コメントする (0件)
共感した! 83件)
細野真宏

4.010年の月日を2時間で纏めると偶然の要素が出てくる。これをどこまで受け容れられるかで評価が分かれそうな美しい作品

2022年3月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:試写会

「余命」と聞くと、大きな絶望と微かな希望が繰り返し起こる時間を想像する。ただ想像しようと努力しても、現状の私はそのような立場になったことはない。不治の病となると、その病について自分でどんなに勉強したとしても不安を消し去ることはできないだろう。
SNSを中心に反響を呼んだ小坂流加の同名恋愛小説が映画化された。数万人に1人という不治の病で「余命10年」と告知された20歳の茉莉(まつり)は、複雑な気持ちを様々な表情と言動で見せている。その茉莉を演じたのは小松菜奈。積み重ねてきている女優力がグングンと上がっているのを実感でき、特に、見え隠れする不満顔と笑顔が印象的だ。
茉莉の心を表しているような美しい背景が自然に馴染んで嬉しくなる一方、色彩豊かで可愛らしい勉強机で茉莉が多種類の薬を薬ケースに一つ一つ仕分けているシーンでは、恋物語以上の強さを感じた。

見終わった後は、茉莉の家族、友人、そして和人[かずと](坂口健太郎)の存在がいつまでも頭の中に残る。
キーパーソンでありながら脇役枠のリリーフランキーは、美味しく煮込んだおでんの具のようにどんな役でも違和感なく役柄の個性を存分に滲み出すので、今回もまた彼の演技に驚いた。
私は涙が止まらないくらい感情的に見ていたので、この映画に関しては、視覚面でも極力ネタバレにつながる可能性があることには言及すべきではない、と思っていて、全ての「起こること」や「言動」を自身で感じてほしいという立場だ。
「恋はしない」と決めて苦しみながらも充実した約10年が、2時間ほどに凝縮されて、隙間なく素敵に箱詰めされている。大画面を含め、買って持ち歩ける物ではないので、是非とも集中できる映画館で、この箱を開けてみてほしい。

コメントする (0件)
共感した! 53件)
山田晶子