日本独立
劇場公開日:2020年12月18日
解説
第2次世界大戦直後のGHQ占領下の日本を舞台に、一刻も早い日本の独立を求めて尽力した吉田茂と白洲次郎を描いた人間ドラマ。親子ほども年の離れた2人の絆を軸に、終戦から憲法制定、独立までの歴史の舞台裏を、日米両国の視点からスリリングに描く。終戦直後に外務大臣に就任した吉田茂は、日本の再出発のため、旧知の仲である白洲次郎を呼び寄せる。抜群の英語力を備える白洲は、開戦前から既に日本の敗戦を予測し、実業の第一線を退いて郊外で農業に専念していた。吉田はそんな白洲に、GHQとの交渉役となる終戦連絡事務局の仕事を託す。こうして白洲は交渉の最前線に身を置くが、GHQは米国主導の憲法改正を強引に推し進めようとする。白洲次郎を浅野忠信、妻・正子を宮沢りえ、吉田茂を小林薫が演じる。監督は「プライド 運命の瞬間」「ロストクライム 閃光」の伊藤俊也。
2020年製作/127分/G/日本
配給:シネメディア
スタッフ・キャスト
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2020年12月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
第9条で戦争の放棄を宣言し、世界でも類のない平和憲法と評される日本国憲法が、第二次世界大戦敗戦後の連合軍占領下にあったこの国でどのように作られ、制定に至ったのかを描く。戦後内閣の外務大臣・吉田茂と、彼からGHQとの交渉役に起用された白洲次郎、それぞれの名前に聞き覚えはあっても、2人が新憲法制定にかくも深く関わっていたことを本作で初めて知り、彼らがもしこの難しい交渉に失敗していたら今の憲法は違った内容になっていた可能性もあったのだと思い知らされた。
面長の小林薫は、「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」でゲイリー・オールドマンに辻一弘が施しアカデミー賞のメイクアップ賞を受賞した特殊メイクと同様に、頬の肉を足して丸顔に寄せ、吉田茂そっくりの容貌になった。浅野忠信が演じた白洲は、日本の敗戦を予測し郊外で農業をしていたなど身の振り方が独特で、彼の生き様や価値観をもっと掘り下げてほしい気もした。
本筋とは直接関係のない、戦争体験記「戦艦大和ノ最期」に対するGHQの検閲と出版差し止めの話を敢えて組み込んだのは、占領下にあり独立していない国の状態がどういうものかを、別の側面から伝えるためだろう。9条をめぐる護憲・改憲の論争や、言論・表現の自由など、今の日本と真の独立について改めて考えるよう諭された気がした。
2022年12月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
浅野忠信扮する白洲次郎なる名は知ってはいたが、詳しくは分からなかったもののこの映画で吉田茂の甥でありオックスフォード出身であった事からGHQと日本政府の間の通訳として奔走していた事が分かった。
本編は、終戦後如何に日本国憲法が制定されたかを語るものであり、どこまで史実に基づくものか分からないものの3月7日にソ連が入る極東委員会が行われる前までにGHQとして決めた方針をいかにも日本人として制定したものとして扱いたい思惑により急いで憲法方針を作ったとされていた。
それにしても占領下とはいえ米国委員会のメンバーには一人も憲法学者が入っていなかった様で、それでも未だ改正もせず日本国憲法として擁護されている事実がある。
小林薫扮する吉田茂は、早く決めてGHQを早く去らせたいとしていた。白洲次郎も奔走していたとはいえ、単に通訳として役割を担っていたとしか写らなかった。宮沢りえ扮する妻の正子と語らう場面ばかりで、その役割の重要性がいまいち伝わってない気がする。
柄本明扮する松本国務大臣が、何としても日本国の主張を粘り強く頑張っていたと言う印象が強かった。しかし懐柔されざるを得ない無念さも出ていた。
どこまで本当か分からないが、戦後77年経って天皇の象徴と戦争放棄をうたった精神が語られるのはいいことだろうね。
2022年4月4日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
ウクライナの戦争は勃発して既に1ヵ月半を越えています
大国ロシアにあっという間に侵略されて国を失うだろうと思われていましたが、2022年4月中旬の今も独立を保っています
日本独立?
それはいつの事でしょう?
2月11日?それは建国記念日
神話で2600年前に神武天皇が即位されたとされる日の事です
それ以来日本は、少なくとも千数百年も他国に占領されて主権を失う事はありませんでした
世界史を見渡しても類を見ないことです
普通はウクライナのように他国に攻められしまい、王朝は断絶して、下手をするとそこに元から住んでいた民族が追い出されて、違う民族と入れ替わってしまっている国は沢山あります
それも何度も繰り返している国さえあります
日本はユーラシア大陸の外れの大海のなかの島国だったからでしょう
地理的に大変に幸運であったのです
決して戦前のように神国日本だからなんてことはありません
それでも長い歴史の中で何度か侵略を受けています
二度の元寇は日本の歴史の中でも国家と国民が丸ごと支配されてしまう可能性があった危機でした
鎌倉武士達は今のウクライナ軍のように良く戦いモンゴルの大侵攻軍を撃退しました
調べてみると神風なんてのは後付けの理由のようで、純粋に軍事的に撃退したようです
その260年程前の平安時代にも、満州の女真族が壱岐や対馬、筑前国に侵攻してきた刀伊の入寇という事態が発生し、当時の平安朝が意外にも、大宰府を中心した九州武士団の活躍など的確な防衛行動を行い撃退しているようです
そして16世紀のイエズス会とイスパニアの動きは日本の植民地化の意図があったようですが、当時の日本は戦国時代で世界一の鉄砲保有国であり、動員できる軍隊の規模もヨーロッパの列強をもしのぐほどのものであったため、その軍事力故に断念したようです
次は19世紀に入ると、英米露仏が東アジア植民地化の一環として関心を示し始めます
中国の清国の阿片戦争敗北の情報ももたらされ、それが日本人の危機感を燃え上がらせて明治維新につながっていくのはご承知のとおり
19世紀末になるとロシアの南下は朝鮮半島を伺う情勢となり、次は日本侵攻かと怯えた事が日露戦争になります
もし負けていればウクライナのようなことが日本本土で起きていたでしょう
日露戦争に勝利して以後は調子に乗りすぎ、結局、世界を敵に回して戦争を起こしてしまい日本は歴史上初めて、他国の他民族の占領を受けていまう結果となりました
間接統治という方式で、日本国政府を残したまま、占領軍の指示命令を受ける存在となった訳です
つまり日本は独立を失ったわけです
ポツダム宣言を受託した1945年8月15日、もしくは降伏文書に調印した同年9月2日が、日本が独立を失った日です
では、いつ独立を回復したのでしょうか?
それは1952年4月28日です
サンフランシスコ平和条約調印は1951年9月8日のこと
そして、その平和条約が発効したのは翌1952年4月28日だからです
その日を持って約7年間におよんだ占領が終結し、日本は主権国家として独立を回復したのです
いわば4月28日が日本の独立記念日なのです
今年は2022年です
つまり日本独立から70周年の節目の年なのです
4月28日はもう直ぐ半月後のことです
このような大事な節目の日が訪れようとしているのに、どうもなんの式典も予定されていないようです
情けないことだと思います
2013年には主権回復の日記念式典を開催した記録があります
61年目の事で節目でもなんでもないのに思い出したよつに開催されたようです
それでもやらない遥かによりましです
主権を失い独立国家でなくなってしまう
そんな惨めなことが何故おこったのか
どうしたらもう二度とこのような事態を防げるのか
それを考える映画だと思います
冒頭、日本占領軍の最高司令官マッカーサー元帥が日本人からの手紙を読んで笑い転げているシーンがあります
彼のところにはスターへのファンレターのように大量の日本人からの手紙が届いており、秘書官の英訳がつけられています
手紙の内容は実際にあった有名なものです
日本を軍事的に完全に打ち負かした征服者の王へのへりくだった手紙です
自ら日本を米国の庇護下に永遠において愚かな日本人を導いて下さい
願わくば米国と併合して下さいという内容です
してやったりという笑いであったのでしょうか?
戦争で勝ったり負けたりすることは世の常
ヨーロッパの国の敗戦国民がこんな手紙を書くでしょうか?
それが終盤での米国議会でのマッカーサーの発言につながっていると思います
欧米人が45歳の壮年であれば、日本人は12歳の子供にすぎないという侮蔑です
呆れ返った笑い声であったのです
国が敗北しても、日本人の心までが勝手に敗北しているのです
独立を回復する気概もないのだ
自ら永遠に下僕になりたいと講う卑屈さ
それに呆れ返って笑い転げて、12歳の子供に過ぎないと発言させたのです
この精神は日本国憲法に反映されています
軍備を放棄して、他国の庇護下で永遠にいるということです
日本国憲法の制定の経緯が本作の大部分を構成しています
日本側の人々は政府の人間、野党側の革新陣営の人間でさえ軍備を持たずして独立国家といえるのか!と怒気をもって、こんな憲法で独立を維持できるのかとみな反対をしています
せめて自衛的戦力の保持は記載出来ないのかとのやり取りまであります
ある程度の誇張や映画的な演出もありますので、史実そのものではありません
しかし概ねこのとおりです
日本国憲法は、当面米国に庇護下に置くものとして作られ、日本が独立を回復すれば日本人が自ら改正して自分達の憲法を作り直すものだということで、占領軍も、日本政府も、野党側もみなその認識で大急ぎで作られたものに過ぎないのです
日本の再独立後に憲法改正ありきの憲法だったはずなのです
しかし、日本は独立を回復して70周年になろうとしているのに、精神は未だに占領下にあるようです
ウクライナの戦争はそのごまかしを白日の下にさらしていると言えます
ウクライナのような事にならないように、どうするのか
今までのようにごまかしていては、またマッカーサー元帥に笑われて成長してないと侮蔑されるでしょう
白州次郎と、その妻正子が、本作の主人公です
この二人の事や、終戦後の占領期のことについて、ある程度の予備知識がないと理解が追い付かないかも知れません
この白州次郎は英国ケンブリッジ大学に留学して、英国貴族とも親交があり、キングズイングリッシュを流暢に話しました
正子もアメリカの女子大学に留学しています
なので二人とも、現代人のような欧米人的な思考をしています
独立した精神を持っているのです
劇中に何度も登場する田舎の農家は町田市にあった白州夫妻の疎開先です
小田急線鶴川駅から徒歩20分弱のところ
当時は一面の田畑だったのでしよう
いまはびっしり家が立て込んでいます
それでもこの農家は今も残っていて、その辺りだけ森に囲まれています
一般公開もされています
武相荘(ぶあいそう)と呼ぶそうです
武蔵と相模の国の間の家くらいの意味でしょうが、ユーモアが感じられて人柄が伝わってきます
劇中になんども登場する黒塗りの大型のスポーツカーは実際にあのような車に乗っておられたそうです
武相荘の車庫には本作で登場する車とは異なるのですが、良く似た黒塗りのスポーツカーがあります
1916年型 ペイジ Six-38 フリートウッド製5座席ツーリングカー
水冷直結6気筒の3.7リッターエンジン搭載
5座席ながらもスポーティな車です
英国ケンブリッジ大学留学の前、神戸一中に在学当時 17歳の次郎が、父白洲文平から初めて買い与えられたアメリカ車と同型のものだそうです
白州次郎の師匠的存在の吉田茂ももう一人の主人公と言えます
吉田茂はこのサンフランシスコ平和条約を調印した日本の首相です
敗戦して占領されてから、ここに至るまでの物語が本作です
ラストシーンは、神奈川県大磯の海岸です
彼の屋敷も、近年火災で全焼したものの再建され、旧吉田茂邸として一般公開されています
吉田茂のことについては、1983年の森谷司郎監督の映画「小説吉田茂」をご覧になって下さい
同作での吉田茂は森繁久彌が演じましたが、本作の小林薫も写真に生き写しなほどで感嘆しました
白州次郎は、サンフランシスコ平和条約の時、49歳でした
40代でこれほどの仕事を成し遂げたのです
浅野忠信の白州次郎は、自分のイメージとは異なっていましたが納得のいく造形でした
これくらい鼻柱が強くないとこんな仕事は成し遂げられません
もう一人、戦争小説の名作「戦艦大和ノ最期」を書いた吉田満の物語
敗戦以前の人々との精神的な繋がりを絶つために、GHQ は彼の小説を発禁処分にしたのだという台詞にはハッとさせられました
戦前と戦後で日本人をまったく違う存在にする意図があるという指摘には目から鱗が落ちました
日本人が日本人で無くなる
それが日本独立といえるのでしょうか?
靖国神社のことは、いろいろな意見があるのは承知しています
しかし、自国の人々の慰霊のことについて、他国から指図させられたり、忖度しなくてはならない現状は、それで独立国とは言えるのでしょうか?
ぜひ一度ご自分の目で、現地現物現場に触れて自分の頭で考えてみるべきことと思います
靖国神社の境内に遊就館という博物館があります
戦争を賛美していると批判する人もいるそうです
でもご自分の目で実際にお確かめ下さい
強い反戦メッセージを発している博物館だと理解できるはずです
半日かけて見て回ってでて来たときには号泣していると思います
戦争をしてはいけないと思いを強くするはずです
それがまず、ご自分自身の心を占領から独立させる第一歩だと思います
伊藤俊也監督は、さすが名監督です
手際良く整理されて映画的な起伏も作りつつこの映画を完成させています
恐らく左右両方から攻撃されるでしょう
ことに左翼陣営の多い映画界にあっては、昔なら製作することすらできなかったでしょう
現場の組合から仕事を拒否されたかも知れません
監督が吊し上げされたかも知れないぐらいです
勇気ある製作だと思います
頭がさがります
サントリーのシングルモルトウイスキー白州は
はくしゅうと読みます
なので白州次郎とは関係ないようです
でも自分には何故か白州次郎をオマージュしていると勝手に思えてくるのです
4月28日
主権回復の日
今年は70周年です
ウクライナの戦争と日本独立に思いをはせて、白州を水割りで飲みたいと思います
真の日本独立はいつくるのでしょうか?
それは他力本願ではなく
わたし達日本国民の意志だけにかかっているのです
白洲次郎をメインとした映画は初めて観た
今こそ全国民に観て欲しい映画ですね
GHQの事は少ししか描けてないけど(個人の感想)それでもこの憲法が日本人ではなくGHQが作ったと知らない人に知ってもらえる内容
何も知らない人が入門?的に観るには最適だと思いました
早く憲法改正するべきです