護られなかった者たちへのレビュー・感想・評価
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何度もタイトルにしてますが、考えさせられました。
いやあ実に深い!そして重い!現代日本の問題点をえぐるような題材。
やはり『友罪』の瀬々監督らしい社会問題に食い込む切り口。
また『糸』で感じたやるせなさ、切なさをひしひしと感じる展開でした。
それにしてもいい役者さん揃いでしたね。
鬼気迫る佐藤健さんの見事な演技。ほとんど笑わない利根(佐藤健さん)に「笑いなさい」っていうケイ(倍賞美津子さん)のシーンは、『あん』で「美味しいときは笑うんですよ!」って永瀬正敏さんをたしなめる樹木希林さんを彷彿とさせました。
また阿部寛さんの刑事役(笘篠誠一郎)とバディの林遣都さん(蓮田)は『新参者』の加賀恭一郎と松宮(溝端淳平さん)を思い出しましたが、加賀さんよりさらに癖が強い、でも真実を追いかける強い執念を感じました。阿部さん、佐藤さんとも目力では日本でも5本指に入りそうですね。
この二人の主役はもちろんのこと、女優陣、倍賞美津子さん、清原果耶さんは(新旧と言っては失礼ですが)日本の映画界に欠かせないベテランと新進女優の代表にすら感じます。あと大切な脇役としての瑛太さん、緒形直人さん、吉岡秀隆さん、出番は少ないですが安定の演技の渡辺真起子さん、宇野祥平さん、井之脇海さんも、あと最近出まくってる感のある岩松了さん、皆さんいい味出してました。それから忘れちゃいけない子供時代のカンちゃん(石井心咲さん)もいい表情、演技してましたね!今後が楽しみです。
数々の代表作を持つ佐藤健さん、阿部寛さんですがこの映画も社会派映画として後世に残る作品になるのではないでしょうか。色々考えさせられましたし泣けました!
この哀しみに
相応しい言葉が出てこないのでネタバレ注意でつらつらと書き留めておこうと思う。
切ない気分の中にドップリといる今も、この作品に出会えてとても良かったと想っています。登場人物たちは誰も悪くなく、だけどしてはいけない悪いことをしてしまう。震えが止められないような深い哀しみと抗えない怒りの発露の数々を目の当たりにして、やるせなく切なくなった。
ハッキリ言って強者、支配者の論理で構築し執行される日本の行政組織は常に何かしら問題を抱えている。僕らは勤勉に働き、様々な租税を素直に納付し、震災復興税も払っている。今回、焦点を当てた生活保護の問題点も中山七里さんの原作、そしてこの映画を観るまで自分には闇の中。心ある者が勇気を振り絞って作品を生み出し世に問うまで僕らは知る由もない。
今をときめく役者も顔を揃えたが、話が佳境に近づくにつれ全く気にならなくなり、迫真の演技にスクリーンの向こう側に引きずり込まれてしまった。脇を固める倍賞美津子さん、吉岡秀隆さん達も言葉に出来ない素晴らしい演技で、これだけの個性豊かな一流の役者を揃えながら、抑揚がありながら、悪目立ちなど破綻のない瀬々監督の演出の手腕に改めて敬服いたしました。
震災発生3ヶ月後から4年間かけ、被災した沿岸線の道を青森から茨城まで自転車で走破した日々に見聞きしたことが自分の中で木霊している。一生忘れることが出来ない、忘れてはならない光景と言葉が甦っては消えてゆく。
今夜は久しぶりに一献だな
(-_-)
この映画を観るということ
東日本大震災、その絶望下での生活保護の話、申し込む方も受理する方も、ある意味平等に、近い人を失ってたりあるいは失ってるかどうかもわかってなかったり
そんな極限状態の中で、良かれと作られた制度に埋もれて煽りを食う人もやっぱりいて、いかんともなく極端に無力に手詰まる、そしてその人たちにとってそれが一度限りの人生
本当に申し訳ない位に見えてない、餓死なんか無くなっちゃいないし、今後どっちかといえば、増えると考えるのが普通
イノベーションも再配分も、きっとどっちも要る、ウダウダいってる間に困窮極まる人もいる
呑気に映画観てこんな感想垂れてるのもどうかではある、気付きの多い作品、経済は回んなきゃいけないし、回り切らなきゃいけない
生活保護の実態
震災で大切な人を失ったり、生きているのが自分でいいかと感じたり、様々な痛みを抱えた
人々。おおきな災害のあとの復興は、生きるための支えが必要な弱者が取り残される。そしてそれだけでない生活保護の実態。日常の生活保護の実態に、とても近いとおもった。他国は現金給付が多いが、日本はケースワーカーとともに自立支援がセットの本来は誇るべき制度。なのに。あまりに人員が足らない。ケースワーカー1人辺り100にん以上の担当の自治体は、ざらにあり、丁寧に関わる余裕すらない。ノルマのように給付制限を、求められ、また威圧的な対象者でも、人員や組織の仕組みのために、一人で対処する危険な状況ににおかれる。結局それらは、当事者に皺寄せがいく。やれなかったらどうなるか、あんたたち分かってただろう!。当事者たちが声を挙げないと拾えない、専門職がリスクを予見しても、動けない環境におかれているのが生活保護の実態だ。
苦悩
1%の不埒者が何を指すのかはわからない。
不正受給をする者なのか、受給を阻む者なのか、それとも全く別の物なのか。
生活保護にまつわる話だった。
震災も絡めてあって、特殊と言えば特殊な状況ではあるけれど、語られるメッセージは、その状況には左右されないもので…非常に重く、先入観や固定観念に縛られてしまう対象者の多様な境遇に、対応の難しさを想像してしまう。
「セーフティネット」そのシステムがあるのは分かる。ただ、そのシステムの財源は湯水の如くは溢れてこない。だからこそ、厳格な取り決めがあるのだろうとは思うが、その厳格さ故に弾かれてしまう人もいる。
もしくは、行政に割振りがあって、これ以上は支給できないって事もあるのではと勘繰る。
善意だけで社会は成り立ちはしない。
いや、だとしても想像で断言するのは無礼極まりない事だ。困窮者に必死になって手を広げている人達をも殺してしまう事になりかねない。
作品は、そういう繊細なバランス感覚を必死に保ち続けてたような気がする。
たぶん間違いじゃない。
監督の絶叫なのか懇願なのか訴えなのかは分からんが、その意図に俳優陣はシンクロし心血を注いだかのような…台本を読むだけでは出てこない心情を垣間見たような気がする。俳優陣は皆様、最高の仕事だった。
「ふざけるんじゃねえ!」
泥水に顔半分浸かりながら吠える。
とあるシュチュエーションに向けられた台詞ではあるが、今となっては作品を代表する一言の様にも思える。
ケイさんが亡くなり三雲に詰め寄る利根。
それに放たれる緒方氏の一言とか。
リアリズムを纏うために行った膨大な準備が作品の隅々を埋め尽くしているようだった。
「死んでいい人なんかいない」
腑に落ちた台詞だった。
とあるメンタリストは、あの発言をする前にこの作品に出会えていたら、その発言に至らなかったかもしれない。
作品の最後に「原理原則を飛び越えて声を上げてほしい」とのメッセージがあった。
ソレが現場の総意ならばこんなに頼もしい事はない。今の原理原則を飛び越える事で広がる、新たな原理原則が生まれるのかもしれない。
ただの体面だけでない事を願いたい。
ラストに息子の死に際の話が出てきて、蛇足にしか思えなかったのだけど…「死んだら終わりじゃない」ってメッセージの一環とも捉えられはする。
必要以上に拘束された物言わぬ死体も、現状を訴えるに足るギミックだった。
慣習や世間体ってのは、ああも雁字搦めにされる要素なのだろう。
そういえばノーベル賞をとった日本人が日本に住みたくない理由に「誰もが他人の視線を気にしてる。自分がしたい事ではなく、した時にどう思われるかが行動する原理になってて生き辛い」みたいな事言ってたな。
映画館を出て新宿の街並みを歩き駅に向かう。
緊急事態宣言が解かれた人混みの喧騒は雑音のように耳障りで空虚で…ネオンがヤケに眩しかった。
過剰な供給。
資本主義と多数決の呪いに埋め尽くされているような…そんな錯覚を覚える。
良いんだけれど。。。
生活保護の制度の仕組みや問題点について考えさせられるお話。
それは良いんだけれど、
主人公が震災にあって妻と子供を亡くし遺体安置所で言葉を交わした少女が9年後の事件に絡み、もう一人の犯人と思われていた青年もまた主人公の子供が震災時に津波に沈むのを目撃していた。
物語の伏線回収としてはドラマチックではあるのだが、あまりにも偶然が過ぎて、ちょっと白けた気持ちになってしまった。
20代の女性が40~50歳の成人男性を拉致し監禁して餓死させるとか現実的に相当難しいし、リアリティは乏しい。
映画のフィクションの物語だから、そんなこと言っても仕方ないのだけど。
演者さんは、皆さん上手で素晴らしかったです。
魂が泣いた
エンドロールは泣いたことを隠すためのものなのに、
サザンの曲が流れてまた涙が溢れた。
こういうの困るんだよね、明るくなった時。
散々驚愕のラストに涙すると聞かせられたので、
おそらく真犯人はあの人と想像していた。
そして、やっぱりの結果だったので、
ミステリーとしては3.5。
私としてはラストの佐藤と阿部のシーンが心に刺さった。
黄色いジャケットの意味が明らかになり、
阿部がお礼を言うシーンでは思わず嗚咽が漏れそうになった。
震災時福島にいた私としては、
常々放射能汚染に比して津波被害が軽く扱われている気がしてならなかった。
放射能汚染で直接的に亡くなった方はいないが、
津波では非常に多くの方々が命を失っている。
阿部のように今でも家族を失った傷が未だに癒えない方々や、
佐藤のように目の前の命を救えなかった自責の念に苦しむ方も多かろう。
改めて人々の思いが胸に迫った。
よって、ヒューマンドラマとしては4.5。
それにしても放射能被害者への手厚い補償に対して、
津波被害のそれの貧弱さはどうにかならないものだろうか。
佐藤、阿部両者の演技は見応え十分。
アカデミー賞の主演、助演はぜひこの2人にと思わせられた。
重い内容 自身の境遇への思い
生活保護を題材としたミステリー。
終始重い展開。しかも餓死の連続殺人とはなかなかない内容だよなぁ。
しかし犯人が ○○とはおもわなかったなあ。
それまでの行動 態度から全くわからんかった。その辺が2時間ドラマの中山忍あたりとの違いかなぁ(-_-#)
しかし生活保護とはあんな状況なんだなぁとしみじみ。
及び自身3年前癌で声失い障害者に
障害者年金やら障害者割引やら貰いながら身体は元気なので何か貰ったら悪いような気持ちは確かにあるんだよなぁf(^_^;
どんでん返し、大失敗。
佐藤健×阿部寛ということで期待して鑑賞。
大震災と生活保護という題材なので、観てて楽しい話ではありません。
原作は未読です。
鑑賞後の素直な感想ですが、この物語に「犯人は誰か?」みたいなプロットやどんでん返しを狙う仕掛けは要らなかったと思います。
しかも途中で何となくわかってしまい、大失敗です。
おかげで犯人の動機も手段もちぐはぐで意味不明になり、物語が破綻してしまいました。
冒頭から、主役たちがヘンに狭い空間で接触していたり、ラストの無理な符合も「そんなバカな」と言いたくなってしまいます。感動しかけて出かかった涙も止まってしまいます。
災後の混乱した中で、彼らが出会っていた演出はあり得ないし無用だと思います。
倍賞美津子さんの演技が素晴らしい分、もっと違う演出が出来たのではないか・・と悔やまれる残念な作品になってしまいました。
夢も希望も…
佐藤健主演で、阿部寛と清原果耶が脇を固め、倍賞美津子に吉岡秀隆に緒方直人に…
その他、有名どころがぞくぞくと登場してくる。これに主題歌が桑田佳祐…
もの凄いお金かかってるよね 苦笑
別に皮肉ろうとは思ってなくて、寧ろその豪華俳優陣はそれぞれBestを尽くしたと思う…
なのに、観賞後に感じた〝物足りなさ〟は何故なんだろう…
災害で失われてしまった家族
弱者に寄り添えない行政
行政を悪用する不埒者
支援制度の限界
様々な立ち位置の登場人物全てが〝護られなかった者たち〟ということか…
「誰も悪くないんだよ。悲しいけれど」
そう言われているようで…
綺麗なようで、何だか夢も希望もない物語に思えた…
暗くて捻れている阿部寛!
妻子を震災で亡くし、いつもと違う雰囲気の阿部寛。こういう役も良いですね。動機と殺害方法に無理がありすぎて犯人がわかりませんでした。原作もあの通りなのでしょうか? うろ覚えですが「(助けを求める)声を上げればいいんです。誰かの耳には届きます。世の中は捨てたもんじゃありません」のセリフは良かったです。不正受給する人もいれば、申請すれば救えたはずの命もある。難しい問題です。子役のお嬢さんは上手ですね
犯人の心理描写が支離滅裂
犯人がなぜ、残酷な殺人を犯さねばならない心理状態になったのかがさっぱりわかりませんでした。
しかもこのタイミングに?です。
犯人は「護るべき人を護りたい。そのためには自分が犠牲になっても良い」と考える人で、だから、「護られなかった人」の悲しみを晴らすために殺人者になったのだ……と、理屈では理解できます。不自然さ満開ですが。
さらにストーリーの中でそれがまったく語られず、唐突感でいっぱいです。
また、それぞれのキャラクターが、まったく深掘りされていないような気がしました。
林遣都さんが被害者たちのことを「何が人格者だ!何が善人だ!!」と憤慨するシーンがあるんですが、なぜそう感じたのかがわからない。
震災で膨大な生活保護申請者がある中で、厳格に審査をせざるを得なかったのは、この映画を観なくても理解できるし、窓口での対応を見たなら余計に「断るのはつらいんだろうな」と共感できるのではないか?????
登場人物の思考や行動があんまりにも浅すぎやしないか……と、違和感でいっぱいになりました。
でも、震災は多くの犠牲者を出し、役所は膨大な問題を抱えさせられ、二次被害、三次被害を生み出していったことを、被災地から離れた人間に再認識させてくれたことは良かったと思うので、星一つおまけです。
家族の絆より強いものは❗️
いや〜良かった〜。倍賞さんの枯れ方も良かった。み〜んな良かった。今季、1番だよ!
完成披露やTVで清原果耶ちゃんが出ないからチョイ役かと思ったら、何と何と。朝ドラとの関係で出られなかったのかな?
時期を同じくして気仙沼市民て市民じゃん。
この前は長沼に行ったので、今度は勾当台公園の後ろから3番目に行こう。
凄い偶然で刑事と後の犯人が避難所で声を掛けていたなんて、刑事の子供の最後を見ていたなんてグッと来た。
近くにいたおばちゃんなんか、後半からず〜と泣いてたよ。
俺はエンドロール聞きながらた、また泣いた。
声を上げないと護られないのか?
映画は3.11で被災した人たちの悲惨さや生きづらさが描かれて身につまされるが、その中でも人々が寄り添い、擬似家族で身を寄せ合って助け合う姿に救われるが、物語が進むにつれその闇が明らかになっていく…
けいが餓死したことについては、行政側にも落ち度はあると思うが、けいも禁止されている自宅で暮らすことを選んだ手前、国の補助を受けづらかったのかもしれない。
しかし例えばけいが仮設住宅や震災補償、生活保護を拒否して自宅暮らしを希望したとしても、定期的な訪問やケアは必要なのではないだろうか。今回は生活保護担当者だけに押し付けていた感があったが、あんな歴史的大地震、津波の被害があり、かつ我慢してしまう高齢者をほっとく、もしくは生活保護担当者だけに押し付ける神経がわからない。
もしこのストーリーのままが現実なら国の怠慢と言われてもしょうがない。
声を上げる人ばかりいい思いをして、国や周りに助けを求めず必死に頑張る人たちに冷たい制度自体ちょっとどうなのかなと考えさせられた。
これからはそういう欠陥を補填すべく、声を上げなくても権利として、当たり前に、かつ公平にそういう補償を受けられる制度構築を国や自治体に期待したい。
今回はそういうことを考えさせられた映画でした。
倍賞美津子さんに尽きる
ストーリーは、大衆向けに作られ、メリハリを付けつつも、そこに社会問題をポンと振りかける、瀬々監督らしい映画構成だなと思った。相変わらず役者陣は豪華で一流なので、多少ストーリーがチープに感じられつつもやはり見てしまう。
なかでも倍賞美津子さんの役作りは素晴らしかった。おそらくは一番この映画の中で伝えたかった肝となる部分で、一気に見ている側を引き寄せる力がある演技だった。最後は悲しかった。
本作内のケースワーカーが語った「みんなに看取られながら亡くなるのはもはや無理なんです」みたいな台詞が痛烈だ。まあ、お前が言うなよってのはあるけど、実際自分もそうなるのか。年金で賄えるわけもない老後。70歳過ぎても働かなければやっていけない人が多くいるこの国。
どうしてこの国は見せかけは先進国なのに、こんなに将来が真っ暗なのか。
映画を見て少し暗くなった。
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