護られなかった者たちへのレビュー・感想・評価
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テーマ、着眼点は非常にいいと思うのだが…
俳優陣は豪華だし、テーマもいいと思うんだけど、それをサスペンスと結びつけちゃったのがまずかったのかなと思ってしまいました。
現実的問題なのに、これ無理だろって思う事件。それでもう、あれれってなっちゃったんですよね。ラストの伏線回収も見事でしたが、結果的にもったいない感じしました。
作られた物語が予想外に面白いものだった
震災のことなど関係のない創作ものだったけれど、決してこじつけとか興味本位の付け足しという印象は受けなかったし、かなり巧妙に本筋に絡ませていて、予想外の面白さを味わえたような気がしました。
物語の落とし方は、相当微妙だと思いましたが、あの震災から・・・とはじまる物語としてみると、全く想像しなかったし、しかもかなり難しい感情に持っていかれたので、やられてしまった感があります。
絵は終始鈍い印象を受けましたが、それは内容に即した演出だと感じることが出来て、それ故に非常に力強さも感じました。
あの悲しみをただ悲しいとばかりに嘆くのではなく、こうして悲しみを利用して涙を誘うような作品を創作していく逞しさのようなものを勝手に感じた次第です。
果耶ちゃん凄い
犯人は?動機は?と予想しながら鑑賞してたけど、全部ハズレ。結構重い、切ない話であちこちで涙が出てくる。それもここまでかなと思った更に後で、震災当日助けられなかったという利根くんの告白。これはヤバかった。
佐藤健くんも阿部ちゃんも他の役者さんもみんなよかったけど、果耶ちゃんは凄い。元々若手ながら凄い女優さんだと思ってたけど、この作品での果耶ちゃんは…本当にヤバイです。
やり切れない想いの果てにあるもの
全ての希望も喜びも一瞬で流された弱きものたちの一縷の望みにすがる想いが踏み躙られ、そのことが与えるどうしようもない憎悪、その吐口すらないままま生きる人の行動。
許されないことを自覚しつつも、その衝動に突き動かされる哀しみにどうしようもなく心を奪われました。
そして捕まり死を自覚したものたちがおもう想いとはどんなものだったのだろうか。
それぞれの哀しみを誰が背負い分かち合う事が出来るのだろう。もしそのことが出来なくても寄り添い生きることの重要性を謳ってる様に思いました。
最後の言葉と倍賞美津子さんの姿がとても印象的でした。
監督不在の脚本映画 監督はプロヂューサーを務めていたようだ。
呆れるほどの煩悩監督ぶりに、普段では見えないようなものまでもが視れてしまった。
撮影をはじめ、優秀な全スタッフと優秀な演者はみな 自分のギャラぶんの仕事はきちんとこなしているようだった。
映画を観ていると、”脚本には「右を観る」「頭をかく」「目を左右に動かして 落ち着かない様子を示す」等の演技までもが精細に書かれていた”事さえも判ってしまいます。
そして、各カットは存在するが、そのカットが繋がらず 映画としての連続性がまるでない。
予告編にせよ、シナリオにせよ、最後の顛末に向けた布石であることは、途中から解ってしまい製作者側の浅知恵に呆れかえってしまった。
東日本大震災を題材にしているが、あくまでもきっかけであって、本題ではない。
生活保護の問題点をエグル社会派映画に成るべきなのに。。。原作があるとは思えない”内容の雑さ”にも呆れた。
倍賞美津子さんはドーラン化粧して、外見は老人ポイが元気良過ぎ!
この映画を観るよりも東日本大震災を題材とした映画作品では「凪待ち」や「裸のいとこ」を観た方が良い。ずっと心をえぐる。
悪い意味で裏切られた
原作に感動し映画を楽しみにしていましたが出来栄えは残念の一言。
まず、キャスト。良かったのは佐藤健君と倍賞美津子さん。2点はこのふたりへ。
脚本家と監督によるものと思いますが至る所が原作とは異なりそれも改悪です。
主な変更点は、
・3人の出会い
・カンちゃんの性別
・カンちゃんの母親
・カンちゃんに対するいじめ
・利根の刑務所仲間(五代)
・利根の女装
・けいの身寄り
・けいの生活保護辞退(ではない)
・上崎の人柄
・けいの最後のメッセージ
細かい点はもっとあります。
なぜこれほどまでの変更が必要だったのか。
原作者(中山千里)は本当に認めたのでしょうか。
残念でなりません。
原作をお読みでない方、ご一読を推奨します。
ストーリーはいいが、おそらくセリフチョイスがミスってる…。
原作は未読。
ミステリーものとしては中々面白いと思う。
トリックもアリバイ調査もなく、「なぜ、彼らは殺されたのか?なぜ、このように殺されたのか?」という点だけが作品中ずっと繰り返されるので、人によっては飽きるかもしれないが、自分は問題なかった。
この作品で問題なのはセリフチョイスと説明不足。
おそらく原作の名言ポジションのセリフを脈絡もなく登場人物が言うので感動よりも困惑が先に来る。
これが上映時間中ずっと続くので最後の方はイライラしてきた。
ストーリーは良いので、単に映画化に失敗しただけだと思う。
期待していたのだけれど…
予告動画を観てかなり期待をしていましたが、正直少し拍子抜けした感じです。
震災と生活保護と殺人事件、社会派の作品で観た人に問題提議を投げかけるような題材ではありますが、福祉に近い現場に身を置いている人間としては、もっと複雑な問題を抱えているからこそ、素直に感情移入することは出来ませんでした。
それでも倍賞千恵子さんの演技は素晴らしく、円熟した女優さんをスクリーンで観られる嬉しさは何者にもかえがたいものがありました。
事件の真相は佐藤さんの熱演で最後まで見応えはありましたが、結果を知ってしまうと現実的ではなく無理矢理な感じを受けました。途中の演出も一部気になってストーリーが入ってこないところもありました。最後の阿部さんとのやりとりもあまりにも出来すぎていて…。
もう一度観れば印象はかわるかもしれませんが、期待値が大きかっただけに肩透かしをくらった印象です。
作品の核がそのまま出てくる、受け取るのも難しい今がここに
メッセージは凄く重くてストレートだが、肝心のストーリーが問題提起にしかなっていないのが気になった。状況説明に終始写った感じ。
ココ最近の瀬々敬久監督作品というと、やはりキャストも揃えられた大規模な物が目立つ。ただ、やはりハマりにくいというか、合わないことが多い。倫理観のズレだったり、唐突な展開だったり…その点、この映画ではそこまでズレていることも無かったように思える。ただ、東日本大震災が作品のフックとなっている中で、作品としてのドラマが機能しているようには思えなかった。耐えかねる現状と静かな分断は確かにリアルで、たぶん知らないだけの世界。でも、じゃあ事件は起こるべくして起きたのか?とも思う。寄り添い方を知っているなら尚更。
やはり阿部寛のリードと佐藤健の目付きはとにかく心強い。ただ、作品としては抉ってくるほど問いかけては来ないので、両者の駆け引きを観ている感じ。また、生活保護に関してもなかなかゴールの入らない試合を見ているようなせめぎ合いの様。妥当とまではいかないが、事件の理由にやや同情してしまった。また、清原果耶のポテンシャルの高さに改めて慄く。凄い俳優さん。あの中でも格段の存在感と演技のキャパシティを見せてくる。
言いたいことは分かるし、とても辛い。だが、そのリアルな世界のメッセージがあまりにもダイレクトで受け取るにも難しいと感じさせた。解決しない方が有り難い輩もいると思うとなんだか悲しい。
なんでだろう…
出てくる役者さん役者さん、みんなが大物ですごく驚いた。
しかもどの役もキャラクターが立っていてそこにいる必要性がしっかりとあるからすごいと思う。
ただ、ヒューマンストーリーと社会への問題提起がごちゃごちゃになって降り掛かってくるために登場人物に感情移入したくともそうにも行かずにストーリーは進んでいく。
きっと1回では誰が善で何が悪なのかといった心に浮かぶ疑問は脇に置いて目の前に起こることをただただ受け取ることしか出来ないのだろうと思う。
そこが観終わった後のモヤッとした気持ちなのかもしれない。"観て良かった"がすぐに湧いて来ないから不思議。それが狙いなのだとしたらまんまとなのだか…瀬々作品今回はどうかな?と不安がよぎるのも事実。
もう一回観る!
何がいいんだ?原作がいいのか?監督がいいのか?俳優陣が素晴らしいのか!
映画でありながら、スタンディングオベーションしたくなった。
いいじゃん、難しく考えなくても。ただ、前を向いて生きればいい!それだけで誰かのために役に立っているんだから。
「健康で文化的な最低限度の生活」とは。
最初から最後まで集中力が途切れることなく画面に引き込まれていった。シーンごとの密度が高いし演技も絶賛ものである。これは心温まるヒューマンドラマであるとともに、殺人事件を追うサスペンスドラマでもある。物語の中心には、けいさん、利根君、かんちゃん3人の暖かい交流がある。身寄りがなかったり、震災で亡くしたりで孤独という面では共通している彼らが家族のような関係になるのは当然ともいえる。震災が彼らを「家族」にした。けいさんを救えなかった「生活保護」の問題や、利根君の「生活保護」への怒り、かんちゃんの「生活保護」の仕事にかける思いなどこれだけで十分物語になる。「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」と言いながら、現実は理想とはほど遠く、救われない者も多くいる。「生活保護」の問題はナイーブで奥深い。支給する側も受給する側も悪い者はいないのにどちらかが悪者になったりする世界である。
ヒューマンドラマとサスペンスドラマの融合はよくあるが、この作品の場合どうだろう。憎しみの感情は理解できるとしても、10年も経ってから復讐に及ぶような事だろうか。生活保護の担当者は悪人ではない。「制度」や「運用」の欠陥の責任を彼らに押し付けただけで、殺害する理由はどこにもない。瀬々監督の作品は、俳優が素晴らしい演技をするが、内容が腑に落ちない場合が間々ある。
3.11×ミステリ
人間もこわいし災害もこわいし生きていくって大変だなあ
鬱になるのだって元々は人間関係が原因の人が多そうだし、人と関わるの本当に難しいから働きたくないけど稼がないと生きていけない。
福祉の人だって大変なお仕事しているのに逆恨みされて酷い殺され方するし。
平和に生きていたいけど難しそう。
最後ちょっと悲しくて涙でた。
役者さんは皆さん素晴らしかった。
護るという意味
震災もそうだけれども
むしろ生活保護に関するメッセージを強く感じた
キャストがとても豪華で倍賞千恵子さんの芝居に泣かされました。
他人同士なのに、お互いを『護る』
カンちゃんを護る利根の気持ち…最後を観て涙が止まらなかった
伏線が少しづつ回収されていくのは良き❗️
個人的には容疑者役の佐藤健くんの眼差しが
ホント刺さり
健くんは影のある役を見事に演じてる
あぁいう役が私は好き❣️(『ひとよ』の時の役とか、もちろん『るろ剣も』)
ラストの海での会話は『護る』という文字の意味を改めて感じとれました。
この時期になると、映画の賞レースに関わってくるので
間違いなく くい込んでくる作品だと思いました。
倍賞美津子が好演。生活保護はどうあるべきか考えさせられる。
左翼主義的な匂いもするが、生活保護というシステムの理不尽さなどについて色々と考えさせられる映画。震災直後のシーンなど実にリアリティがあった。倍賞美津子という女優はあまり好きではないのだが今回の演技は素晴らしく、彼女抜きでは考えられない映画かも?少し長すぎる。カットできるシーンもいくつかあったように思う。
面白かったとは思うが、私に合わなかった
非常に評価が高かったため鑑賞してきました。
以前から映画館に行く度に予告編映像が流れていたので、「東日本大震災関連の映画なのかな」という程度の事前知識で鑑賞しました。
結論ですが、これ東日本大震災映画じゃなくて生活保護映画ですね。役者陣の演技もしっかりしているし物語としても面白いし社会問題に切り込んだ内容になっているので、一定以上のクオリティは保証されている映画だとは思いました。しかしながら、私には社会問題に切り込んだ作品の割にはどうしても中途半端に見えます。生活保護の不正受給などの問題は一昔前にテレビで散々取り沙汰されてましたし、正直そこまで深堀りされているようにも感じず、震災との関連付けも今一つ。「なんで今更生活保護を題材にしたんだろう」「結局国政批判に落ち着いてしまっているのはどうなんだろう」って感じてしまいました。
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東日本大震災から9年が経過して復興が進んでいる宮城県で、男性が縛られた状態で監禁されて餓死するという凄惨な連続殺人事件が発生した。犠牲者はいずれも役所で生活保護受給に関する仕事を行なっていた善人と呼ばれる人たち。過去にあったトラブルなどから、一人の男が捜査線上に浮かびあがる。それは過去に放火事件を起こしたことで服役していた利根(佐藤健)という男だった。
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「生活保護」というテーマ自体を否定するつもりは毛頭ないんですけど、数年前からテレビのワイドショーなどでも散々取り沙汰されてきた話題ですので、表面的な問題提起は見飽きている人も多いであろうテーマです。それ故に、劇中での描き方にもう一工夫欲しかったです。
例えば、以前鑑賞した『ヤクザと家族』という映画は暴対法の矛盾点を一般人ではなく暴力団の視点から描いたことで新鮮味があり、一見良さそうな「暴対法」という法律について考えさせられる構成になっていましたが、本作には新たな視点から法律や制度の矛盾点を突くような構成は無く、悪い意味で素直な構成になっていました。それ故に私には「生活保護という周知の社会問題について深い掘り下げも新たな視点も無く描いた説教臭い映画」にしか見えませんでした。
また、東日本大震災と関連付けて描いていることに対しても、必然性は今一つ感じることができませんでした。
本作で最も悲劇的に、センセーショナルに描かれていた倍賞美津子さん演じるけいさんの死。「生活保護を拒否されて餓死」というのは確かにショッキングでしたが、東日本大震災と関係づけて描かれてしまったせいで生活保護の問題としては薄い内容になってしまったように感じられます。実際に起こった事件で言えば、2007年には北九州市の男性が、2020年には大阪府の母子が生活保護を打ち切られて餓死するという事件が発生しています。生活保護受給拒否の問題は全国どこでも誰にでも起こりうる問題のはずですが、本作では東日本大震災を絡めたストーリーにしてしまったせいでそれが感じられず、被災地の問題のように観える描かれ方になっていたのは非常に不満です。
こういう震災とか社会問題とか社会的弱者(LGBTや生活困窮者や弱い立場の女性)について描いている映画って、批判的意見言いづらいんですよね。「弱者の盾」という言い方をするんですけど、本作を批判してしまうと生活保護受給者や震災の被災者を批判しているような構図になってしまうので、何となく批判しづらいし高評価しないといけない雰囲気ができあがってしまいます。一応弁明しておきますけど、私は生活保護受給者や被災者を批判するような意図は全くありません。単純に「この映画が」苦手なだけです。「震災」と「生活保護」という本来独立した問題を強引に関連付けなければもう少しシンプルに分かりやすく、更に社会問題に深く切り込んだ描写ができたのではないかと思います。
ただ先にも述べた通り、決してつまらなかったわけではありません。全体的なストーリーは普通に楽しめましたし、役者陣の演技も見事でした。主演の佐藤健さんや刑事役の阿部寛さん、心優しい被災女性のけいを演じた倍賞美津子さんなど、どの役者さんも素晴らしかった。特に、最近大活躍中の若手女優である清原果耶さん。先日鑑賞した『花束みたいな恋をした』にも出演していましたが、その時は映画終盤のほんの数分の出演だったのでしっかり演技を観るのは今回が初めてでしたが、本当に素晴らしかった。今後の映画業界をけん引する実力派女優さんだと思います。
多少の不満点はありましたが、今観るべき作品だったと思います。オススメです。
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