護られなかった者たちへのレビュー・感想・評価
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生活保護の現実
市役所職員として厳しい現実をテーマにしていただき、感謝します。 一般の方がどう感じたのか気になります。 一人のケースワーカーが100人以上の受給者を抱え、社会復帰への支援と毎日増える新規受給希望者との対応に追われてます。 心が折れてる職員も多いし、人間不信になりそうなことも多いです。護るのは、ホントに難しい。
事前にあらすじを把握してないと理解し辛い
全体的には良い映画だと思う。
出演俳優の演技力の高さと華やかなルックスによって悲痛な出来事ながら映画自体に華があり、非常に惹きつけられた。
ですが、泰久兄ちゃん、カンちゃん、ケイさんの3人の関係が映画だけ観てても分からない事と、字幕で時期を表示する様な説明もないまま、シーンの移り変わりが激しく、時系列もわかり辛いのが難点だと感じたが、俳優陣の演技力の高さには目を見張るものがあり、心に響く作品の一つになった。
少し残念なのは、若い女性ひとりで成人男性の体の自由を奪って餓死させると言うのが、現実的ではないのと、そこに至るまでの犯行の一部始終は描かれておらず、空き家に連れ込むまでの一連の流れが部分的にでも描かれていればなおリアリティがあって良かったと思う。
泰久さんが配給のパンを巡ってカンちゃんの為に憤り、一般市民に取り押さえられ、水溜まりの中に顔を押し付けられるシーンは本来なら目を覆いたくなる様な痛々しい有り様だけど、震災で一瞬にして日常を奪われた人の心の荒みがよく描かれていると感じた。
不正受給がまかり通る人がいる中、本当に必要としてる人には辞退申請に持ち込もうとする役所の人間による入れ知恵があり、どこの社会でも弱者は侮られる現実に、生物の本能とでも言うべきか、弱肉強食の法則に無意識に従う言動をとってる本人が気付いてない所に人間の真の恐ろしさとは無意識に行われる事の中にあると感じた。
あらすじを把握した広い視界の観点で観ると、回数を重ねるほど心に沁みる映画だと思う。
声をあげて生きて欲しい
関東に住み仕事がある自分の生活は311でほぼ変わらなかったけれども、かんちゃんや泰久の様に311により人生が大きく変わった人達が日本には沢山いるんですよね。いや待て、自分の生活が変わらなかったと思っている私は、相当鈍感な人間なのではないか?沢山の人達の人生が変わったのだから、私の生活が変わらないわけがない。日本が変わらないわけがない。
けいさんは、健康で文化的な最低限の生活を保障している日本国憲法の下で暮らしているにもかかわらず、制度により困窮を余儀なくされた国民の象徴として描かれていました。生活保護制度を「使わない」「使えない」のは、同調圧力に弱い控えめな国民性ということもありますが、餓死者を出す一番の原因は、国民性よりも国をあげての生活保護受給者ネガティブキャンペーンにあると思います。厚労省から自治体にかけられる圧力からも、国家権力の悪意を感じとりました。税金とは?
だからこそ監督は、権力の圧力が強い中でも、どんなに辛い事があったとしても、皆が声をあげてあきらめないで生きて欲しいというメッセージを作品に込めたのだと思います。
そして、かんちゃんは、今最も貧困化が進んでいる若い女性の怒りを表しているようでした。よほどのことがない限り、女性はあんな殺し方はしません。フィクションとはいえ、学費や生活費の為にパパ活をしたり風俗で働く若い女性やご飯も食べられないシングルマザーと、まともな雇用を破壊し貧困を招いた権力のことを考えずにはいられませんでした。
フェリーニもケン・ローチもポン・ジュノも山田洋次も、不器用でずる賢くてだらしない貧乏人の視点から社会を描いてきました。村上春樹は壁を権力に卵を庶民に例えて、壁がどんなに正しかろうとも卵がどんなに間違っていようとも、自分は常に卵の側に立つというスピーチをしました。本作に出てきた人物は皆真面目に生きていましたが、本来真面目じゃなくてもいい加減でも、誰でも生きられる保障が権利なんですよね。映画の醍醐味は、真面目でも不真面目でも庶民に対する愛情を描いているところだと思います。
「佐藤健、生きざま」
今年77本目。 新聞の記事で佐藤健が「泥水に顔くらい普通じゃないですか」と語っていました。生き様見習いたい。 2017年の「8年越しの花嫁 奇跡の実話」が佐藤健の作品で一番好きで、瀬々敬久監督でしたね。それ以来のコンビ。 瀬々監督は一番好きな監督で「8年越しの花嫁」「楽園」「糸」と秀作揃い。 この10年の佐藤健の充実と監督が合わさった今作品は、重厚なテーマも相まって2時間14分一度も目が離せない展開となっています。 佐藤健がうどんを食べるシーンが好き過ぎる。
誰も悪くない
殺人は悪いことです だけど、最後に誰も悪くないとおもってしまいました。 観終わって、エンドロールと桑田さんの歌が流れて 知らぬ間に涙が流れました いろんな人が、いろんな立場で辛い思いをして、 私も母であり、生活保護に関係ある仕事をしていて 共感する部分が多すぎて 誰も悪くないっておもってしまいました。
孤独と寄り添う
3.11の後、残された人たちがどう歩むか。全力で前を向ける人もいる。 孤独と戦い、苦しみ、うまく護られず生きる人もいる。 この映画は護られなかった人たちをテーマに悲しい道になったパターンである。 3.11はもとより、生活保護の現場を知ることも出来た。 私も孤独を感じることがある。孤独だからこそ、声を上げて助けを求める必要がある。 孤独だからこそ、周りから逃げちゃダメなんだ。 だから、寄り添うってすごく大切なんだ。 護られなかった先にあるそれぞれの道。 一番最後にすべてが繋がる。 繋がった時の刑事から出た言葉は、それぞれの人生を救うものだった。 私も救われた気がしました
時系列が分かりにくいですが
震災よりも生活保護について、ということは漏れ聞いていたので、そこをどう表現するのだろうか、と思って見ていました。
佐藤健さん演じる青年の心情表現が、キャラクター的に口数が少なくて、彼への感情移入が少ししづらく、また避難所で少女(カンちゃん)から配給のパンが奪われてしまった時、彼女のためにパンを!と言えばいいのにただがむしゃらに列を無視して取りに行くことで周りから迷惑者扱いされてしまう演出が釈然としませんでした。ちゃんと並んでいた女の子にもパンを!と正当な主張をすればいいのに、何故彼がこういう性格なのか、説明が無く、
またなんとなく避難所でおばあさんとカンちゃんと主役の彼と、3人がいくら他に身寄りが無かったとはいえ、3人があっという間に「いつも一緒にいる人達」っぽくなっていて、展開の早さに付いていけませんでした。
そんなに急に、他人どうしですぐ、おかえりとかただいまって言えるものなのかな?と違和感。。
後から「救えなかった男の子と似た黄色い上着を着ていた女の子だから助けたかった」と、最後の最後で理由が語られますが、説明遅い。。という感じで。3人が一緒にうどんを食べるシーンも、多分感動的なのかもしれませんが、あまり伝わらず、演出や説明不足が残念でした。
あと時系列がとっ散らかっていて、映画として分かりにくかったです。
せっかく、生活保護の①不正受給阻止も、本当に困っていて財産なども無いなら②正当な支給も、うまく機能しなければならずとても難しい問題に斬り込んだ、考えさせられる題材を取り上げているのに、演出、見せ方、時系列の分かりにくさがもったいない、と思いました。
あと、一応彼女の犯罪の様子を再現してはいましたが、どう考えても大人の男の人を22〜3歳?くらいの女性1人がスタンガンのみでアパート2階に引きずって運ぶとか、生きたまま放置して餓死させるんだからまだ犯罪時点で男の人は生きてるわけで、拘束するまでの手順?簡単に同じ車に乗ってくれるものなのか?車中でスタンガン当てても、多少手を振り払われたら形成逆転しないのか?
と、別に格闘技も何も心得無さそうな女性1人で男の人を拘束出来たことがめちゃめちゃ疑問で。。毒殺とかじゃなく、物理的に生きたまま拘束するのが真実味が無くてちょっとあ然としました。
また佐藤健君が多分ガムテープかロープ?ナイフ?を買ってるシーンがあったけど、結局建物の入口に放火と、最後の議員には謝罪を要求するための脅し用ナイフを買っただけ?
おばあさんの生活保護をきちんと受給させてあげなかった職員達を恨むわりには「死んでいい人間なんていないんだ」と、職員達も擁護することになるセリフに違和感。このセリフは、生活に困窮している人達が誰ひとり見捨てられてはならない、の意味だと思うのですが、職員を餓死させたカンちゃんを諭しているなら職員を餓死という同じ目に合わせちゃ駄目だ、にも聞こえて。。それ自体は人としては正論ですが、あんなに職員達を恨んで無かった??と脚本が分かりにくかったです。
放火について新しい職場の面接で話す時、「あまりにも対応が酷くて火を付けました」と言っていたので、確かに建物の入口付近のコンクリートを燃やしただけっぽいけど、万一風が強い日で窓が開いていたりしたら、火の粉が建物内部に入り、万一残業している人がいたら被害を受けないとも限らない。それをした人が言うセリフとして説得力があまり無くて脚本が残念でした。
でも佐藤健君と阿部寛さんの眼光の鋭い演技は良かったです。
またこの物語とは関係無いですが、警察の上の方の役職にまた鶴見辰吾さんがいて、あー署長と緋村剣心がいる〜!と個人的に嬉しかったです。
一番最初の外の被災した様子、建物やその他の散乱した物の再現は凄かったので、脚本だけ惜しいな、と思いました。
生活保護制度に対する問題提起
生活保護の本当に必要な人に届かずに、命を落とす人がいる、ということは実際にもある話。問題提起され、多くの人が関心を持つきっかけになりうると言う点でこの映画は非常に価値のあるものになると思う。
三人でうどんをすするシーンに涙
初めて劇場で2回観ました。2回目は付き添いでしたが、初回を観てから頭から離れられない作品で、もう一回観たいと思いました。 1カット1カットに妥協しない瀬々監督と瀬々組の実力派俳優陣による傑作だと思います。 生活保護のスティグマを描写する社会派ミステリー作品でありながら、何よりもヒューマン作品でした。素晴らしいの一言です。実際の福祉行政の現場に存在する善悪の葛藤や疲れが遜色なく描かれてました。 佐藤健さんの魂の演技、圧巻でした。役柄らしい目つき顔つきや素行、その中で垣間見えた笑顔、本当にすごいです。難しい役柄を演じた清原果耶さん、感情豊かなお芝居の素晴らしさにグッときました。子役の石井心咲さんも良かったです。 そして、悲しみを心の底に押し殺して生きる役柄の阿部寛さん、倍賞美津子さんの慈愛あふれる一挙手一投足。佐藤さん、倍賞さん、石井さんたちが一緒にうどんを食べるシーン、倍賞さんと佐藤さんのシーン、予告にもある避難所での迫真のシーン、阿部さんと佐藤さんの二人のラストシーン等、全て心から泣けました。 悲しんでいる人がいたら抱きかかえていこうと思える、そんな素晴らしい作品をありがとうございました。
瀬々敬久監督のど真ん中社会派作品
期待通りの重厚感でした。考えさせられる、なんてもんじゃない。何が正しいのか、自分だったらどうしてしまうのか。佐藤健がまた高いところに到達してる。うどんの食べ方にぐっときたな~。宇野祥平が出てくると心がドキッとしちゃう。
3.11と生活保護の実態
いまだに傷痕の残る3.11と生活保護の実態が背景にある同作品。サスペンスというより人間ドラマ感が強いのは瀬々監督ゆえか? 瑛大さんが隠れた主演というべき演技で、物語を導いており、流石の一言。 終わった後に必ず振り返るような作品。
話題の「エンパシー」が問われる?
ブレディみかこさんの本では、サッチャー元首相の秘書が、こう評したと書かれている。 「彼女はシンパシーのある人ではあったが、エンパシーはなかった」(多分こんな感じ) ①清原果耶ちゃんは、NHKの「透明なゆりかご」以来、私的には拍手!だった(朝の連ドラとかの彼女は〜たまに見るだけ〜そんなに魅力的ではない)。 彼女の可能性を信じた。 「3月のライオン」、NHKの「蛍草 菜々の剣」、そしてこの映画、清原ちゃんはすごいね。 ②さすがの阿部寛!!! ③私みたいにエンパシーが問われる人間にとっては、今まさに必要な映画だった ④とにかく泣いて泣いて、また泣いて・・・帰りには頭が痛くなっていた(中国山地の山の中から車で2時間半、往復5時間飛ばして映画を見に行くというこの不条理! 帰りは厳しかったですよ)
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