その手に触れるまで

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その手に触れるまで

解説・あらすじ

「ある子供」「ロルナの祈り」「少年と自転車」などカンヌ国際映画祭で受賞を重ねてきたベルギーのダルデンヌ兄弟が、過激な宗教思想にのめりこみ教師を殺害しようと試みた少年の姿を描き、2019年の同映画祭で監督賞を受賞した人間ドラマ。13歳のアメッドはどこにでもいるゲーム好きな普通の少年だったが、尊敬するイスラム指導者に感化され、次第に過激な思想にのめりこんでいく。やがて学校の先生をイスラムの敵だと考えはじめたアメッドは、先生を抹殺しようと企むが……。これまでにカンヌ国際映画祭で2度のパルムドール(「ロゼッタ」「ある子供」)と脚本賞(「ロルナの祈り」)、グランプリ(「少年と自転車」)を受賞してきたダルデンヌ兄弟にとって、初のカンヌ監督賞受賞作となった。

2019年製作/84分/G/ベルギー・フランス合作
原題または英題:Le jeune Ahmed
配給:ビターズ・エンド
劇場公開日:2020年6月12日

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(C)Les Films Du Fleuve - Archipel 35 - France 2 Cinema - Proximus - RTBF

映画レビュー

4.0過激思想を拭い去るには

2020年6月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

人間は誰もが生まれた時にはイデオロギーの偏りなどなくて、人間の本質は、玉ねぎの皮を剥いていくように一枚ずつはがしてゆくと、中は空洞なのではないかと思う。どんな皮を纏うことになるかはもっぱら環境要因で、空洞が本質だからこそどんなものでも吸収できてしまうのが人間ではないか。
この映画の主人公の少年はいたってどこにでもいそうな少年だ。たまたまイスラム教指導者が過激思想の持ち主だったので、本人も感化されてしまう。これは、一度まとってしまった皮を剥がして別の皮に付け替える過程を追いかけた作品と言えるかもしれない。
それは容易なことではない。まとった皮も含めて自分という人間だ。自分の一部を否定することは誰にとっても難しいこと。周囲の助けなくしてはそれは達成できないことなのだ。
まるで異なる思想を身に着けてしまった人々とどう向き合うのか、今の世界のどこであっても重大な問題を本作は描いている。

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杉本穂高

4.0小さなテロリスト

2025年5月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

知的

難しい

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レント

5.0考え方の違う人間と共に生きる。

2024年10月11日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

今まで私は、自由経済を悪魔の考えだと思わない人達に囲まれ、
少なからず成長し年令を重ね生きて来ました。

その私がイスラム圏内、共産主義国家、
或いは何か強固な信念によって団結した地域に移り住み、
ある日急に、
『オマエのウチの隣に住んでるヤツとは口を利くな。
 町内で一番偉いお方が憎んでいるそうだ。』
と、お向かいに住む、普段はとても優しく皆に慕われている年寄りに言われ、
その一週間後に、
『オマエのウチの隣に住んでるヤツは死んだ方がいい。
 オマエが殺さないと、オマエも家族もエライ目に合うぞ。』
と、言われたら、一体どうすればよいでしょうか?

「アナタガタは間違っている」なんてコト言いますか?

・・・・・・。

・・・・・・、ああ、此処まで書いてスゴイ馬鹿なコト書いてる気がして来た。

この、“スゴイ馬鹿なコト書いてる気” が、戦争テロ攻撃報復侵略圧力格差不幸・・・・の
元凶なのでしょうか。

“どちらに否があるのか”、をハッキリさせるための行為とは、
私には『戦争』としか呼べません。
規模(?)が小さきゃ『攻撃』『制圧』『虐殺』、あるいは『テロ』で済むかも知れません。

既にこの若者は戦時下に生きています。
異教徒の抑圧に耐えながら。

『信仰』と『教育』と『洗脳』は、100%全く同じ行為です。

日本人のほとんどが過激な宗教団体信者に変わりつつある今、
日本人は更にもっともっと視野を世界にまで広げなければいけない。
大戦前と変わらぬ島国日本人の視点からだけではこの映画を理解出来ないし、
即ち、外国人文化の共存など無理なのでは無いか。

今のままで、日本人は変化する必要ない?ご冗談でしょ?

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equinox

4.0☆☆☆★★★(1回目) 観客30名前後? ☆☆☆★★★(2回目) ...

2024年3月9日
iPhoneアプリから投稿

☆☆☆★★★(1回目)

観客30名前後?

☆☆☆★★★(2回目)

観客8名

簡単に。

(2020年)7/5日 ほんの少しだけレビューを加筆しました。

子供ではない、大人でもない。少年はただひたすらに純粋だった。

その心の隙間に〝 悪 〟 が乗り移り悲劇は起こる。

だが、そんなアメッドの事を誰も非難する事などは出来ない。

(ダルデンヌ兄弟の演出は)それまでが、絶望から一筋の光が対象者に降り注ぐダルデンヌエンディングだったのに対して。『サンドラの週末』以降の最後(エンディング)では、本人自らが希望の光に向かって歩き出す方向へ…と、舵を切って行く演出へ変わって行った気がします。

今回のエンディングでは、そこに至るまでのアメッドの行動。及び、社会へ適応しようにも純粋なるが故に。なかなか宗教への《信仰心》と《縛り》との狭間で苦しむ心の揺れ動く姿を、これまでの作品での対象者以上、執拗に描いており。観客には、より不穏な空気を匂わせていた。

個人的には、そんな観客の思い描く予想の上を行き。アメッド自ら、自分の身を殺め…とゆうイメージを持ちました。
若干ですが、そのラストシーンに向かって行く道のりには。少しばかりですが、無理があったのでは…との思いを持ちました。

とは言え、ストーリーは単純なれど。ダルデンヌ兄弟が描く物語は実に芳醇で。終盤に向けて提示される1つ1つのエモーショナルな描写は凄いの一言です。

2020年6月15日 ヒューマントラストシネマ有楽町/シアター1

2020年6月28日 ヒューマントラストシネマ有楽町/シアター2

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