劇場公開日 2020年6月12日

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その手に触れるまでのレビュー・感想・評価

全43件中、1~20件目を表示

4.0過激思想を拭い去るには

2020年6月29日
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鑑賞方法:映画館

人間は誰もが生まれた時にはイデオロギーの偏りなどなくて、人間の本質は、玉ねぎの皮を剥いていくように一枚ずつはがしてゆくと、中は空洞なのではないかと思う。どんな皮を纏うことになるかはもっぱら環境要因で、空洞が本質だからこそどんなものでも吸収できてしまうのが人間ではないか。
この映画の主人公の少年はいたってどこにでもいそうな少年だ。たまたまイスラム教指導者が過激思想の持ち主だったので、本人も感化されてしまう。これは、一度まとってしまった皮を剥がして別の皮に付け替える過程を追いかけた作品と言えるかもしれない。
それは容易なことではない。まとった皮も含めて自分という人間だ。自分の一部を否定することは誰にとっても難しいこと。周囲の助けなくしてはそれは達成できないことなのだ。
まるで異なる思想を身に着けてしまった人々とどう向き合うのか、今の世界のどこであっても重大な問題を本作は描いている。

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杉本穂高

4.0☆☆☆★★★(1回目) 観客30名前後? ☆☆☆★★★(2回目) ...

2024年3月9日
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☆☆☆★★★(1回目)

観客30名前後?

☆☆☆★★★(2回目)

観客8名

簡単に。

(2020年)7/5日 ほんの少しだけレビューを加筆しました。

子供ではない、大人でもない。少年はただひたすらに純粋だった。

その心の隙間に〝 悪 〟 が乗り移り悲劇は起こる。

だが、そんなアメッドの事を誰も非難する事などは出来ない。

(ダルデンヌ兄弟の演出は)それまでが、絶望から一筋の光が対象者に降り注ぐダルデンヌエンディングだったのに対して。『サンドラの週末』以降の最後(エンディング)では、本人自らが希望の光に向かって歩き出す方向へ…と、舵を切って行く演出へ変わって行った気がします。

今回のエンディングでは、そこに至るまでのアメッドの行動。及び、社会へ適応しようにも純粋なるが故に。なかなか宗教への《信仰心》と《縛り》との狭間で苦しむ心の揺れ動く姿を、これまでの作品での対象者以上、執拗に描いており。観客には、より不穏な空気を匂わせていた。

個人的には、そんな観客の思い描く予想の上を行き。アメッド自ら、自分の身を殺め…とゆうイメージを持ちました。
若干ですが、そのラストシーンに向かって行く道のりには。少しばかりですが、無理があったのでは…との思いを持ちました。

とは言え、ストーリーは単純なれど。ダルデンヌ兄弟が描く物語は実に芳醇で。終盤に向けて提示される1つ1つのエモーショナルな描写は凄いの一言です。

2020年6月15日 ヒューマントラストシネマ有楽町/シアター1

2020年6月28日 ヒューマントラストシネマ有楽町/シアター2

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松井の天井直撃ホームラン

3.5年端も行かない“子供“が洗脳される、イスラム世界

2022年8月24日
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鑑賞方法:DVD/BD

2019年(ベルギー/フランス)監督ダルデンヌ兄弟。カンヌ国際映画祭・監督賞受賞。

邦題の『その手に触れるまで』だと、和解したように感じますが、
原題はただの『若いアメッド』・・・少年の名前だけなのです。

1ヶ月前は「普通のゲーム好きの子供だったのに・・・」と、アメッドの母親が嘆きます。
急にコーランにハマり「導師」の言う・・・担任のイネス先生は「背教者」だから殺しても良い・・・
その言葉を、真っ直ぐ受け止めて、先生のアパートに向かう。
隠し持ったナイフでを振りかざし突進するものの、先生は身を避けて、
結果未遂に終わる。
アメッドはイネス先生の告発で、少年院に入れられてしまうのです。

いかにも真面目で潔癖症で融通の効かないアメッド。
少年院では仕事を終えた後・・・金属探知機をかざしてイチイチ身体検査をする。
そのシーンが迫る。
大人たちは少年たちをまったく信用していないのだ。
《凶器を隠し持ち、突然振りかざして来る》・・・そんな存在。

《ベルギーのブリュッセルはヨーロッパのテロリズムの交差点と化している》
2015年のパリ同時多発テロ事件の実行犯もブリュッセルを拠点にしていたと記憶に新しい。

それにしても洗脳とも言えるアメッドの「イスラム教とジハードへの傾倒」
これを解くことは可能なのだろうか?
「イレネ先生に面会すること・・・」
普通は謝罪かと思います。
所が、アメッドは凶器を隠し持つのです。
歯ブラシの持ち手を削って尖らせて、靴の中に隠している。
面会で何をしようとしているのだ。

更生プログラムの一貫で「酪農家での労働作業」をするアメッド。
牧場主の娘にキスを迫られ、「自分は罪を犯した、汚れた」と混乱してしまう。

脱走して向かうのもイネス先生の学校。
またしても尖った長いクギをポケットに忍ばせるアメッド。
「なんなの?あんた、まだ殺る気なの?」と、思う。

塀を苦労してよじ登り、結果、落下して身動きもとれない・・・ここで激しい痛みにアメッドは、はじめて《他者の痛み》を《自分の痛み》として捉えたのだと思う!!

ラスト、アメッドは子供に還ったのだと思う。
痛みで我に還る・・・。

年端も行かない子供が「コーラン」を学ぶ。
危険なことだと思う。
「ジハードを教えられる」
ジハードで殺されたイトコの写真には後光が差すように加工されている。
「ジハードの死は、死んだのではない、生きている」と説く導師。

日常的な些細な出来事として、
さり気なく見せられて、その根深いイスラム思想に震撼としてしまった。
閉ざされた人々が、広い視野を持つことは可能なのだろうか?

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琥珀糖

4.0これはすごい…!

2022年7月31日
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この時代に見るべき傑作だと思う。
宗教、ではなくでもあらゆる集団や思想に
置き換えることができる普遍性がある。

さらに主人公の彼はまだ若いが、
真面目そうな青年。
これも上手くて、確かにこういう人が
ある特定の思想にのめり込みそうだな、と。
それまでもゲームしかやってなかったらしいし。

これ先生はもちろん、母親からの立場で
見るとめちゃくちゃ辛いし意味わからんのよ。
怖い、本当に怖い。
というか、勧誘した大人の邪悪なことったら無いね。
あいつが悪だね。

恐ろしいまでのリアリティと
これ以外と納得させられるようなラストが秀逸でした。

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JYARI

3.5際どい

2022年1月13日
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鑑賞方法:VOD

なかなか際どい題材を、少年で扱うって
でも身近でも可能性あるんだろうな
何がきっかけでそうなるのだろう
邦題の意図は解るが、なんか違う

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アウトテープ

2.0洗脳と信仰心…

2021年8月21日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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KEI

3.5宗教の話はなかなか共感しづらい

2021年7月11日
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 特に信仰する宗教がない私にはこのような話は理解しようがなく、とても感想を述べる資格などないのだけれど、ただ13歳の少年がこのような行動をしてしまうことが辛い。
 イスラムの教えが13歳のアメッドの心に響いたのは何故?従兄弟の死もきっかけなんだろうけど、、、学校の先生を敵と思い襲ったことで少年院に入るけど、改心したように装いながら歯ブラシで凶器を作るほど先生への殺意は消えない様子。
 ラストはあまりにも悲しいけれど、アメッドが「ママ」とつぶやくところや、握手さえ拒んでいた先生の手を握るところはやはりまだ13歳の少年であることをかんじさせる。その手に触れるまで、まさにタイトルそのままである。
イスラム教をテーマにした映画はやはり重ーくつらーい気持ちになってしまう。

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アンディぴっと

3.5【純粋であるが故の、少年の中に芽生えたジハード思想の萌芽とその報いを描いた作品。遣る瀬無い気持ちになってしまう作品。世界中の、宗教に起因する紛争が無くなる時代は来るのであろうか・・。】

2021年7月11日
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悲しい

怖い

難しい

◆舞台は、ベルギーである。

・近くの小さなモスクに、兄ラシッドと頻繁に通う、アメッド。
モスクの過激思想の”導師”に”コーランの教え”により、彼も、過激な、ムスリム思想に傾倒していく・・。

・アメッドは、イネス先生のアラビア語の教え方に疑問を抱き、”導師”から”聖戦の対象だな・・”と言われ・・。

ー ちょっとした事が切っ掛けで、幼き”聖戦士”が生まれてしまう・・。暗い気持ちになる・・。ー

・少年院に入った後、農場実習で、ルイーズと言う女の子に好意を持たれ、キスをされてしまうが、アメッドは、”汚れてしまった・・”と言う言葉を残し、ルイーズに“ムスリムに改宗しないか・・”と迫るが、あっさり断られ・・。

・イネス先生の希望で、面会する時も、彼はソックスに”武器であるペン”を隠し持っている・・。

ー 一度、洗脳されてしまうと・・、ジハード一直線なのだろうか・・。ー

<アメッドが行った事に対する、彼に対しての報いは、アラーの神の仕業なのだろうか・・。
 劇中、ジハード思想に走ってしまったアメッドが、子供らしい笑顔を一切、浮かべない所も切ない。
 宗教とは、なんであるのか・・。もっと、寛容であるべきではないのか・・。
 世界中で起こっている、宗教に起因する紛争の数々・・。
 何とも、遣る瀬無い気持ちになってしまった作品である。>

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NOBU

4.5ムスリム

2021年7月8日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

主人公はベルギーに住むイスラム教の13歳の少年、友だちとゲームやサッカーを楽しんでいた。
ところがモスクで無責任な導師に感化され、イスラム原理主義に傾倒する。
面倒をよく見てくれた女の先生が反イスラムと思い込み、殺そうとするが・・・。
ダルデンヌ兄弟の作品で子供を扱っているので、最後まで目を離せない。

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いやよセブン

4.0若さゆえに、変われる。まだ。

2021年6月25日
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興奮

知的

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ytoshik

3.5不器用な主人公に感情移入はできないし、謎だらけだけど、その不器用さ...

2021年2月10日
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鑑賞方法:DVD/BD

不器用な主人公に感情移入はできないし、謎だらけだけど、その不器用さと異様さはわかる。

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えみり

3.5いとも簡単に切り替わるスイッチ

2021年1月27日
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鑑賞方法:VOD

個人評価:3.8
13歳の少年の心はどこに行くのか。
偏ったイスラムの宗教観を強く与える本作は、無宗教者の多い日本では、見る側の受け取り方も様々だと感じる。
一ヵ月前までゲームに夢中だった少年が、過激なイスラムの思想を前に、殺人をも肯定される思考回路に短期間で切り替わる。そのスイッチがいとも簡単に切り替えれる事が本作のテーマとも感じた。それはイスラムの人種として、誰しも根底にあるスイッチなのか。
あの後、少年はどうなるのだろう。飽きたゲームソフトの様に、その想いは次のゲームに向けられるのだろうか。いや、そうはならないだろう。血に歴史と思想が刻まれている。

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カメ

4.0その瞬間、人は「ママ(お母さん)」と言う

2021年1月18日
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鑑賞方法:DVD/BD
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マツドン

2.5イスラムを使ったホラー?

2020年12月26日
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imagine peace

4.5危なかしく、不安で、愛おしい

2020年12月19日
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真っ白で、何にでも染まれる少年期、ある過激な思想に感化され、それが正しいと疑わず、正義だと信じて、親近者を殺そうとする。
周りの大人が、その過激な思想をほどこうとするけれど、どこまでも純粋で真面目な少年の心はかたく。出会った同年代の女の子が、彼の心を揺さぶるきっかけをつくる。

とても危なかしく、不安にさせられて、でも愛おしい。
自身も、宗教ではないけれど、絶対的なもの、信じて疑わないものがあった10代を思い出しました。

ベルギーが舞台で、テロが発生する背景にいる個人は、最初からテロリストなわけではなく、むしろ純粋で真面目に生きる”人”なんだと、その悲しい複雑性を分かりやすく示してくれます。

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FLOREN

5.0ラスト

2020年10月8日
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鑑賞方法:映画館

どこがその手に触れるまでなのだろうと見ていたが、ラストでえっ!そうゆう展開?予想外だったので虚をつかれました。

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Oyster Boy

3.0考えてもわからない

2020年10月4日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

イスラム原理主義に傾倒した少年がユダヤ人の彼氏がいる先生を襲う話。
なぜこうなったかは描かれず、最後もどうなるのか、観た人に委ねるという作品。
宗教とは人を幸せにするものであるべきなのに、イスラム教は、特に原理主義は人を不幸にするケースが多い気がする。
元はユダヤ教もキリスト教もイスラム教も一緒なのに、解釈の違いだけで他宗教を攻撃するのはいかがなものかと。
作品の意図は何だったのだろう。考えてもわからなかった。

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りあの

3.0幼さゆえの・・・

2020年9月6日
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moviegoerjp

3.5イスラム教もキリスト教もユダヤ教も元は同じ

2020年8月4日
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kossy

3.5タイトルなし

2020年7月26日
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鑑賞方法:映画館

ダルデンヌ兄弟作品を初めて観たのは3年前に観た「午後8時の訪問者」
劇中、ほぼ音楽無しでカメラワークは手持ちで(多分)人物を中心に写すところが印象的でじわじわくる作品だったんですよね。
その後、2人の過去作品を何本か家で鑑賞しましたが、どの作品もドキュメンタリータッチなのに見入ってしまう内容ばかり。
本作でもその手法は健在で、音楽は無いし引きのカメラワークも少なくほぼ人物中心の描き方。ベルギーならでは、というよりは欧州が抱える問題でもあって、その問題をべースに人はどう変わることができるのかというところが焦点な気がしたんだけど、、
少年アメッドはどうだったかというと、握手さえ拒んでいた人間がああなれたのは救いだけれど、あのシチュエーションでそうなったのはいささか突拍子もない演出に感じました。作風も題材も好みですが、、

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とみまる