パラサイト 半地下の家族のレビュー・感想・評価
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徹底した「高低差」の描き方に感服させられる
まず仰け反ったのは冒頭、ナチュラルにすっと観客を物語へといざなう語り口である。格差などの社会問題を掲げると人々の体は身構えるものだが、本作では気がつくとあの家族にどっぷり紛れ込んでいる自分に気づく。しかもそれは地上より1/2階分だけ低い角度から世の中へのまなざしだ。
IMAXでもないのにこれほど高低差を強く意識させる作品があるだろうか。地域の奈落の底から最も高いところへ。お屋敷内でもまるで深層心理を掘り下げるように階段を下ると、秘めたるものが溢れ出し、暴れ出す。挙げ句の果てには金持ち夫婦がソファで求め合うシーンでさえ机下に隠れた家族とは高低差が生じている徹底ぶり。国際世界は広くて千差万別だが、おそらくこの高低差だけは通底している。核となるのは言語ではなくこの感覚や意識。それを駆使して物語をドリフトさせたからこそ、本作はあらゆる人の心を捉え、無条件に「リスペクト」と唱和させたのではないか。
貧困は、下には下がいる
経済格差を縦の構図を巧みに用いて描いた演出センスに脱帽する。何から何までセンスが良い作品だ。
本作は豪邸に住む富裕層と半地下の家に住む貧困層の格差について描いているが、さらにその下にも貧困層がいるという、二段構えで描いているのが素晴らしい。社会の実態は貧困層の間にも格差が拡がっており、それは富裕層と貧困層の格差ほど見えやすくないのである。経済格差を深刻なものだという意識を持つ人でも、貧困層は単純に「貧困層」というグループとしか捉えていない人も多いのではないか。しかし、この映画は描くように見えている貧困層の下に、さらなる「見えない貧困層」がいると示している。
これを示すために、物語の展開も縦の構図の画面作りなど、描きたいテーマと脚本と演出が絶妙にマッチしている。ポン・ジュノ監督はすごい。今後、映画の教科書として採用されてもおかしくない作品だろう。将来クラシック映画として名前を残すのではないだろうか。
「低層民」を「地下」で象徴する映画のシンクロニシティー
韓国の社会派映画といえば、かの国特有の政治や軍事などを題材にした力作が目立つが、ポン・ジュノ監督最新作は貧富の差の拡大というグローバルに深刻化する問題を取り上げ、予測のつかない超一級のエンターテイメントとなった。韓国初のパルムドール受賞も、普遍的な問題への意識が一因だろう。
丘の上の明るく広い邸宅に暮らす上流の家族と対照的な、暗く狭い地下で暮らす下層の家族。低層民、被差別者、不可視の存在を、彼らが生きる「地下」で象徴するアイデアは、同じく今年公開された米国のホラー映画『アス』と通じる。このシンクロニシティー(共時性)も興味深い。
映像では伝わらない「匂い」で生活の格差を表現したのも、監督の巧妙さであり、観客の想像を経て本能に直接突き刺さるようだ。
監督もメッセージで懇願しているように、これは絶対にネタバレを回避して観に行くべき作品。ジャンルを超越した怪作にぜひ圧倒されていただきたい。
評判聞いてからのー
ずっと観たかった「パラサイト」
韓国のリアリティ(実際は知らんけど)が垣間見れて、これこそ「映画」だと思いました。
「真実は小説よりも奇なり」
を裏側から見ているようで、フィクションとノンフィクションの境界線を攻めてる作品だと思いました。
行き過ぎると冷める、行き過ぎないギリギリで興味を引く力がある、そんな作品で素晴らしかったです。
こうゆう作品は後味どうーすんだ問題ありますが
めっちゃ熱い石焼ビビンバを食べた後に飲んだ冷水の美味しさみたいな同じ感覚を味わえてよかったと思います。(スイーツいらない)
色々な角度から見る事ができる作品だと思います。
物語は単純なように見えます。
だけどレビューを見てから映画を見返すと、色々な現代の闇について触れられていたんだとビックリしました。
重いなー
ここまでの格差とは おそらくリアルでは交わらない人たちが交わることでくっきりはっきりリアルがわかるっていう
ファンタジーじゃなくて現代劇フィクションとして作ってウケたところに韓国リアル社会の辛さを垣間見た気がする…
退屈しない。B級の皮を被った名作
詐欺家族がうまいことやって金持ち一家を乗っ取るため徐々に侵食していく話。
所詮社会は上辺だけで成り立っている、というような感じで、まるで観てる自分が馬鹿にされてるようでした。
ステレオタイプな奥さんが気の毒でもあり滑稽でもあります。
全体を通してすべてが素晴らしい出来でした。脚本も予定調和で進まず、テンポ良く退屈しないです。
女優さんは可愛いし、全員演技もうまい。
中盤までは笑いありで進行していきますが、後半は社会的背景を考えさせられるシリアスな展開になっていきます。韓国はここまで貧富の格差があるのでしょうか?
クライマックスから最後にかけては「そうなってしまったか」という複雑な終わり方です。
ただ、材料が多く用意された中でこの閉め方が一番良かったのかもしれません。これがもし「みんなで仲良く地下で共存」なんかしてしまったら、グダグダで締まりがなく、反権力を象徴したラストも描けなかったでしょう。
なんの変哲もない大味ハッピーエンド映画が好きな方は評価が低くなるかもしれません。
人殺しでありながらも父親は家族であるという絆、この点も考えさせられます。
衝撃的な映画
コメディ映画だと思って見ていたら、途中からハラハラしすぎて思わず頭に手を乗せていた。
貧富の圧倒的格差が繊細に表現されていた。
他のレビューや考察を見れば見るほど面白さが滲み出てくる作品。
韓国版 世にも奇妙な物語
中盤まではめちゃくちゃドキドキして、展開が気になってしかたなかった。
しかしある出来事からは、ぐちゃぐちゃ。
いろいろと印象的なシーンやセリフはあるけど現実味がないポップな地獄絵図だった。
ツッコミどころが多かったけど一番気になったのはあんなことが起こったのに、家族が誰も反省していないところ。
見たあとは憂うつにもならず、どちらかというと邦画の「告白」「空中庭園」や世にも奇妙な物語を見たときの気持ちに近い。衝撃的だけど特に心に残らない映画だった。
映像のテンポのよさと、前半は本当に面白くてはらはらしたので☆3つ。
エンタメとして、面白い。
最後まで手に汗握る展開が続き笑いのセンスや量もちょうどよく、エンタメ作品としては最高に面白かった。韓国では実際に半地下に住んでいる世帯が30万世帯以上いるらしく、洪水の問題も実際に起こってる問題との事で韓国の実情を含んでいると同時に貧困層は中々貧困の連鎖から抜け出せないという世界的な格差問題も描いている。難しい問題も含めながら優れたタイトルでパッケージされた優れたストーリーの映画だった。
流れとリズム、そして勢いが大事。
韓国の貧富の差の現状を喜怒哀楽全部入りの娯楽作品として作り込んだ本作。展開に次ぐ展開で目を離す暇がない。
日常系の様な顔してはじまり、スパイ映画の様なスリルを孕みながら、スリラーの様な緊張感を通り越して、社会問題と向き合うって、文字にしてしまうと当たり前すぎる映画の作りなんだけど、そのクオリティの高さよ。
作品を通して語られている監督のメッセージは冒頭、ギウがダヘの家庭教師として初めて行った授業にあるのではないだろうか。
試験を人生と言い換えて。突破していくためには、流れとリズム、そして勢い。ただし、只無計画にあるのではなく、試験勉強をする様に対策や計画を練りつづける。そうしないと、そうしないと、皆と同じ様に体育館で寝る事になる。(災害は不可抗力ではあるが…)
とにかく、そんな前向きな思いが感じられた、サイコーな作品でした。
母さんが家政婦になって、寄生が完了し、作戦成功!とキャンプに出かけ...
母さんが家政婦になって、寄生が完了し、作戦成功!とキャンプに出かけた金持ち一家の留守中に、ウイスキーで酒盛する貧乏な一家。この晩から計画が狂い出す。ストーリーが面白く、展開も早いので飽きさせない。しかし私の好きなシーンは大雨の中ずぶ濡れになりながら半地下の家に帰るシーン。セリフはなく、ひたすら走る。周囲の景色、一家のみじめな様子、映画らしい抒情的なところ。さらに待ち受ける浸水。もうやりきれないほどの落胆。恐らくここで、もう寄生なんかやめようと思ったのではないか。しかしストーリーの伏線はもう張られていて、破滅へと向かってしまう。その他にも脱北者、ツートン、トンのモールス信号、石、チャパグリ、桃など演出もおもしろい。3回観ました。今後も名画座で上映されたら観に行きたい。
コメディーからの急なサスペンス
もっと貧富の差を世に問うシリアスな内容かと思ったら、嘘をつきながら逃げ回るパラサイト家族は笑えた。ただ染み付いた下層階級の暮らし向きの匂いへの上流階級の拒絶反応がこの映画をいきなりサスペンスに急展開させる。 救われたいい話と思いきや一生ハッピーエンドにはならないかもしれないという二段構えのエンディングも良かった。 話と関係ないけど金持ち夫妻のエロシーンのパジャマの上からの妻に対する夫の触り方が生々しくて良い! AVばかり見て女を感じさせようとしてる脳みそ童貞たちはこの乳首の触り方を参考に。その後の股間をガシッと掴む愛撫は日本映画ではああは撮らないだろうな。
衝撃の結末
韓国の実状が今ひとつわからないので、映画なのにこれが真実に近い生活と思えてしまう。でもストーリーは面白かった。さすがアカデミー賞作品。アジア映画もたまには良い。
エンタメとして楽しめる作品
お金持ちと貧乏人の対比が鮮明。
特に「匂い」で違いを出す演出が良かった。
生まれと育ちで絶対に理解出来ないことや変えられないものがあると思うので、無理矢理身の程を超えようとすると悲劇が生まれる。
ラストはエンタメに振り切ってるけど、過激な演出は嫌いじゃないので悪くなかった。
でも考えされるという点では「万引き家族」の方が心に残った。
映画としてすごく面白かったので、評価は「万引き家族」より高めです。
地上・半地下・地下
面白かったです。色々な事を考えさせられました。格差・線・臭い・比較・家族・幸せ・・・
前半はコメディ映画かと思ってしまうほどの雰囲気でした。息子の家庭教師から始まり、言葉巧みに金持ち一家を騙し、しまいには家族全員で転がり込んでいく様子が滑稽で笑えました。しかし、上には上(下には下と言うべきか?)の強者がいて、、、という展開に驚かされました。ここから急に物語の景色が大きく変化し、引きつけられます。
なぜ、あの父親はあんな悲劇を起こしてしまったのか?
そしてなぜ、自分の娘を刺した地下の男ではなく、社長を刺したのか?
お気楽でちょっと頼りないけど良い父親に見えました。でも実は積もり積もった恨みがあって...いや、実際、お気楽だけど善良な人間だったのだと思います。あの上流家族に出会うまでは。
初めは貧しいながらも家族仲良く、幸せと呼べるかわかりませんが、それなりに暮らしていたと思います。でも、あの家に潜入し、彼らの生活や考え方を目の当たりにする事によって、徐々に気持ちに変化が出てきます。うらやましい・妬ましい等の感情も生じたでしょう。彼らと比べ、自分はなんて惨めなのだろう。彼らと出会う事によってそんな自分を認識するようになったのかもしれません。でもどんなに努力しても、あちら側の人間になる事はできない。そこには越えられない線がある。その線をはっきりと見せつけられた。
’臭い’でもその線が浮彫にされます。見た目はどうにか取り繕えても、臭いは消えない。目には見えないけど体に染みついて消えない半地下の臭い。半地下にいた頃は気付かなかったけど、上流家族と接するようになって意識するようになった。あちら側とこちら側の間にある越えられない線を。
上流家族の地下で出会った男。地下の男は自分と同じ臭いがする。自分と同じ側にいる人間。娘を刺したのは地下の男ですが、その怒りの矛先は社長に向けられます。格差社会やその頂点に立つかのように見える社長に対するどうにもならない怒りや恨み。それがあの線の向こう側に突き刺さった。
あの父親は自分の手で自らを半地下から地下へと引きずり落とし、永久に出られなくしてしまいました。この結末をどう受け止めたら良いのかまだよくわかりません。
期待し過ぎてしまった。
めっちゃ面白いという評判だったので期待しすぎてしまったためか…。
たしかに地上、半地下、地下を比べる事で、貧困問題などを切り取っているとか、色々描写が上手かもしれないけど。
貧困から抜け出して、成功する人も恐らく世の中にはいて、そういう人は、貧しくても心が豊かであったりして、もしお金持ちに雇われたとしても、留守中のリビングでもあんなに汚して飲んだりとかしないだろうし…。
そこがリアルっぽいのかもしれないけど。
貧しさは半地下家族の品の悪さが原因だろうと思う所もあったりして。きちんとしていても、酷い仕打ちを受けた、とかなら、お金持ちを刺すのも心情的にはわかるけど、半地下家族の逆ギレに見えてしまいました。
どの家庭にも感情移入出来なかったのが、微妙に感じた原因かもしれません。
終始登場時の画面が暗くて、あまりよく見えなかったけど、半地下の母役の人が、田中好子さんに見えて仕方なかった。
ホラー・コメディ映画という解釈、だとしても
個人的にはあんまり好きな感じじゃなかった。
スカッともしないしお涙も誘われず、
笑いもクスッとする程度。
色々詰め込みすぎなのでは?な印象。
以下ネタバレ含む
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意味のない伏線とか死とか簡単に入れてくるのが嫌だ。
誰も死なず、長年パラサイトして
ついでに結婚までして家主を半分ぐらい食う
ぐらいの話の方がホラーだし面白そう。
リアルなフィクション
テンポよく最後までサクッと見れた。韓国の現状はそこまで知らないが、これを見てこのような社会問題があるのかなと思った。作り話だなって思う反面、妙に現実味があってそれが怖いと言うか考えさせられるような内容になっている。
ちょっと笑えるシーンもありながら、自分たちではどうにもできない問題に虚しさや悲しさが感じられる。
日本人からしたらとんでもない生活だと感じるが、このご時世何があるか分からない、他人事ではないと複雑な気持ちになった。
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