アルキメデスの大戦のレビュー・感想・評価
全537件中、1~20件目を表示
日本人の性のようなもの
戦艦大和の建造をめぐる数学者の戦いという、原作の発想がまず素晴らしい。太平洋戦争には、非合理的な判断が数多くあり、先の大戦で最も欠けていた要素が、この作品の主人公の持つ合理的思考だろうからだ。戦艦大和はたしかに当時世界最大の戦艦だったが、全く戦果を挙げられないまま轟沈した。海軍の運用が適切であれば、もっと戦えたという意見もあるのだが、しかし、実力を出せずに散ったその姿は前後の日本人に判官びいきの感情とともに、無駄の象徴ではなく愛すべき対象として残ってしまった。
「この戦艦を作ってはいけない」と合理的な思考で判断をくだす主人公は、しかし、数学者として大和の設計を美しいと感じてしまう。数学者の業と日本人の判官びいきの心象がなんだか重なって見えるのだ。業や情緒を優先してしまうその有様はまさに日本人的だ。東京オリンピックのいざこざを見ていると、日本人は同じ失敗を繰り返していることは一目瞭然。なぜその失敗から逃れることができないのか。それは日本人の心象に深く根付いたもので、我々が日本人である限り逃れることはできないのかもしれない。
全編通じて素晴らしい。
俺が爺さんから聞いた山本五十六と舘ひろしのギャップに萎えたこと、大和が海軍の象徴じゃなかっただろ長門だろ、以外はパーフェクト。文句なしに面白いし、冒頭の坊ノ岬沖海戦の演出、CGも素晴らしい。日本映画、やればできるじゃんです。ドルビーフォーマットにして欲しかったなあ。。。
ストーリー通じても飽きることもなく、かといってテンション高く進むわけでもなく、適度に笑えるところもあり、海軍の会議のシーンも(実際にはもっと人数いたんだけど)掛け合いが面白いし、主人公の破天荒ぶりもいい表現でした。ただ、エンドロールになってからなぜか泣いてしまいました。結論はすごく悲しい話です。そして、いくつかの艦首切断事件のことも反映していてここも良かった。
今シーズンでも屈指の名作邦画です。空母なんちゃらより全然いいです。
ぜひ、劇場で観てほしい。戦闘シーンはなくても、これは大画面でこそ堪能できる稀有な邦画です。ぜひぜひ!
ただですねえ、ラストの菅田将暉と田中泯のやり取りだけは違和感満載です。なぜなら、帝国臣民のほとんどは大和なんて知らないのです。信濃のエンジン担当だった爺さんの嫁さん(俺の婆さん)ですら知らなかったんですから。
で、爺さんが言ってた山本五十六。
トラック島に派遣された横須賀海軍工廠の爺さん。島につき、桟橋を降りたら背の小さい(爺さんは175センチ以上あります)おっさんが跛行しながら急ぎ足でやってきたそうです。
「爺さん(実際には名字です)だな?話は聞いてるな?来るのを待ってた。ここのでの船の整備は任せた。好きにやっていいから。頼む。」
誰だ?あの貧相な人?だというのが第一印象だったみたいです。後で聞いたら山本大将と分かって感動したそうです。なんで、こんな若造のことを知っていたのかと。
トラック島に軍艦のエンジンの専門家がおらず、爺さんが赴任して初めて、だったということで、私は、ああ、こんなところに人材不足があったんだ、これじゃ、資源云々以外にも勝ちようがないじゃないかと思いました。
そんなところも絶妙に表現されてました。
そういう個人的事情も含めて面白く、感慨深い素晴らしい邦画でした。
企業エンターテインメント的
当然だが、フィクションはフィクションとして楽しめる人向け
Youtubeでショート動画を垂れ流していたらたまたま目に入り
なかなか興味深い映画だと思い視聴
ショート動画以外の事前情報を入れていなかったが
原作はドラゴン桜の三田紀房、監督は山崎貴
・・・未視聴だが、同年公開のドラクエとルパンで世間の評価がいまいちなのはこちらに注力しすぎたからか?
戦艦の描写や細かい時代描写、空気感のこだわりを感じるのは山崎貴らしい
後のゴジラ-1.0にも生かされるであろう戦艦は必見。
冒頭に大和撃沈を持ってきているのも良い構成だ。
戦争もの、というよりも半沢直樹系企業エンターテインメント作品かな
重役からの抜擢、非協力的な同僚、組織内の圧力、突破口、逆転
痛快な構成であり、そこに戦争というテイストを盛り込んでいる。
特に終盤が素晴らしい。ここの部分で+1
思いっきり「フィクションだなぁ」とは思うが、それはそれで良い
鑑賞後に感じる不気味さと恐怖は・・
狂気の思考
原作未読なので、この映画が原作の全編なのか途中までなのか分からないし、色々端折ってるんだろうけど、映画として見応え充分、上手く納めたなって感じ
新造艦建設における権謀術数を、数字という真理で暴く痛快さ。
それすらも、利用されていた闇の深さ。
そして巨大戦艦の造船しようとする設計者の真意と、それに取り込まれる若者。
キャスト全員演技巧者で良かったけど、深みが圧倒的過ぎて田中泯に全て持っていかれたわ。
避けられない戦争と、やがて来る破滅への暴走を止める生贄の為の憑代を創造する狂気の思考。
見応えあったわ!満足!
これからの戦いは戦艦か。飛行機か。
呉に行くため、鑑賞。
天才数学者が戦争で無双するストーリー系かと思っていた。
戦争経験者も少なくなり、当時の日本の世界観を味わっていない、
戦後80年も経つから言えることだが、
すべてが負け戦に向かっているように思う…。
第一次世界大戦の時代は戦艦から大鵬攻撃が強かったのだろうが、
技術が進み、飛行機が発明され、空からの攻撃が可能になり、
戦艦の実用性が下がってきている。
それなのに戦艦にこだわる日本。
永遠のゼロを見るに、そこまで飛行技術も悪くないはずなのに、
空母をつくっていたら、先の大戦は何か変わっていたのかな?
24.8.1 レンタルDVD
深海で永久に残り続ける大日本帝国の痕跡
大和は世界最大の戦艦であったのに戦果を挙げず、鹿児島県坊岬沖の深海に沈没。いまだに引き上げられません。
大和は、開戦までに大急ぎで完成させたため一部ハリボテだったらしい。また、建造は極秘であった(とは言え、徹底したリサーチをもとに描かれた“こうの史代さん”の原作漫画『この世界の片隅に』でも描写があるように、呉では戦艦大和の存在を知っている者もいた)。
完成後の数か月間、待機という名目で戦艦大和の中は豪華客船のようであり(豪華な食事や高級ホテル並みの寝具)、何故か相撲の訓練ばかりやらされたらしい(戦艦大和の関連本による)。
今作は、戦艦大和の予算に関することが描かれた原作漫画(著者:三田紀房)の実写映画化ということで、大変興味深い内容でした。
アメリカを戦勝国にするためシナリオ通りに開戦したような描写。フィクションということですが、大筋は事実に近いのではないかと思います。
天才数学者に扮する菅田将暉さん、おさげが似合う浜辺美波さん他、俳優さんたちの演技は抜群で、落ち着いたカメラワークで隅から隅まで時代の雰囲気を再現されていて、B級映画どころか完全にA級でした。
アルキメデスが紀元前に生きていたということですが、そもそも紀元前という時代の存在自体が確認のしようがありません。事実ではなく、あくまでも仮説としてなら楽しむことができます。
100年前の大日本帝国海軍のことすら謎だらけなのですから。
浜辺美波≒黄金比
大和はそれまでの戦艦とはあきらかにスタイル設計が異なる美しい戦艦。平山造船中将のセリフにはなるほどと思うこと(依代:よりしろ)もあったが、違うよと思うことも。
櫂は造船工学や波動物理学、気象学、航空力学(扇子飛ばし)にも精通。
原作はコミックで櫂少佐は架空の人物。
方程式はマユツバ物だけど、コミック原作だから文句つけても仕方ない。
軍艦の保有数や建造費を他国に公表しないといけない国際ルールがあったようだ。
東大の数学科の大学院生(菅田将暉)が一人で大勢の芸者をあげて、扇子飛ばしに興じる様は恥ずかしくてみてられない。
尾崎財閥令嬢役の浜辺美波の左右対称の整ったお顔にショックを受けた映画。櫂でなくても、メジャーで測りたくなる。おそらく顔の輪郭のみならず、いろいろなパーツのバランスが黄金比からなっているに違いない
平山中将のロジックは許しがたいが納得せざるを得ない
冒頭、大和に撃墜された米戦闘機からパラシュートで脱出したパイロットを米水上機が救出。
それを目の当たりにした大和乗組員が愕然とする。
「お国の為に死んでこい」という同調圧力と教育を受けた当時の日本兵が、アメリカの命を尊ぶ人間としてあたりまえの行為に「真の国力」の違いを痛感する場面。
映画の骨子を冒頭で表現しているので、それを踏まえて最後まで作り手のメッセージを感じながら観る事ができました。
日本人のDNAに刻まれた“目上の者に物申せない“
“面と向かって言わず陰口をたたく“
“右にならえのステレオタイプ“
といった国民性に対するアンチテーゼの様な櫂少尉の言動は痛快!
周りの環境で想像力と合理的な思考を失わない事を
教えてくれました。
山崎ドラマの面目躍如
原作は『ドラゴン桜』の三田紀房の同名マンガ。
監督は『ゴジラ-1.0』の山崎貴。
【ストーリー】
1933年。
海軍は次期主力戦艦の選定に混乱していた。
航空戦力を主体とした航空母艦を推す永野修身と山本五十六と、大鑑巨砲派の嶋田繁太郎の対立で混迷を極めていたのだ。
平山忠道技術中将の提出した異様に予算の低い超弩級戦艦設計案により、永野たちは劣勢となっていた。
大艦巨砲主義は日本を戦争に向かわせる破滅の道だと、二人が料亭で協議していると、隣の部屋で豪遊していた書生の櫂直(菅田将暉)に出会う。
櫂はのちのノーベル物理学賞受賞者となる湯川秀樹と並び称される、数学の天才であった。
永野と山本は櫂をおし立てて、平山案の瑕疵を見つけだし、超弩級戦艦の廃案をねらう。
後に大和級戦艦と呼ばれた、あのバカでかい回転砲塔に六〇サンチ砲や四五サンチ砲とかいう破格の弾をぶっとばす、長い砲身の三連砲を主砲にした超弩級戦艦。
航空主兵論がわを視点に、その建造阻止を目的とするという冴えたアイデアは、さすがドラゴン桜ほかヒット作を連発する三田紀房ならでは。
山崎作品でもっとも弱いとされてきたドラマパート。
この作品だけは、その弱点がほぼ解消されています。
傑出していたのは、今までになかった抑制の演技。
主演の菅田将暉は、板書する公式すべてを理解しながら解答しつつ説明もできるという、意外な数学脳の持ち主。
すごい。
数字パズルの数独しかやらない自分とは、頭の出来からちがうぜ!
えー、山崎ドラマの弱点に話を戻しますが、やり取りやセリフが類型的すぎること。
そしてそれをただ撮ること。
これをするとリアリティのない部分がただ浮き彫りになるんですね。
それを櫂直という特異なキャラクターで、うまくまわりの役者との芝居を作ったのが、この菅田将暉ではないかと。
自分はただの素人の門外漢なので、演技の良し悪しなんてほぼ分かりませんが、山崎作品の中で、この映画だけは引っかからずに見られました。
原田眞人監督の『日本の一番長い日』の直後に見まして、あちらも良作でしたが、こっちの方がドラマも優れていると感じました。
もう一つ、原田眞人と山崎貴、二人とも日常シーンの撮り方似てますね。
会話の長回しとか、カメラのフィックスを多用するところとか、俯瞰やアオリをあんまり使わないところとか。
微積分を理解しやすく説明し、巧みに物語へと組みこみ、そしてラスト、大和の6分の1サイズのミニチュアの前での圧巻の議論。
冴えたアイデアをうまく切り取って、演者たちとの相乗効果も生んだ、山崎貴作品随一の傑作だと思います。
ファンタジー海軍と呪いの子ども
あれれ〜?変だなぁ、ゴジラより全然おもしろいよ〜?
シナリオも、ところどころヤボ(蛇足)感なくはないけど、割と抑えられてて悪くない。
ていうかつまんないと感じる時間がほとんどない。これが日本映画だとかウケる〜
やればできる子!普段からこの調子でやってよー!
後半はもっとスパイアクション的になるかと思いきや、割とひたすら計算。それで正解なんだけどビジュアル的には地味→戦艦大和という問答無用の大ネタ→企画の勝利。そしてなにより戦艦大好き、大和ラブ!って人が愛情たっぷりに監督したことあってのミラクルなのかな。
VFX含めてこの出来は作り手にとっても快挙だろうし、さすがの庵野秀明も嫉妬したのでは?と思わずにはいられない。どうせならスピルバーグにはこっちを見てほしかったなー
菅田将暉はきっちり作品のトーンに合わせてくる的確なチューニングぶり。そこへ初手からギャグすれすれの帝国軍人仕草をかます柄本佑。つくづく、君のおかげで助かる命がある。
世に奥野瑛太が出てる映画はおもしろいの法則があるそうですが、今回もヌメっとした小悪党がいい。そういう奴にしか見えない。
そしていくらなんでもカッコよすぎの舘ひろし、絶妙な温度感で美声をかます國村隼、やや悪代官風味の橋爪功、と三者三様のゆかいな海軍と仲間たち、そこへ来て一番おいしいところを持っていくのは田中泯。
身体は大きく動かさず、絞った声とオーラだけで周囲をねじ伏せていく場面のスリリングさはまさに圧巻と言っていい。上手とか下手とか以前に胆力がスゲー、と思いました。そして最終的に悪魔かな?って思うようなキャラクターに仕上がってるんですよ!山田くーん、このキャスティングした人に座布団10枚以上あげてー!
原作の力があるとはいえゴジラより断然、好感触だったし評判以上だったので驚いた。
多少、演出が薄味すぎん?とか、わざわざ合わない劇伴をうっすら流すのかな謎…という場面もあるにはあったけど、そこまで多くはない。
とにかく冒頭のスペクタクル場面は山﨑貴+白組の気合いが炸裂してて想像以上だっだし、それがストーリー的にもちゃんと意味があったりなど、この手の娯楽映画としては文句なしの水準。えっ、私の基準、低すぎ…?
まぁ彼らが国家について語る時、なにしろそこに「陛下」のフレーバーがない限り、あくまで戦前の皮をかぶった現代人にしか見えませんけどね。。
戦争を巡る政治的な駆け引きの面白さ
冒頭、戦艦大和が沈むシーンで「スゴい!」と映像の出来に唸ると同時に、悔しいような悲しいような、苦々しい感情が渦巻くのを感じた。
戦争の最中、散っていく兵士たちが悲壮で哀れだから?そういう要素もあるかもしれないが、「タイタニック」で沈没シーンを観たときには感じなかった感情だ。あの時はただドキドキと不安と恐怖と無力感だけがあった。
だが大和は違う。
無力感も、「諸行無常」のような寂寥ではなく、何故自分にはこの艦を救う力がないのか、悔しさのような歯痒さのような、積もり積もって怒りにまで達しそうな、そういう無力感だ。
衝撃の沈没シーンから一転、月日は遡って次期主力艦建造会議がこの映画のメインストーリーとなる。
大艦巨砲主義と航空戦略主義の対立からなる、戦艦か空母か?の会議バトルだ。勝敗を決めるポイントは「予算」。数字で完全に決着するハズなのなに、排水量も兵装も多い戦艦の方が見積りが安い、という状況に空母案を推す山本五十六たちは不穏な気配を察知。
たまたま遭遇した櫂に目をつけ、戦艦見積りのからくり調査を依頼して、櫂の奔走が始まる。
櫂と、補佐につけられた田中のやり取りがとにかく面白い。
演じる菅田将暉と柄本祐のコンビネーションも申し分なく、徐々に櫂の仕事ぶりに感じ入り、できる範囲でサポートに打ち込む田中は、この映画の一番身近なキャラクターだ。
軍が気に入らず、能力が高いゆえに不遜な櫂に対し、堅物で筋金入りの軍人である田中。突如上官となった年下の櫂に振り回される田中。軍でのお作法をさりげなく教えてくれる田中。
櫂が主役なのに、田中の事しか書いてないな。
まだ人気があまりなかった頃から柄本兄弟が好きだった私としては、こんな魅力的なキャラを演じている事がすでに幸せだから、許してほしい。
櫂と田中の奔走が、虚しく終わることは冒頭でも示されるし、歴史を見れば明らかだ。なのに、それを暫く忘れさせるほど、二人の必死さに飲み込まれていく感覚は快感ですらある。
さらにこの物語の肝になるのは、帝国海軍の威信を背負わされた「戦艦大和」への秘められた想いだ。
かなり台詞で説明されるものの、映画冒頭で感じた「無力感」を思い返せば、無理筋ではない。
歴史上の出来事を覆してしまえば一気にファンタジーに突入してしまうこの物語を、太平洋戦争前夜の日本に踏みとどまらせる重要なシーンで、今まで積み上げてきた「櫂直」というキャラクターにリアリティを持たせ切った菅田将暉は、本当に素晴らしい役者だと思う。
見積りの謎解きミステリー、会議を巡る思惑のサスペンス、戦艦に関わる人間たちのドラマ、櫂と田中のバディムービー、とかなり欲張りな映画だが、すべてが高次元でまとまっていて最後まで楽しめる。
血まみれのシーンもほとんど無いので、バイオレンスが苦手な人にもお薦めできる、貴重な「戦争もの」だ。
ヤマトしゅっぱーつ
大和の佇まいが絶対的な美しい存在でなくてはならぬ
大和が絶対的な美しいさをたたえた存在で在らねばならなかったその意味する、真の理由を知ることとなる主人公。
数式や尺度の持つ美しさに魅了されて、それまでその世界の中でのみの人生を歩んできた、これまで政治や世界情勢には無頓着で数式の天才であった主人公。
それが全く偶然の、数奇な運命に翻弄され、入り込んでしまった畑違いの世界で最後に辿り着くこととなる、これから日本人を待ち構え、その身に起こる残酷で非常な真実を突き付けられる。
天才肌の変わり者の主人公、サスペンスや陰謀に挑む感や、軍内の勢力争いや階級社会の軋轢、軍と軍需産業の癒着など盛りだくさんで、ラストもどんでん返し的なオチ
等。
予告の印象と山崎監督だからという事で抱いていた「大戦もの」では無かった。
いい意味で、期待を裏切られた。
特に、菅田将暉が食傷気味なのと舘ひろしが苦手な事で、劇場鑑賞には至らなかった作品となっていたので。
観終わって、(残念ながら?)やっぱり菅田将暉は流石だと思わざるを得なかった(笑)。
柄本佑はやっぱり良かったし。
これまた流石、山崎貴監督だと、劇場で観ておけば良かったと思った。
うねりのある脚本と、田中泯さん
プロモーションは館さんと菅田さんでされていた記憶がある本作。ただ、主役は申し訳ないが、田中泯さんただ一人だった。
國村さん、橋爪さん、館さん、柄本さん、菅田さん、鶴瓶さんと、集めに集めた名優揃いの中で、舞踏家田中さんが全てだったと思う。
脚本の段階でこの役を誰にお願いするかは、練りに練られたと思うし、いろんな意見があっただろうに、そこにあの存在感を持ってこれた凄みを、脚本のうねりと共に目の当たりにするしかなく、申し訳ないが全ての俳優陣や演出が、田中さんのためのフリに見えてしまうほどだった。あの菅田さんですら、フリに感じる凄みだった。
とにかく、原作の素晴らしさが元にあるのはもちろんだけど、いつ戦艦の名前を出すか、どう見せるか、考えるの楽しかっただろうなぁー!!!と思える作品だった。プロットだけでへ地味な内容と言われてしまう危惧を、覆せる!!!と全員が思いながら制作したんじゃないかと思う、あっぱれだった。
これが、ゴジラマイナスワンの製作に繋がると想像して、いいものを見たと、心から思った。
山崎貴さんはVFXだけでなく、ちゃんと脚本も演出もすごいのだと、ベタな作品でない本作で改めて感じれてよかった。
全537件中、1~20件目を表示