レディ・バード

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劇場公開日:

レディ・バード

解説

「フランシス・ハ」「20センチュリー・ウーマン」などで知られる女優のグレタ・ガーウィグが、自身の出身地でもある米カリフォルニア州サクラメントを舞台に、自伝的要素を盛り込みながら描いた青春映画。「フランシス・ハ」や「ハンナだけど、生きていく!」などでは脚本も手がけ、「Nights and Weekends」(日本未公開)では共同監督を務めた経験もあるガーウィグが、初の単独監督作としてメガホンをとった。カリフォルニア州のサクラメント。閉塞感漂う片田舎の町でカトリック系の女子高に通い、自らを「レディ・バード」と呼ぶ17歳のクリスティンが、高校生活最後の年を迎え、友人やボーイフレンド、家族、そして自分の将来について悩み、揺れ動く様子を、みずみずしくユーモアたっぷりに描いた。主人公クリスティンを「ブルックリン」「つぐない」でアカデミー賞候補にもなった若手実力派のシアーシャ・ローナン、母親マリオン役をテレビや舞台で活躍するベテラン女優のローリー・メトカーフが演じた。第90回アカデミー賞で作品賞ほか6部門にノミネート。ガーウィグも女性として史上5人目の監督賞候補になった。

2017年製作/94分/PG12/アメリカ
原題または英題:Lady Bird
配給:東宝東和
劇場公開日:2018年6月1日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第75回 ゴールデングローブ賞(2018年)

受賞

最優秀作品賞(コメディ/ミュージカル)  
最優秀主演女優賞(コメディ/ミュージカル) シアーシャ・ローナン

ノミネート

最優秀助演女優賞 ローリー・メトカーフ
最優秀脚本賞 グレタ・ガーウィグ
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(C)2017 InterActiveCorp Films, LLC./Merie Wallace, courtesy of A24

映画レビュー

4.0“レディ・バード”が“クリスティン”になるまで。

2022年7月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
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すっかん

3.5飛び出すヒロイン、シアーシャ・ローナン

2018年6月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

シアーシャ・ローナンは「飛び出していく」ヒロインがよく似合う。定められた居場所におさまれない。周りとぶつかりながら、自分の場所を探そうともがく。 本作もまた…なのだが、新鮮なのは、友達や恋人以上に、家族とのかかわりが丁寧に描かれているところだ。決して声高ではないが、母、父、兄…とのさりげないやりとりが随所に織り込まれ、すっと心にしみる。一緒にリサイクルショップで買ったドレスを、ミシンを踏んで仕立て直す母。就職試験で鉢合わせした息子を、あたたかく励ます父。互いを想う気持ちが、言葉を超えて伝わってくる。 映画を観る側の幸せは、主人公が知り得ない登場人物それぞれの姿を、少し離れた・高いところから、密かに目の当たりに出来ることだと思う。本作で言えば、バスルームで会話する父母、ヒロインを無言で見守る兄とその恋人、深夜のテーブルで泣きながら手紙を書いては破る母。めんどくさくて、わずらわしいはずの家族が、じわじわと愛おしくなっていく。 時の流れと追いかけっこするような試行錯誤の末に、ヒロインは旅立つ。新たな場所でも、単身臆せず突き進む。そんな彼女が、母と「再び」ドライブをする、ラストシーンが秀逸だった。シアーシャ・ローナンは、薄闇から抜け出し、光に照らされるのが似合うヒロイン、とも言えるかもしれない。

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cma

4.0省略と行間の豊かさ

2018年7月31日
PCから投稿

笑える

楽しい

知的

誰かと誰かが感情をぶつけ合ったり、人生を変えるかもしれない劇的なことが起こったり、普通の映画なら山場になりそうな瞬間が近づくと、この映画はさらりとそのシーンを打ち切ってしまう。そして特に説明もなく数日が経っていたりして、観客は行間を埋める作業をすることで、どんどんレディ・バードとその家族を身近に感じるようになっていく。 なんたるアイデア、みごとな演出プランか。ここで描かれているのは、100人いれば100通りあるであろう、どこにでも転がっている平凡な青春の姿。もしこの映画がもっと詳細に劇的な瞬間を盛り上げていれば、それはきっと、ごくありふれた他人ごとになっていただろう。 ところがグレタ・ガーウィグは、なんでもない瞬間を積み重ね、「事件」ではなく「事前」と「事後」を描くことで、ひとりの少女の青春から誰もがシンクロできる普遍性を引き出した。ガーウィグに才能あるのは知ってたけど、初監督でここまでやってくれるとは。クレバー!

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村山章

4.0特別じゃない街の特別じゃない女の子の話

2018年7月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

アメリカは自由の国と言われるのだが、その田舎はなかなかに閉鎖的で、まあ日本の田舎も共同体の中の相互監視というか同調圧力が強くて息苦しいのだが、それはアメリカにとっても同様なようで。 この映画の舞台のサクラメントはカリフォルニア州にあるが、州の繁栄から取り残された街というか、貧困家庭も多く、観光資源もあまりない地味な街だ。要するに「特別じゃない」街だ。 これはそんな街の、「特別になりたい」少女の青春映画だ。9.11が起こった直後の時代を設定し、特別なことが遠い東海岸では起こっているのに、舞台の街はいたって地味で平和。主人公のクリスティンは自らをレディ・バードと名乗り、この地味な街を飛び出して特別な人生を送りたいと思っている。そんな少女を、母との関係を中心にさわやかに描いている。 自分が特別だと思っている、どこにでもいそうな少女の青春。誰にでも覚えがあるような感情が満載のどんな世代にもおすすめできる作品だ。

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杉本穂高